『愛子天皇待望論』概要
次の天皇は愛子さまであるべきだ! 政府と国会は急いで皇室典範を改正せよ! 「眞子さま騒動」や「万世一系」、雅子さまのご病気問題、山縣有朋の「語られない秘密」などを論じながら、愛子天皇待望論を唱える。
目次
- 第1章 次の天皇は愛子さまであるべきだ。国民は女性天皇を望んでいる
- 第2章 「万世一系」などない
- 第3章 雅子様の頭(あたま)のご病気問題を考える
- 第4章 天皇は安倍晋三を嫌っている
- 第5章 天皇という現人神(あらひとがみ)を作ったのは、イギリスである
- 第6章 「ザ・カルト・オブ・ヤスクニ」
- あとがき
昭和天皇は、山縣有朋の子供だった

(口元が特徴的)


(ちちぶのみや やすひと 次男)

(たかまつのみや のぶひと三男)

(みかさのみや たかひと 四男)

生まれた時から脳膜炎(髄膜炎 ずいまくえん)であり、
いわゆる障がいを持っていたとされる。
本書では4人の子供を産める可能性は低いとされる
(私も賛同する)
天皇家は、大正から昭和にかけて血族的には1度断絶している
副島隆彦氏によって書かれた『愛子天皇待望論』は、天皇関係に疎い私でも非常わかりやすく腑に落ちやすい良書であった。このブログでは、本書をベースに女性天皇問題について書いてみる。
本書の最も肝である冒頭で『愛子天皇待望論』最も肝である部分の写真を掲載した。山縣有朋の写真と、昭和天皇兄弟の写真である。本書のメインテーマは『万世一系など存在しない』であり、ゆえに『女性天皇は問題ない』というものだ。
本書ではそれらの前提として上記に挙げた写真以外にも、著者がさまざまな証拠を上げている。この点には、私も納得せざる終えなかった。
この書籍の衝撃に、日本の右翼たちは耐えられないかもしれない。
女性天皇・靖国をめぐる話題について
そもそも、日本人の多く(特に女性)は、なんで天皇が男性でなければいけないのか、という話題になっているのかよくわからないと思う。
そこには、本書で詳しく述べられているが皇室典範の一文がある。
1条 皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。
皇室典範 第1章 皇位継承
この皇室典範に対して、安倍晋三らをはじめとした日本の右翼(カルト・オブ・ヤスクニ)が何度も女性天皇を許容する改正を拒んでいるという。
では、なぜ安倍晋三らはこの皇室典範の改正に反対し、女性が天皇になる可能性を拒むのか?これに関しては、実は本書でも触れられていない。
これに関して、私も思うところを書いてみたいと思う。
日本は、世界的にも数少ない「父権性」強くが残る国
カルト・オブ・ヤスクニと女性天皇問題は関係ないと思う人も少なくないだろう。私もそう思っていた。だが、本書を読み終わった後、だいぶ考え方が変わった。それをどこまで解説できるかチャレンジしてみたいと思う。統一教会ネタもあるので、かなり際どいがお付き合い願いたい。
日本独自の『父権性の問題』とは
私は、日本の映画監督をしているため、この普段は目に見えない『父権性』が見える化された業界にいると普段から自負している。最近はやや弱くなってきたが、それでも海外のドラマと比べて日本は、圧倒的に「父権性志向」が強い。
それは何もテレビや映画といったメジャーな映像コンテンツだけではない。最も強烈に表れているのは、日本のアダルトビデオ産業だと思う。その表れとしてレイプものとか、ドキュメンタリータッチのものだとか、そういう極度に女性の性愛をコントロールするものが多い。これは、海外ではない皆無だということを、日本の男性は知らないと思う。
わかりにくい諸々の設定:カルトオブヤスクニや日本の右翼について
話を副島隆彦氏の『愛子天皇待望論』に戻す。
この本で最重要視されるのは「非万世一系の天皇」と「カルト・オブ・ヤスクニ」だ。
そもそも、海外から定義された「カルト・オブ・ヤスクニ」とは何か? それは戦後に分散していたA級戦犯の遺影たちを、戦没者の埋葬地である靖国神社に移設したことがきっかけである。
このA級戦犯の遺影への参拝を、それまで靖国への参拝をライフワークしていた昭和天皇が拒否したことが、問題の表面化となった。つまり「カルト・オブ・ヤスクニ」とは、本当は国際的に認められない靖国神社を正当化し、昭和天皇の意向に背いて、靖国神社に参拝する偉い人集団のことである。
この日本が敗戦した時の『東京裁判』の決定を覆したがる「カルト・オブ・ヤスクニ」が、『愛子天皇待望論』において、女性天皇を阻止使用している集団として描かれる。
統一教会と「カルト・オブ・ヤスクニ」の絡みの複雑さ
この「カルト・オブ・ヤスクニ」の強力な支援団体として例示されるのは、安倍晋三殺害に関与している統一教会だというのが、副島隆彦氏の結論だった。ここには、本書や、副島氏の歴代の書籍に、雰囲気として示している。副島氏のファンには常識化したトピックだ。
これに関してはややこしいので、以下にリスト化してみる。ぼんやりみてじわっと感じてほしい。
- 靖国神社は日本人の戦没者を埋葬する神社だった
- 誰かがA級戦犯を靖国に移設(戦争正当化のため)
- 以後、天皇が靖国神社への参拝を拒否(海外世論意識)
- これにより、東京裁判の正当性への疑惑がぶり返す
- 原爆を落としたアメリカが罪を問われないことを不服に思う
- 戦勝者権利(アメリカ・イギリスなど)が絶大であることを、拒否したい右翼
- 自国の過去の不覚を取り戻す運動につながる
- 統一教会が支援する政治家に、この手の人材が多かった
- 統一教会は、夫婦別姓拒否を日本に求める(韓国は夫婦別姓)
- 統一教会自体が、民族の過激な復古主義(民族感情)に支えられた教団
- 統一教会は、日本の戦前思想である“強い父権性” を刺激しながら集金活動をした
- 北朝鮮で発祥したがゆえに、統一教会は現在も復古主義の度合いが強い
- 宗教にはこのような「過激な復古主義」による歴史修正を求めるものがある
- その一例:統一教会、イスラム教(原理主義系)、プロテスタント福音派など
- 規模の大小に関係なく、主流の宗教がカルトに認定したいと考える節がある
- 日本人自身も、堂々とかつての日本人的な側面を出したい(君が代歌いたい・父権性など)
- これらの政治活動(投票)と統一活動の資金関係が、組み合わさった民族活動
統一教会の持つ叙情性(感情的な側面)が絡んだ
ここからは私の持論というか解説になる。
ちなみに私は実は統一教会をそんなに否定するつもりはない。
だが、この天皇問題についてやはり、確かに統一教会のもつ力の源である「感情を強く込めることができる」側面が、関係しているという副島隆彦氏の論説は間違っていないと思った。
統一教会は “アメリカに戦後否定された” 日本人古来の側面を刺激して資金集めをした
多くの報道資料から分かる通り、統一教会の手法は、日本人が戦後に失った古来のらしさへの回帰を刺激する形であった。ここに、今回の大きなポイントがあると感じる。
ここが、バブル崩壊後の日本人の自信喪失ととてもうまく重なった。この延長上に、おそらく愛子天皇問題が関わっているという副島氏の推論は正しい。
うまくいっていない時に「復古主義」が頭をもたげる
これもおそらく世界的な常識だろうが、経済活動や政治がうまくいっていない時に、過去を懐かしんでそこに戻りたがる運動が勃興するというのがある。
最近では、イスラム教の原理主義などの復古主義がある。また、アメリカでは田舎に住む白人がはまっているプロテスタント系の福音派の活動がある。
トランプが2016年に当選した時に、この一派が強い影響を持った。
結論
とまあ、ここまで右翼と宗教というものを中心に天皇制に関わる側面の話を書いてきたが、結論を書いておこうと思う。ズバリ、女性天皇は必要か?という答えに対し、私は支持層の数が多ければ、女性天皇が生まれることは必要だと思う。
ここまで、女性天皇を否定する人種を解説してきた。
そして以下に、女性天皇を欲しがる層を書いてみる。
- 男性社会が嫌な女性
- 宗教や伝統に関心がなく、女性天皇に違和感のない人
- カルト・オブ・ヤスクニが嫌な人
- 統一教会によくないイメージを持ってしまった人
こうやってリスト化すると、安倍晋三元首相が亡くなった後、一気に増えたかもしれないそうと愛子天皇を待望するかもしれない層が、だいぶ刈りそうなのが分かる。
このタイミングを見計らって、副島隆彦氏は本書だしたのではないかと思うレベルまでのばっちりさだ。私は、支持者が非支持者を数的に上回っていれば、当然、愛子天皇が誕生してもいいと思っている。だが、皇室典範の改訂は時間がかかりそうだ。
今後、岸田内閣がどう動くのか、興味深くみていきたいと思う。