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この記事を書く、私、PIT監督とは?
2000年代前半からライター・ディレクターとして活動。その後、東京芸術大学大学院映像研究科を修了し、映画監督と社会人を平行でこなす。
多くの海外の映画祭で受賞・上映歴あり。
助成金を受けた映画製作経験も複数あり。
現在は金融系の出版社で編集者をしつつ、世界基準の海外ビジネス系書籍を読み漁る。不動産投資、株式投資も行う。
年間読書数は400冊そのうち約半数をブログで紹介。
はじめに
アメリカのビックテックの闇情報を暴露する数少ない人物:スコット・ギャロウェイ
アメリカのビックテックとは一体何なんなのか? それをきちんと解説している知識人は少ない。しかもその良さ・優位性だけではなく、リスクやデメリットなどは近年ずっと語られずにきた。
そもそも、世界を席巻するアメリカ・ビックテックとは
このページにくるくらいのでGAFA(ガーファ)やFANG(ファング)という言葉を知っている人はほとんどだと思うが、主要な企業以外でどんな起業があるのか? そもそもなぜ、米国の巨大IT企業がビックテックと言われているのかを考えていみたい。
構築に時間のかかる“世界基準”を、圧倒的なスピードと圧力で浸透させるのが:ビックテック
GAFA+M(グーグル・アップル・Facebook・アマゾン+マイクロソフト)は、この20年で圧倒的な規模となり、細かなイノベーションで瞬時に“世界標準”という形で、私たちの生活から仕事までを全て上から管理するようになった。
他にもテスラやNVIDIA(エヌヴィディア)、shopify(ショッピファイ)、Spotify(スポティファイ)、PayPal(ペイパル)などの企業が日本に進出しており、本来なら国産企業があってもいい市場を独占支配している。
これらの企業は、少しでもサービスに欠陥があったり、使えない要素があると瞬時に改善して、さらなる心地よさを私たちに提供する。
それが、経済的な支配だとたいていの人間はわからない。だが、これらの企業の影響力が増えれば増えるほど、国内企業は疲弊し、通貨が海外に流出していく。
ビックテックは“ブランドを否定する”
このページで取り上げる三つの書籍は、ブランド戦略家のスコット・ギャロウェイによる書籍である。彼の書籍は、いずれもビックテックを攻撃し、貶める書籍である。
なぜ、彼はビックテックの闇を暴く書籍を書いたのか?
それは、ビックテックが快適さを武器に、実効支配する企業集団で、イメージや妄想を利用する“ブランド”を徹底的に破壊したからだ。
つまり、スコット・ギャロウェイ自身がビックテックの標的だったのである。
ビックテックを分散化し、集中をやめさせるために
スコット・ギャロウェイ自身は、著作の中で“人間性”だとか“良心”を強調したり、自身の容貌であるハゲをネタにして、実に人間臭いやり方で私たちにアピールしてくる。
ただ、彼のブランド戦略は非情なものが多く、彼自身もビックテック並みに血も涙もない人間だ。それでもこの戦略をとってくるのは、彼にはビックテックの弱点が見えているからに他ならない。
以上のことを踏まえて、彼の三部作を紹介したいと思う。
著者紹介

スコット・ギャロウェイ(1964〜)
ニューヨーク大学スターン経営大学院教授。ブランド戦略とデジタルマーケティングを教える。特にブランド戦略の専門家として著名で、経営者でもある。
L2(ブランド情報分析会社)、Red Envelope、Prophetなど9の会社を起業。ニューヨーク・タイムズの役員も歴任。クレイトン・クリステンセン(『イノベーションのジレンマ』著者・名著!!)、リンダ・グラットン(『ライフ・シフト』著者)らとともに「世界最高のビジネススクール教授50人」に選出。『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』は20万部のベストセラーになり、日本では「ビジネス書大賞2019 読者賞」「読者が選ぶビジネス書グランプリ2019 総合第1位」の2冠を達成、日本に本来のFANGではなくGAFAという言葉を定着させる原因となった笑。
プライベートではTwitter社の株を自腹で買い、株主総会に出席。
自分を役員にするように働きかけたり、ニューヨーク・タイムズ役員として社長の交代に動くなど、モノ言う投資家としての面も強く持つ。グーグル、アマゾン、マイクロソフト、アップル、フェイスブック研究は長期に渡る。
著作紹介

おすすめは『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』です。
この本は誰もが諦めかけた完全無欠のGAFAを、どうやって切り崩していくのか?という視点に立って構成されています。
まずは、GAFAがどんなに恐ろしい力で私たちを支配しているのか?が語られ、それから各社(アップル・アマゾン・グーグル・フェイスブック)の解体分析をします。
すごいのは、それぞれの弱点を描き切っているところ。また、これからの若い世代が、これらのビックテックとどう接するべきなのかの、非常に難しい指南もおこなっているところです。
おそらく本書はGAFAの社員も読んでいるでしょう。
『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』
関連記事:GAFAの恐怖を暴いたが、実は新卒生向け就職本。GAFAに潰される企業・起業を見抜く『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』スコット・ギャロウェイ

『ニューヨーク大学人気講義 HAPPINESS(ハピネス)』
ギャロウェイは、次に次世代を担う若年層のエリートを取り込もうと考えました。彼らが、ビックテックに盲目的に憧れを持っている間は、アメリカが非常に危険な国になる可能性が高い。そう思っている節がある。
そんな彼の選んだ手法は「幸せ感とは何か」というド直球な問いでした。
ビックテックの経営者も従業員も、毎日ある種の限界に挑み続ける人種で、それはいわゆる奇人になることを要求されます。
それを、拒否しろ、と彼は本書で語り始めるわけです。
『ニューヨーク大学人気講義 HAPPINESS(ハピネス)』
関連記事:前著を読んだ人だけ読むべき。GAFAは無関係『ニューヨーク大学人気講義 HAPPINESS(ハピネス)』スコット・ギャロウェイ

『GAFA next stage ガーファネクストステージ』
前作のGAFA本とは打って変わって、業界の全体像から新陳代謝的なものにこだわった内容になっています。
具体的には、観光、金融、モビリティ、シェアオフィスなど細分化がなされており、コロナ後に大量にIPOして登場したポストGAFAのITベンチャーを取り上げて、さらなるアップデートがされています。
GAFAの解体論の信憑性やその凋落の前兆に関しての考察がなされているのが見逃せません。
『GAFA next stage ガーファネクストステージ』
関連記事:コロナ後、GAFAの寡占が強まる。ビックテックの2020-21年動向手法分析『GAFA next stage ガーファネクストステージ』スコット・ギャロウェイ
Q:読むべき人はどういう人か?
A:個人的には新卒生・大学生だと思う。
ギャロウェイ自身が普段は大学の教授職をしているため、その著作の全てが、学生に向けて書かれているような気がするのだ。わかりやすいという意味ではなく、将来性を見据えて書かれており、知識の共有ではなく、永続するヴィジョンの共有という側面が強い。
だからと言って、30代以上の人を見捨てたかというそういうわけではない。若者以外も読んで非常にためになる本なのは間違い無い。
Q:何に役立つか?
A:わからない。
なぜなら、これらの書籍はアメリカの大学生に対して書かれたもので、そもそも日本人には書かれていないし、おそらくギャロウェイ自身が日本にきたことがないので、そういうアジアの小国のことを考慮する向きはないという気配が漂っている。
それでも役に立つとしたら、IT企業をしようとしている人やそれこそGAFAやビックテック系の日本企業に就職しようとしている人々だろう。
痛い思いをするのを回避できる、みたいな感じではなく素養として知っておくべき内容だと思う。
もちろん、そもそもがビックテックに支配される世の中の不幸の側面を描いているのは間違いない、がそこ知ってもできるとが限られてるし、せいぜいやれても契約しない、買わないとかの地味な不買運動しか今のところないのもある。ただ、彼の書籍は読んでてて結構楽しい。
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