はじめに
今回は個人用プリンターについて書いてみたいと思う。
ちなみに、なぜこんな記事を書こうかと思ったかというと、現在、私の仕事では紙を印刷することが増えまくっているからだ。その分量は、コロナ前の20〜30倍になってきている。
その理由は以下のようなものだと思われる。
個人の側の事情
- PDFの発達
企業側の事情
- 企業がサステナビリティ(SDGs)的に印刷を控えたがる
- 業務用レザープリンタ業界の衰退
- レイザープリンタのインクの高騰
先に結論
購入したのは、インクをダイレクトに注入するEPSONインクジェットプリンター
先に結論を言っておくと、購入したのは、EPSON EW-M674FT という、インクをダイレクトに入れるタイプのインクジェットプリンターである。
その購入に関して、私は当初、個人用のレーザープリンター(A3版対応)を購入しようと思っていた。だが、インクジェットプリンタにコロナ中に革命的な発明が起きており、考えを改めた。
インクジェットプリンタのパラダイムシフト
脱カートリッジ
コロナ禍でエプソンがエコタンク式のモデルを開発・リリースした。
この、エコタンク式は、従来のカートリッチ式に比べて、5〜10倍の印刷コストの低減を行える。単純に、1ボトルの印刷量が、カートリッジの印刷枚数の10倍程度となったのだ。
また、この方式は、市場を散々荒らしていた非正規のリサイクルトナー業界を撲滅もでき、メーカーは顧客に質の良いインクを永続的に販売することができる。
これは、私も驚くようなパラダイムシフトだった。
プリンタ選びの前提
ということで、プリンタの比較の方針は以下の通り
当初、私は個人用のレーザープリンターを購入しようとしていたので……
- インクが安価だと想定していたレーザープリンタの個人用を適正価格帯でチョイス
- 「滑り止め」でインクジェットプリンタで、インク代が抑えられたタイプをチョイス
以上の形で、比較を進めていった。
年間コストの基準値算出
私のプリンタ使用状況をざっくり解説しておく。
事業での印刷状況(ウェブ校正、ライティングなど)
モノクロ:月々200枚=年換算2,400枚
カラー:年換算50枚
映画監督としての印刷状況(企画書・脚本、シナリオスクール運営)
モノクロ:年換算1,500枚
カラー:年換算200枚
私生活での印刷状況(妻、確定申告、帳簿、息子用)
カラー:50枚
合計(コスト計算の基準値)
モノクロ:4,000枚程度 カラー:300枚程度
を、年間コストの基準値とする。
ちなみに、その当時使用している私のプリンタでは、4000×3円、300×8円で、約12,400円の印刷コストがかかっていた。7年以上使用して、黄色のインクが出なくなり、インクのロスも買った当初より早くなっており、ポンコツ化していた。

購入コストシミュレーション!
ここでは、私が購入するときの考え方を書いてみたいと思う。
プリンタ購入に求めるもの
- 減価償却的に本体代は2万〜6万くらいまでOK
- 年のコストは、低ければ低い方が良い
- 純正インクで、大容量タイプのあるもの
では、製品選び……
実際の製品選びは、ここで述べるもの以外ももちろん膨大に見えている。
ただ、最終的に私が過去に使ったことがあるキャノン、ブラザー、エプソンの3メーカーに絞った。特に、個人用レーザープリンタの適正価格帯を出しているブラザーにはとても期待した。だが……
そんな製品選びの葛藤を以下に書いていく。
キャノン:A4インクジェット複合機 特大容量ギガタンク搭載 G7030
キャノンは、長らく本体低価格でインク代が高額のインクジェットプリンタを多く作ってきた。私もそれらの一部を使った。クソ製品だった。おそらくこれが個人用インクジェットプリンタの評判を著しく落とし、安物買い銭失いの流れを過大に構築していった。
そんな中で、ようやくキャノンが反省をして作ったエプソンのパクリっぽい脱インク代ぼったくりモデルを今回の比較対象にしたいと思う。 ギガタンクシリーズ『G7030』である。
こちらは2023年モデルで、最新モデルであるところに期待した。エプソンが出たのは、2021年で2023年モデルがイマイチだったので、キャノンをまず、クビ実験することにしたのだ。
コストは以下の通り

インクボトルは、4色セットで大体6,000円前後だ。
年間印刷コスト:約2,300円となる。
これらのコストは、業界のパイオニアであるエプソンと同等である。そのため、品質が良ければ充分買いを検討できる基準ではある。
だが、私はなんとなく不安が感じられた。キャノンには用心しなければいけない。
インク業において、数々の悪行を続けてきたキャノン。このインクコストの信ぴょう性も怪しい(エプソンのように、印字面積10%換算とかがない)し、やはり御手洗会長時代のドス黒い詐欺的なぼったくりトナーの企業が、一気に解脱するとは思えなかった。
製品クオリティを推測:評価☆☆(5段階中)インク詰まり申告多し……その他も

レビューの悪評価を見る限り、やはりタンク式プリンタの元祖であるエプソンに対して、焦って作られたモデルらしく、故障やインク詰まりでのトラブルについてのレビューが多く見られた。なのに、エプソンより、印刷コストは高い。
また、そもそもキャノンは販促費・広告費が膨大に使われているせいで、販売台数が多く、その分、ユーザーサポートも良くないというレビューが目立つ。
個人的には、この時点で候補から排除した。やはり、かつてのインク代ぼったくりモデルから、企業スタンスが脱却できていない。
いわゆるSGDs問題が目立っているように思えた。
第一志望のブラザー個人用レーザープリンタ複合機をみるが、大失望!
次に、ブラザーのレーザープリンタを選んでみる。
私はかつて、ブラザーのモノクロレザーを使用していたことがあり、多少だがその使い勝手はわかる。しかし、ここで私は大きなことに気がつく
印刷コストが圧倒的にNG レーザープリンタ業界はガラパゴス化か

コロナ以前だとレーザープリンタのコストは、インクジェットを圧倒して安かった。だが、今回、このほかにもレーザープリンタを探して見てわかったのは、ボトル式インクジェットプリンタのコストに置いて行かれてしまっている、絶望的な敗北感だった。
年間印刷コスト:17,620円!!!(約3年でエプソンのプリンタがもう一台買えてしまう)
なんじゃこりゃー!!
確かにレーザーは、印刷スピードや印字物が水濡れに強い、などあるが、そのメリットはもはやこのコストでは、無視できてしまう。
オリジナルのエプソン強し
エプソン:A4ダイレクトインク注入式複合機(これを結局買った)
ブラザーのレーザー複合機がボロクソだったことから、しぶしぶインクジェットプリンタを探すことになった。そんな中で、最終的に決めたのはEPSON EW-M674FTだった。
ダイレクトインク(一般的にはボトル式というのか……?)が流行り出して、この機種が2021〜2022年を起点に大量に出ていた。当初はキャノンとかの2023年の新鮮なものを買おうかと思っていたが、結局のところ技術を確立したエプソンの古いモデルが一番コスパが良いのでそれにした。

年間印刷コスト:約1,900円(従来のおよそ10分の1となる)
エプソン:A3ダイレクトインクプリンタ複合機※余談
余談だが、購入したエプソンのボトル注入式プリンタのA3対応モデルも検討した。
A3の必然性が、近年極端に落ちている、ことに気がついた

A3版の必然性は以前は以下の通りだった。
- 一般的な雑誌、冊子(A4以下の2枚見開き)印刷に便利
- ウェブサイトの印刷チェックに便利
だが、コロナ後の私の仕事において、なぜかA3版の必然性が薄れてきており、また、誌面チェックの方法やツールもA4を使ってA3をチェックしてしまう、というものが増えた。
また、これはなぜかわからないが、上位機種なのに、なぜかEW-M674FTより印刷コストが微妙に高いのも、嫌な感じがした。
年間印刷コスト:4,260円
よって、本機は悩んだが、結局A4版対応機で済ませることにした。
プリンタSDGsの暗躍とリサイクルトナー業界へのレクイエム(鎮魂歌)
というわけで、エプソンのインクジェットEPSON EW-M674FTに落ち着いたわけだが、結果的にいろいろ感慨深かった。これまで続いた日本の個人向けプリンタ産業が、ここまでパラダイムシフトしたことに、企業倫理(SDGs)の凄さを垣間見た。
大量倒産が待ち受ける、リサイクルトナー産業
2000年代前半から始まったリサイクルトナー産業はこれで、全滅になるのはほぼ間違いない。
ちなみに、リサイクルトナー産業には上場企業もある。参入障壁も比較的低いため、小さな企業を含めると膨大の数の会社が乱立している(多くは、地方企業だ。田舎に多い)。
今後、このパラダイムシフトが民衆に知れ渡ると、血祭りになるだろう。
ということで、どうぞ参照にしてほしい。