たぱぞうのファンは読まない。だが、思わぬ使い道がある本『経済的自由をこの手に! 米国株で始める100万円からのセミリタイア投資術 』たぱぞう

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著者紹介

たぱぞう(本書を読む限り1978〜79年生まれ)

2000年より投資を始め、2010年以降、米国株投資を中心に行う。2016年自らの投資観をブログにて書き始める。現在平均月間100万PV。「誰でもできる投資術」「誰でもわかる海外投資」をモットーに執筆中。2019年刊の初著書『お金が増える 米国株超楽ちん投資術』がベストセラーに。

本書を読むべき人

  • 全く投資をやったことがない人
  • 投資をしようか迷っている人
  • 物凄く間違ったやり方で株式投資を始めてしまった人
  • 大損している人
  • 投資を理解してくれない妻、夫に読ませる本を探している人
  • 資産作りのゴールを決めたい人

株を買って損してないなら時間の無駄かも

私は、リベ大両学長の動画で宣伝されているのを見て、この本の存在を知った。

著者のたぱぞうさん自体は、ずっと前から米国株の本で知っており、悪い印象は持っていなかった。

だが、本書から私は何も得ることができなった。

彼の情報は、リベ大の両学長のほぼ100%焼き直しになってしまっており、情報強度も低く、改めて学習するべきものでなかった。こんな本を両学長が宣伝したのだから、無駄も多かっただろう。

超初心者に向けて書かれた本

ということは、おそらく私は世間でいう“初心者”ではないのだろう。

とにかく、一般的に知られている株式投資や不動産投資のざっくりした概要だけしか載っていないことにがっかりした。例えば紹介している銘柄は、株式投資をしている人なら誰でも知っているVTIとかだ。不動産投資も“仲間が大切”くらいなことしか書いていない。

通勤電車で本書を読みながら、私はメルカリで売ることばっかり考えていた。

角川編集者が「尻込みして」編集したダメ本

たぱぞうさんの知名度、彼のブログの内容を鑑みると、到底、彼のファンが読むべき本ではない。では、なぜ、このような私にとってはクソな本を彼は出すことになったのだろう。

それはおそらく、本書を出版した角川の編集者が考えたプランである可能性が高い。

ただ、この書籍を出した後に開設された「たぱぞう投資大学」(名前からして両学長のリベ大のパクリだが)もひたすら投資初心者への動画ばかり出している。しかも深みがない。

最近、更新頻度が徐々に減ってきている『たぱぞうの投資大学』は内容が浅く、かと言って次の段階に進めるような上級につながるようなものでもない。彼は専門分野に深く踏み込むことに適しており、両学長のような網羅性と深さの才能はないのかもしれない。

紙の本の読む層は投資初心者しかいないという“読み”

私はかつて角川とほぼ似たようなレベルの出版社で編集者をしており、わかっていることがある。それは、投資というジャンルにおいて、初心者本をそれなりの著名ブロガーなどを使って作るという企画は、社内会議でも通りやすく、現に他のジャンルの本を出すよりはハズレは少ない

だから、どの編集者も競ってこのような書籍を出したがる。ところが、えてしてそういう動機で書籍を作ると、無難さを通り越した酷めの書籍を作ることになる。

高額な購入代金を払って、じっくり読むには酷すぎる“優しさ”だとしかいえない。

ネットユーザーはすぐに、投資でハイレベルのアドバイザーに行き着く

だが、この本を書いた後、たぱぞうさん自身も“安易な初心者路線”にハマってしまった。

私は、彼の魅力は多彩な銘柄選びと、株式投資だけはない、税制面や不動産投資のなどの広域な知識のわかりやすさであり、そもそもが超難しいものをわかりやすくする才能があるだけで、初心者向けコンテンツを作るのには向いていないと思う。

この本の活かし方:投資を理解しないカタブツに読ませる

先ほども述べたが、この本は投資の知識を得る以外の用途に適している。

それは、株式投資を理解してくれない家族・身内に読ませるという用途である。本来、投資本にあるようなインチキくささがなく(これは両学長の本にすら充満している)、独特の奥ゆかしさ(人を不安にさせない安定さ)があるからである。

投資を理解しない=数字の説得性を拒否

それは、投資を理解できない、勉強が苦手で、数字が嫌いで、怯えてばかりいる人間に、有効な書籍であるということだ。そういう人にベストな作りになっている。

儲け話というのは、ほぼ全て数字を盛って、儲かっているふうな説明をするために、一度拒否をしたら全ての数値を否定的に見たり、無視したりするのは、投資拒否者の特徴である。

そういう人間には、こういう“奥ゆかしさ”以外は通じないケースが多いと思う。そう考えると、その用途に関しては、かなりの用途が見込めると思う。

日本の株式投資家の多くは家族に理解されていない

私もそうだが、妻に株式投資のことを理解してもらえていない投資家は多いと思う。

というか、日本では国民全体に株=詐欺 or 大損みたいなイメージがつきまとっていると思う。これは、日本株が長期低迷したことと、団塊の世代が退職金を野村證券や大手銀行のなどに薦められたダメダメ金融商品によって大量にスったことが原因だと思う。

2015年くらい以降は、ネット銀行の取り扱い範囲が広がってこのような状況は改善されたが、それでも株式投資をしない人のイメージは、1990〜2010年代前半のままだといえる。

膨大に送られてくる「株主通信」「株主総会・報告書」などのクソ書類の山のキモさ

日本株は決算期になると、株主通信とか、配当書類とかが、強引に自宅に郵送されてくる。これがまた家族からの印象が非常に悪い。封筒のデザインも土建屋やヤクザ色(総会屋)の強い昭和なデザインであるのもある。このせいで、株をやっていることがバレ、キモがられる。

60銘柄を保有している私は、一年で100通以上の手紙を受け取る。

バカな制度だと思う。これが嫌で日本株を買いたくないという資産家も少なくない。

こういう家庭には、家族の説得のために本書はあってもいいかもしれない。

結論:買うなら、献本用

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