読んで得られるメリットは自分に使える「お金」と「時間」が増えること。しかし、デメリットも大きい『言ってはいけない―残酷すぎる真実―』橘 玲

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橘 玲

日本の男性作家(1959〜)。本名は非公開。早稲田大学文学部ロシア文学科を卒業。元・宝島社の編集者で雑誌『宝島30』2代目編集長。経済書籍での脅威のベストセラー出版率を誇る

目次(私が興味を持った部分は太字)

  • I 努力は遺伝に勝てないのか
    【1】遺伝にまつわる語られざるタブー
    馬鹿は遺伝なのか/依存症・精神病は遺伝するのか/犯罪は遺伝するのか
    【2】「頭がよくなる」とはどういうことか――知能のタブー
    親の収入と子どもの学歴の関係は/人種とIQについてのタブー/差別のない平等社会をつくれないワケ/「知能格差」の真因とは
    【3】知識社会で勝ち抜く人、最貧困層に堕ちる人
    経済格差の根源は何か/超高学歴でエリート主義のスノッブたち/強欲な1%と善良で貧しい99%/日本社会に潜む「最貧困層」
    【4】進化がもたらす、残酷なレイプは防げるか
    犯罪は「凶暴な男」の問題/進化のために赤ん坊が殺される/妻殺しやレイプを誘発する残酷な真実/オランウータンもレイプする/夫婦間のレイプはなぜ起こるのか?
    【5】反社会的人間はどのように生まれるか
    こころを支配するもの/心拍数と反社会的行動の因果関係/犯罪者になる子ども、実業家になる子ども/「発汗しない子ども」は良心を学習できない/「賢いサイコパス」と「愚かなサイコパス」/少年犯罪者や異常性欲者への驚愕の治療法/脳科学による犯罪者早期発見システム/子どもの選別と親の免許制/非科学的な人権侵害よりも脳科学による監視社会を
  • II あまりに残酷な「美貌格差」
    【6】「見た目」で人生は決まる――容貌のタブー
    写真から性格や未来がわかる外見から知性は推測できる/「最初の直感」の的中率/「面長の顔」は「幅の広い顔」に殺されている/顔立ちによる残酷すぎる損得
    【7】あまりに残酷な「美貌格差」
    美人とブスでは経済格差は3600万円/「美貌格差」最大の被害者とは/会社の業績を上げる経営者の顔とは/容姿による差別を生む市場原理
    【8】男女平等が妨げる「女性の幸福」について
    「男と女は生まれながらにしてちがっている」/男と女は別々のものを見ている/「男らしさ」「女らしさ」の正体とは/「母性愛」のもと、オキシトシン/男女でちがう「幸福の優先順位」
    【9】結婚相手選びとセックスにおける残酷な現実
    一夫多妻と一夫一妻はどちらが得か/メスの狡猾な性戦略/避妊法の普及が望まない妊娠を激増させる/低学歴の独身女性があぶれる理由
    【10】女性はなぜエクスタシーで叫ぶのか?
    ヒトの本性は一夫一妻?/睾丸とペニスの秘密/女性の性衝動は弱いのか?/チンパンジーとボノボ/農耕社会がすべてを変えた?/女性がエクスタシーで叫ぶ理由/フリーセックスのユートピアは遠い
  • III 子育てや教育は子どもの成長に関係ない
    【11】わたしはどのように「わたし」になるのか
    双生児の奇妙な類似/「高貴な血」と「穢れた血」/遺伝するもの、しないもの/「こころの遺伝」の明暗
    【12】親子の語られざる真実
    「氏が半分、育ちが半分」の真偽/言語・宗教・味覚にまつわる遺伝の真相/子どもはなぜ親のいうことをきかないのか
    【13】「遺伝子と環境」が引き起こす残酷な真実
    同じ遺伝子でもちがう性格になるケース/「選抜された22人の少年たち」の実験/黒人少年が生き延びるたったひとつの方法/英才教育のムダと「バカでかわいい女」

本書を読むべき人

  • 人生で変な損をしたくない人
  • 今置かれた状況から脱したい人
  • 子育て世代
  • 地方在住の10代

正真正銘の「言ってはいけない」を知るとはどういうことか?

本書は、目次の詳細までわざわざ載せた通り、世界中の言ってはいけないタブーの中でも選りすぐりで重厚感のあるものを集めた書籍である。本文中にはしっかりとエビデンスも載せてあり、ほとんどが反論できないレベルのものだ。

この本を読むことで、多くの人は憤りを感じ、夢や希望で語られてきた人生が、本来、全くと言っていいほど制御できないことを知る。これからの人生の苦労の連続を、改めて厳しい、きつい言葉浴びせられかけるような、そんな体験をするはずである。

著者は何故この本を出したのか?

第一に考えること。著者はなぜ、このような本を出したということだ。もっというと、この本は誰に向けて書かれたのかを知ることが重要だ。

当然、おい先短い老人に向けては書かれていない。老人はこの本を読めない。

つまり、この本は若い世代向けて書かれた本である。年齢的にどこまでが若い世代かは難しいが、本書の内容的に子育てのトピックが多いため、少なくとも、子育てが終わりきっていない人までは含まれる可能性がある。特に首都圏に住んでいないと手に入らない情報が多いため、地方在住者に私としてはお勧めしたい。

私が本書のキモだと思ったセクション

私が興味深く読んだのは、双子を別々の教育環境に置く実験を書いたセクション(第3章12の親子の語られざる真実)このセクションでは、生まれた後の教育が全くの無駄であるということが徹底的に語られている。そのほかにも、この本の全体が、リベラルいわゆる自由主義者の主張としてある、努力すれば夢が開ける系の話を全否定している。

世間は、このような事実が確かに広まるのを阻止してきた気配がある。それは何故かというと、努力すればよくなるかもしれない、という理想は、全ての流通経済に密接につながっているからで、これが近代からの人間社会をずっと支え続けてきた思想だからだ。

だが、一般的な日本人がずっと感じてきたであろう社会の閉塞感は、本書で語られる事実を認めることで、かなり割合で納得感があるのは確かだ。そして、その最たるものが、この双子で教育論を首実験したセクションとなる。結果は、言わなくてもわかるだろう。

本書を読む最大のメリット

このような、人生がとことん見込みながなく、辛くなる本を読む必然性はどんなところか考えてみる。その流れとして、本書を読むメリット箇条書きしてみる。

  • 自分が負ける局面を事前に判別し、抜けせる
  • 子供に無駄な教育費用をかけなくなる
  • 結婚にあらぬ妄想をしなくなる・無駄な費用を使わなくなる
  • 一般常識・礼節の不要な部分から、逃げる準備ができる
  • 上記の結果として、自身に使える有効な時間・費用が増える

本書のメリットは、人の知らないことを知る、ということと、一般で必須とされている常識・礼節の無意味さを確認する、という2点が重大な要素だ。これらの『言ってはいけない人類の2ジャンルの無駄』いずれも、産業などに紐付いて、金銭的な面で人間社会に影響している。

これらを拒むことで得られることは、オウム返しにあるが金銭的なメリットである。と同時に、それらに費やす時間も無くなるので時間的なメリットも多くの場合享受できるであろう。

つまり、本書を読むことで自分に使える『金銭』『時間』が増えると言える。

本書を読むデメリット

本書を読むことで、当然デメリットも発生する。これはタブー全般に言えることだが、それを知ることで態度や行動が変わる可能性が高まり、社交性に支障が出ることが想定される。それによって、予期せぬ孤立も増えるだろう。人によっては、メリットよりもこちらの方が大きい場合もある。

以上が、私が本書を読んでこれから読もうとする人に伝えておきたいと思った内容である。
簡単にいうと、読むにはそれなりの覚悟(影響を受けるので)をしておいた方がいい。ただ、人間すぐ忘れるので、そういう人は、別に気にしないでいいとは思う。

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