著者紹介
副島隆彦
1953年5月1日、福岡市生まれ。本籍・佐賀市。早稲田大学法学部卒業。銀行員(インタビューなどで英国:ロイズ系の金融機関勤務だと答えている)、代々木ゼミナール講師(受験英語)、常葉学園大学教授を歴任。オバマ当選(2008)、トランプ当選(2016)の予測を的中。リーマンショックを予測した『連鎖する大暴落』、『逃がせ隠せ個人資産』はベストセラーに。
本書を読むべき人
- WSJや日経新聞など、メジャーな金融経済情報誌に頼っている人
- 平時の広瀬隆雄氏など以外に、非常時に当たる金融評論家をヘッジしておきたい人
- アルケゴスショック分析に興味がある人
- ウォーレン・バフェット分析に興味がある人
- バイデン政権の裏事情を知りたい人
著者の特徴
- 平時の金融予想は外しがち
- アメリカの選挙や経済破綻、通貨危機など非常時はピンポイントで当たる
- 2000年から金の値上がり予測をしており、現在も的中継続
- アメリカ政治学で現在も大学(慶應・法政ほか)で教科書の『覇権アメ』の著者
本書の内容:要約
本書では著者が3年ほど前に予言した2024年世界大暴落予想に基づいて、全てが書かれている。しかしながらこの著者の長期予想は、2010年代以降当たらない。当たるとしても時期がずれた状態で当たっているので、それはあまり気にしなくていいだろう。
注目の内容は、現役トップトレーダーの石山(仮名)氏との対談、ウォーレン・バフェットの分析、アルケゴスショック分析(石山との対談でも裏事情が語られる)の三つである。
ウォーレン・バフェット分析
副島氏は、日本でもかなり以前からウォーレン・バフェットの簡易な解説を得意としてきている。そして、その全体像も正しい。バフェットは昔から注目されてきたわけではなく、本書で書かれる通り、アップルとマイクロソフト株の購入を解禁してから、総資産がビックテックに追随するようになってからである。日本では、バフェット太郎のように昔から注目していた、という人間がいるが、日本の初めてのバフェット本が2008年に出版されるまでは、副島氏の本でしか登場しなかった。なので、嘘つきが多いと思う。
現役トップトレーダー石山氏との対談
また、トップトレーダーの石山氏との対談は興味深い。
二人の対談では、アルケゴスショックの舞台裏から、中国株、中国人民元の話が盛り上がる。ちょうどこのブログを書いているときに、中国共産党からの中国企業外国株式上場を今後規制していくことが報道発表された。それらに付随する内容も書かれている。また、野村証券のアルケゴスショックにおける暴露話も掲載されている。
アルケゴスショック分析:野村証券の業績悪化
対談の他にも、アルケゴスショックの分析がなされている。
アルケゴスショックは日本では単なるオプション取引と語られることが多いが、実は違う。新しいオプションの金融商品で、それにプラスして日本で斎藤工が宣伝しまくっているIG証券などで行えるCFD取引がセットになった事故である。それらの詳細が書かれている。
最後に:NASDAQ(ナスダック)創設者でアメリカ最大の詐欺師のマドフの死

最後に、私が興味深かったのはナスダック創設者でアメリカ最大の証券取引詐欺「マドフ事件」のバーナード・マドフが獄死したことが本書で語られているところだ。
ナスダックは、実は近年までこのエンロン事件やリーマンショックへと続いた最大詐欺のイメージが付きまとっていた。今、アメリカのハイグロース株を買う若い日本人が多い。そのせいで、このマドフの死は、日本のメディアでは不都合なので報道されていない。こういう、日本には届かない最新情報は副島氏の著書の特徴である。よかったら読んでいただきたい。