2020年の10月に本書を読んで7ヶ月間湯シャンをやってみた
だいぶ頭頂部も薄くなり、この10年ずっと坊主ヘアーで過ごしています。自分で言うのもなんですが、いわゆる「お洒落ハゲ」の部類に入るのではないかと思います。そんな私がこの本に出会ったのは去年の秋。医療系の書籍の仕事をした時に、ライターとの雑談でこの本の存在を知りました。
著者紹介
宇津木 龍一
北里大学医学部卒業。日本で最初のアンチエイジング専門施設・北里研究所病院美容医学センターを創設。センター長を務める。日本では数少ないアンチエイジング治療専門の美容形成外科医。現在はクリニック宇津木流で院長としてシミ、しわ、たるみの治療と老化予防に対象を絞り、診療を行う
まず本の内容の要約を解説
- シャンプーの界面活性剤がハゲの原因(いわゆる耐久力劣化の老化の一種)
- 著者がフサフサの先輩(先生)からリサーチ
- 日本人がシャンプーを戦後、毎日するようになった背景(産業・金が回る仕組み)
- 五木寛之など芸能人・著名人も徐々に湯シャンをしている
- 湯シャンで頭皮の汚れはきちんと落ちる
- 男女それぞれ年齢別の多くの湯シャン実行者の体験談
凄いざっくりとまとめましたが、大体こんなことが書かれています。
実際やってみた時の状況(七ヶ月の時系列で)
- 妻に内緒でスタート
- 頭が痒くなる&匂いが気になり始める
- 3日に軽くシャンプーするというのを2ヶ月ほど続ける
- 途中でコツを覚える(頭の匂い・痒みは頭皮ではなく耳や首筋を洗うことで解消)
- 2ヶ月目で抜け毛が劇的に減る
- 3ヶ月目から根毛がしっかりしてくる
- この頃から週1回のシャンプーとなる
- 現在は2週間に1回のシャンプー
- 頭髪の見た目の量はわからないが手触りがしっかりとしてきた←現在ココ
本書では、何人もの被験者が登場しますがいずれも半年以上から3年程度と超長期です。恐らく、頭髪を失う工程が長期であるため、復活するのもかなり時間がかかる可能性がある。年齢的に、もしくは体力的に復活しない人も少なくないかもしれません。ただこれだけは言えます。
抜け毛は最初の一ヶ月目で劇的に減ります!
シャンプー産業の成り立ちとそのメカニズムを完全に解き明かして、恐ろしいまでの納得度を引き出す。意外に、経済書としてできている
皆さんは例えば、1日3食というルールはいつから、誰が作ったかご存知でしたか?実は日本は明治以前は、食物の出来高も少なく、夜の明かりを保つ油などの資源も少なかったため、食事に関しては朝食と早めの夕食の1日2色が主流でした。では、誰が3食を広めたのかそれは、オーブントースターを発明し、広めたトーマス・エジソン率いる現GE(ジェネラル・エレクトリック社)のアイディアに小麦粉産業や炭水化物産業、飲食業が乗って広告や著作を拡大したからだと言われています。
それによって、現代人の成人病は糖尿病を筆頭に急増。
つまり、これと同じことが毛髪界にも起きており、それが「毎日のシャンプー」だったのです。
1980年代までは日本人は週に1〜2回しか頭を洗わなかった。
本書を読んだ後、私はかつて所属していた医療系の出版社の知り合いにこの本のことをいろいろ聞いて回りました。そしたら出てくる出てくる。この本の業界内での浸透率は非常に高く、周囲には湯シャンの人口が実はものすごくいたことが発覚します。
『チャン・リン・シャン』(薬師丸ひろ子)の頃から始まる毎日シャンプー
1970年頃から日本の多くの家庭にシャワーシステムが行き渡り始めます。その頃から、毎日シャンプーしないと「頭が臭くてもモテない」とか、当時流行った「朝シャン」という流行語などの登場によって日本人にシャンプーが浸透します。確かに私が子供頃は、銭湯などでは親が子供の頭の匂いをかいで今日はシャンプーをするかしないかを判断していました。つまり、日本人総ハゲ化の文化はこの時あたりに花開き始めたというわけです。
産業は、利益を元に永続し、広告を打ち続けますので優秀な企業ほどその活動を「常識化」できます。花王は、株式的にも『日本で唯一20年以上配当金を増配している企業』ですからうなづけます。
ただ、日本人をハゲにしようとしたわけではないと思います。知らなかっただけで、社員のために必死に働いて給料を支払おうという意識の中で生まれてしまった悲劇が『ハゲの拡大』だったわけです。

芸能人を中心に「湯シャン」が拡大してきている=企業も理解している
これは私の勝手な解釈ですが、日本の芸能人というのはコンテンツの販売収入ではなく、広告で生きている人種です。そのため、いわゆる業界のタブーは『広告主への反抗』から発生しています。例えば一時期の原発ネタであったり、電通ネタ(グリコ・森永事件、紅白歌合戦、オリンピック関連ゴシップ)などは、これにあたります。この辺のことは今でもほとんどの芸能人が語りたがりません。ですが、「湯シャン」に関しては、2019年あたりから急に芸能人を中心にじわじわと広まり始めました。本書の宇津木氏は確かに火付け役ですが、実質的な功労者ではありません。
つまり、それは花王やP&G(プロクター&ギャンブル)などのメーカー側が、認めつつあるということであり、そもそもシャンプー産業自体が「競争激化による薄利多売の業界」に成り下がって、企業群がそこからの利益にそれほど頼らなくなったという世の中の流れがあるのだと思います。だから、「湯シャンという許可」を出した。
ちょっと深読みかもしれませんが、でも本書を読んだ多くの人がそう思うはずです。
というわけで、皆さん「湯シャン」始めてもいいと思います。
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