著者紹介

ジェイソン・ハンソン
年齢非公表。元CIA諜報員でセキュリティのスペシャリスト。CIAで卓越した実績を残した諜報員におくられる『Exceptional Performance Award』を約10年の在職中に2回受賞。現在は起業家のビジネス拡大をサポートするマーケティング会社と、サバイバル会社Spy Escape and Evasionの経営者。政治家や著名人へのセキュリティサービス、護身術トレーニング、サバイバルグッズ販売などを展開。著書に『Survive Like a Spy』(未邦訳)、『状況認識力UPがあなたを守る』(パンローリング株式会社)がある。
本書を読むべき人
- 接待費の上手な使い方を学びたい人
- 会えない人に会うための方法を知りたい人
- 見知らぬ土地で、新規事業を慎重にするタスクがある人
- 会話の奥深くに隠れたメソッドを知りたい人
- 態度学的な、相手の反応を深く読む方法を知りたい人
目次(注目箇所は詳細も掲示:ちょっと長いがご容赦)
はじめに 「スパイスキル」は「最高のビジネススキル」
序章 世界最強のビジネスマンになる
- 自分の能力はぜったいに疑わない
- スパイが100%の自信をもつ理由
- 困難な状況を切り抜ける機転のきかせ方
- 助けを求めるベストなタイミングとは
- 問題は「おそれるもの」ではなく、「対処するもの」
- 常識にとらわれない発案をするには
- 相手の警戒をとく「共感力」
- 感情を自由自在にコントロールする方法
- 世界最強のビジネスマンは「自信反射」をマスターしている
第1部 スパイはこうして相手の心をつかむ
第1章 狙いを定める ── ターゲットの心を読み、近づく
- ターゲットを絞り込む
- スパイはけっして「ケイシング」をやめない
- 「最重要リスト」をつくる
- ステップ① ターゲットにする人の基準をつくる
- ステップ② 接触する場所を見きわめる
- ステップ③ 「ベースライン」を把握する
- ステップ④ 少しの「違い」を見つける
- ステップ⑤ あえて知人を介して紹介してもらう
第2章 評価する ── 情報をすばやく引きだし、見きわめる
- 怪しまれることなく、ターゲットに接近する
- スパイの奥の手「聞きだす技術」
- 砂時計会話術 ── マクロからミクロへ
- ステップ① ターゲットの情報を集める
- ステップ② あたりさわりのない質問をする
- ステップ③ 踏み込んだ質問をする
- ステップ④ また世間話に戻す
- 大富豪の心をつかんだ「砂時計会話術」の活用例
- 「強み」と「弱み」を自覚し判断する
第3章 人間関係を築く ── 戦略的協力関係のパワー
- ターゲットと一歩踏み込んだ関係になる
- 「コネ」ではなく「協力関係」を築く
- 「マッチング」と「ミラーリング」で信頼を勝ちとる
- ステップ① 「しぐさや口調」を真似る
- ステップ② 共通点をさがす
- ステップ③ 相手より先に「打ち明け話」をする 等
第4章 勧誘する ── タイミングを逃さない
- ターゲットから思いどおりの言葉を引きだす
- 「断られないオファー」のタイミングを見わける
- 「魔法の瞬間」を見抜く3ステップ
- ステップ① けっして急がない
- ステップ② ボディーランゲージに注意を払う
- ステップ③ 相手が売り込んでくるかどうか、見きわめる 等
第5章 生産性を最大化する人間関係のつくり方
第6章 マーケティング・キャンペーンを成功させる
第2部 スパイが駆使する「究極の判断力」
第7章 ぜったいに裏切られない関係をつくる
第8章 だれよりも最高の準備をする
第9章 みずから学ぶ姿勢を身に付ける
第10章 的確な状況判断をする技術
第11章 「無駄」は徹底的に排除する
第12章 超一流のスパイがもつ「誠実」という武器
アマゾンのレビューがなぜ荒れているか?
本書のアマゾンレビューは賛否が入り乱れ、批判がかなり多い。しかしながら、批判者は本書をきちんと読んだ形跡がなく、よくわからないことを書いている。
私が思うに、本書刺激的な邦訳タイトルと佐藤優氏の帯による効果、つまりはCIAをイメージする人々の勝手な解釈で、本書が対象としているビジネスパーソンに本書が届いていないではないか?Amazonではこの手のレビュー荒れはよくある。
私が、改めていう。本書は、ビジネスパーソンにとってかなり重要なことが書いてある。
近年CIAの諜報技術がなぜ流出しているか?
↑上記の私がマークした目次を見て欲しい(特に第1章1〜4の部分)。
この箇所が、本書での私が驚いた箇所だ。こんな情報をこれまで書いた書籍を私は見たことがないし、様々なスキルアップセミナー的なものや、ビジネス系学習プランの中でも、そもそもこのような視点を持ったものは存在しない。
そもそも、その内容に若干の犯罪要素やかなり危ない賭け引き要素が入っている。元CIAの冠がなければ、このような内容を説得力を持って書くことは、おそらく不可能だ。
本書の凄いところ
本書は、映画などのスパイのイメージで読むと、肩透かしを食う。その理由は、誰もがちょっと意識をすれば出来るスキルばかりで構成されているからだ。そのくせ、効果は凄いのが想像に固くない。このようなスキルは、単なる人間観察では絶対構築できないもので、長年の組織的な情報集積がないと、そのいずれも共有するレベルのような、簡素化されたスキルにはならない。
敵国(ロシア?)の科学技術者を引き抜く交渉術を全部披露
本書では、全体を通して、ある一つのストーリーがある。それは、著者が、おそらくロシアと思しき敵国の科学技術者(おそらく核・宇宙技術関連)を、アメリカに移民させる工作を図った体験談である。
見知らぬ土地に上陸 → その国の最高の科学者とコネなしで親しくなる → 弱みをリサーチ → 家族とも親しくなる → 移民交渉 → 移民手続き → 部下に移民を引き継ぐ
という流れで、本書の技術を必要な時系列で講じている。
この部分は、何度読んでも震えがくる。そして、これは間違いなくビジネスに使えるし、おそらく一部のビジネスパーソンは隠れて使っているであろうスキルが入っている。