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著者紹介

ジェームズ・アレン
1864年、英国生まれ。
イギリスので父の事業の失敗により破綻を経験し、家族での渡米を決意。
しかしながらアメリカのフロリダで暮らし始めた直後に父親は強盗に襲われ、亡くなる。そのため15歳で学校を退学。以後、さまざまな仕事に就きながら独学で学び、最終的にはコンサルタント業を営むことになり、その手法を解説した書籍を出版するために38歳で執筆活動に専念する。
作家としてのキャリアは他界した1912年までの9年間と短いが、執筆された19冊の著書は世界中で愛読され、とくに1902年に書かれた『AS A MAN THINKEHT』は、現代成功哲学の祖として知られるナポレオン・ヒル、デール・カーネギー、アール・ナイチンゲールなどに強い影響を与えた。いまなお、自己啓発のバイブルとして、世界中で読まれつづけている。
目次
- 思いと人格
- 思いと環境
- 思いと健康
- 思いと目標
- 思いと成功
- ビジョン
- 穏やかな心
内容(出版社の文章)
ナポレオン・ヒル、デール・カーネギー、オグ・マンディーノなど、現代成功哲学の祖たちがもっとも影響を受けた伝説のバイブル、『AS A MAN THINKEHT』。聖書に次いで一世紀以上ものあいだ多くの人々に読まれつづけている驚異的な超ロング・ベストセラー、初の完訳。
なぜ本書がクソ本なのか?
名著墓掘りビジネスの典型例(悪い例)
以前、ウォーレン・バフェットの師匠である投資家ベンジャミン・グレアム『賢明なる投資家』であったり、本田圭佑が読んでいたことで注目されたサミュエルズ『自助論』などの、悪徳な名著ビジネスの闇について、編集者としての経験をもとに書いたことがあった。
本書のその系統と同じ、不要な本を墓から掘り起こして『名著風』な味付けをした、本当にあくどいビジネスである。これからその理由について書いていく。
関連記事:『賢明なる投資家』ベンジャミン・グレアムは、本当に今でも読む価値があるのか? 権威古書本ビジネスを暴露しつつ、注意深く読む
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版権切れのページ数の少ない本を、本を読みなれない高く売る
本書は、著者が瞑想で獲得した『美しい思考』の羅列であり、非常に抽象的で、現代ではほとんど意味のない内容である。
しかも、文字数が少ない上に67ページ(訳者コメントなども含む)と本として極端に少ない。
普段読書をしない人たちにとって「歴史的な名著」を、こんなに手頃に読めるのなら、かなりいい気分になる。通常、歴史的な名著は無駄な記述も多く(本書も無駄が多い)、難しい記述も少なくないために、読むのに断念しがちである。
本書が売れた理由:時代背景が90%
また、本書がアメリカやヨーロッパで売れた理由には、当時の欧米での時代背景が強い。
1900年代の世界では、まだ現代のような自由主義的な思想は受け入れ難く、参政権に関しても、欧米でさえ、奴隷(黒人)と女性には無かった。その点で、この本の有り難みがあった。
しかし、現在の日本はこのような時代背景はゼロである。
今の日本でこの本を誉める根拠はどこにもない。
役割の終えた本を、名著として売るビジネス
現在、アマゾンだけでもこの『原因と結果の法則』は、10種類以上のバージョンが、さまざまな出版社から出されており、その全てが同じ内容であるにもかかわらず、違う印象を与える表紙の加工がなされている。まさに、一覧するとアホみたいな状態だ。



ひどいところは、分冊までしてしかも高値で販売されており、これはひとえに広告戦略とマーケティングを行える同社のセールス力の賜物と言えるだろう。
“名著ビジネス”から距離を置く方法
では、なぜ、このようなビジネスをさまざま出版社が行ってしまうのかを最後に説明しておきたい。
それを知ることによって、今後、この手の本を見抜けるようになるだろう。
- 電子書籍版は価格を操作できる(1円などの低価格にしてからレビューを投稿)
- 書籍はサクラレビューがバレにくい
- 名著圧力(広告宣伝費)を利用できる
- 版権がないため、コストがかからない
- アマゾンのセール対象になりやすい(歴史的人物特権)
以上が「名著ビジネス」の旨味だ。
だが、これらのビジネスは当然、大手の出版社は手を出さない。
よって回避するためには次のことをすることをお勧めする。
- 新興・中堅出版社の復刻本を疑う
- 電子版のみが出版されている場合は、再検索してみる
- 復刻本は、なるべくレビューを参照にしない
以上である。
Q:なぜ、このようなビジネスをするのか?
A:新刊は企画・出版のコストもかかり、ほとんどが赤字だから。
また「名著」だった書籍は、無名の新人や落ち目の作家よりも、知名度が低い分、有効なマーケティング戦略を立て易い。あらかじめwikiぺディアなどの媒体を追加・更新しておいてから、このような活動をするために、現代では否定的な情報もコントロールしやすく、リスクは極端に低い。
また、同業他社で広告力の高い出版社が出現すれば、その恩恵を末端の極小出版社もあずかることができる。よって、作品選びを間違えなければ、かなり旨味のある商売だと言える。
ただし、吉川英治やドストエフスキーなどのように例外もある
だが本書のような名著ビジネスが全て悪いとは言えない。中には、本当にまだまだ役に立つ名著を出版するに至っているケースも少なくないからだ。
例えば、さまざまなバージョンがある吉川英治やドストエフスキーはそのいい例だと思う。
さまざまな出版社が、復刻本を乱立することで、定価がどんどん下がり、中には限りなく無料に近くなるケースもあるからだ。
よって結局のところ、本の見極めが大事で、クソ本であっても、安いと感じたら買ってみるのは、いいのかもしれない。
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