オリックスの優待廃止を予言。優待株の地獄も解説『現役銀行員・証券アナリストがやっている トクする株主優待の選び方: たったの3ステップ!』浅見 陽輔

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目次(audibleバージョン)

  • はじめに
  • 第1章 優待株投資は、「投資のプロ」に勝てる唯一の方法
  • 第2章 優待株投資の3ステップ
  • 第3章 ステップ1「欲しい」と思える優待品を探す
  • 第4章 ステップ2 「優待利回り」を確認する
  • 第5章 ステップ3 企業について調べる
  • 第6章 優待株選びで使えるテクニック6選
  • 第7章 優待株を買う・売るタイミング
  • 第8章 現役銀行員・証券アナリストが実際に投資する優待株9選
  • おわりに

ブログ主のまとめ

日本の銀行業の雇用状況からして、おそらく副業は禁じられているだろうから、浅見 陽輔という著者名はペンネームである可能性が高い

この本の特性としては、彼ら金融業の労働特性を語りつつ、なぜ日本の優待投資がスタートし、現在に至るかを語りながら、独自の視点で優待投資の魅力を語っている点が、いわゆる桐谷さん(桐谷広人)らの一般投資家との差異だといえる。

能力が実はかなり低い銀行員

見出しに『証券アナリスト』という文言が入っているように、著者は勤め人としては真っ当な経歴を持つ。金融系の一見役に立ちそうな資格を、そのほかにも多く持っていることが本には書かれている。

だが、トレーディングが恐ろしく下手くそであるという自認があり、これまで自身の資産を、株・債権などの購入でドブに捨てた経歴を、最初の方で長々と語る。

そういった、優待株にまで辿り着く経緯を語ったあと、ようやく本題に入っていく。

優待株が誕生した背景=税金回避 & 業績ごまかし

著者曰く、世界的に見ても珍しい日本の優待株はなぜ生まれたかという理由として、差異たるものは富裕層の税金を払いたくないという思想だとのこと。これを軸に優待株の特徴を列挙していく。

日本の優待株の内情

  • 無税で支給できる
  • 不良在庫を処分できる
  • 業績が悪くなっても売られにくい

優待株のリスク:ワナ優待銘柄の存在が8割

本書では、優待株のメリットよりもむしろ優待株のリスクが詳細に語られているのが特徴である。その例として、さまざまな具体的な企業名が語られる。

ここでは一つだけ、本書からピックアップして語っておきたい。銘柄名は「アマガサ(3070)」である。この銘柄は、豪華すぎる優待に相反する、年々下降していく株価毎年のように語られる倒産リスクの辛い側面が特徴だといえる。

蟻地獄のようなアマガサの株価
アマガサの優待であるダイアモンドネックレス(アマガサ公式HPからの引用)

オリックスの優待廃止を予言

この著者の本の内容は、そのほかにも他の優待本より優れている点がいくつかある。その中に、優待停止のリスクを扱った部分が挙げられる。

関連記事:「オリックスの決断で波紋、「株主優待廃止」が及ぼす影響度」

ぼそっとだが、この著者は業界を大きく騒がせたオリックスの優待廃止も予測している。このオリックスを、おすすめ優待ベストに選びながらも優待がなくなる可能性は高いとはっきり書いている。

優待廃止リスクが高いクオカード

今や優待のメインストリームともいえるクオカードだが、実は優待廃止銘柄の最大の特徴はこのクオカードでもある。

この著者が暴いたのは、クオカードを優待にする企業は、株主を食い物にし、優待をすぐに止める可能性が高いということである。この事実を私は知らなかった。

また、オリックスの例にも挙げられるがカタログギフトも、優待廃止リスクが高く、この本では推奨はしつつも、警鐘を鳴らしている。

とは言え、クオカードは送料も安く、オリジナル商品も作りやすい。それに対して、カタログギフトは制作にも時間がかかり、送料などの企業側の負担も大きいため、始めることが億劫であるが故に、クオカードほどの廃止リスクは少ないという。

そのほかにも、本書にはさまざまな優待株のトラブルが書かれており、むしろメリットより積極的にそのデメリットを語る姿勢が、私的にはためになった。

Q:どんな人が読むべきか?

A:優待制度に否定的な本や文章を読んだことがない人。

確かに、桐谷さんの本には多少の優待株のリスクが書かれているが、それ以上にこの本は使える。

なぜなら、この著者は相当の優待株の歴史マニアであり、メルカリなどで優待株ムックのバックナンバーを買い漁って、過去の優待の歴史を調べ上げている。

それゆえに、素人を騙す優待制度の発生の仕方や、優待制度の廃止に至る工程に尋常ではないくらい詳しい。また、上記のアマガサのような、含み損を抱えてしまう泥沼の優待株について、実に丁寧にかなりの文字数を割いて記述している。

それゆえに、初心者だけではなく、上級者にとってもかなり有益な本だといえる。

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