メガ大家の多くが廃業。その影に隠れた手口を暴露『やってはいけない不動産投資』藤田 知也 要約・概要

投資

丹念な取材でかなりの情報量。
しかも著者も不動産投資の経験あり。
単なる警告書というよりは、上質なドキュメントでもあります。

要点箇条書き

  • 1棟目、2棟目のローン物件を狙う不動産投資家が一番のカモ
  • 不動産投資経験者のリスト(カモリスト)が存在している
  • 騙す形式は大きく分けて2種類
  • 購入者の見抜けない「見えない詐欺」
  • 購入者と組んで行う「見える化共有詐欺」

ベテラン超有名不動産投資家たちが推奨

ツイッターを通して、何人もの不動産投資家が、しかもかなりベテランの投資家が推薦していたので読みました。確かに、近年の不動産投資詐欺状況を調べ尽くした凄い書籍です。

ノンフィクションの賞である「大宅壮一ノンフィクション賞」にも匹敵しそうな内容。

特にスルガスキーム関連の証拠メール、LINEメッセージなどのエビデンスは著者の新聞記者としての力量が発揮されています。

経験者から騙し取る手法が一番美味しい

また、この本で明らかになったことがあります。
それは、不動産の詐欺にはめられる人は、実は初心者で属性が高い人、よりも不動産投資経験者が多いということ。つまり、この不動産投資という業界は新規参入の敷居が高く、銀行が基本「経験にしか融資をしない」というスタンスを持っています。

そのため、融資という名のレバレッジがきく、超高額取引をできるのは、属性よりもむしろ「投資経験」。そして業者として美味しいのは「知識の浅い投資家」。ということになります。

経験者が多かった「かぼちゃの馬車事件(スルガスキーム)」

必然的に1棟目、2棟目の新米投資家が餌食になる。いわゆるドレッシングが掛かったお野菜になるわけです。もちろん、かぼちゃの馬車などの詐欺では、低属性の被害者も多いのですが、本書の本質は、「経験者を騙す」という側面。

「俺は思った以上にうまくやている」
「不動産関連の仕事に関わってるし、自分はセンスがある」
「買いすぎて融資が出ない」
「そろそろ田舎から都市へ物件を買い進めたい」

これらのことをつぶやきそうな不動産投資家が、ことごとくハメられて地獄に落ちている様子が伺えます。さらにこれらの「地獄落ち」は、今後2〜3年かけて、さらにゆっくりと表面化していきます。

2016〜2019年に登場したメガ大家の多くが廃業

ツイッターを検索するとこの件はたくさん出てきます。

一番有名なのは、姫路のトランプと言われた大川護郎氏。そのほかにも、水戸大家こと峯島忠昭社長(参照:あの「水戸大家さん」が廃業 名物社長は仮想通貨に色気か)、クラブジャイアンで有名だが近年、資産を大幅に減らした木下たかゆき氏などがいる。

このような、熟練の投資家が、裏ではおそらく本書のようなスキームにはめられた可能性は否定できない。というか、高いとさえ言えるだろう。

現に、私の知り合いでも、2017年にたくさん物件を買った投資家の多くに、2018年、2019年からコロナショックにかけて、信用棄損の規模(融資銀行の信用を失う)が大きすぎて、融資が全然つかず、物件が買えていない。という人をたくさん見ています。

株で儲けたり、投資のステップアップをしたい人は読むべき

不動産投資は、投資のネクストステージとして、例えば副業や株などで得た利益から、本格的な安定収入を得るためにどうしても必要なステップです。そろそろ次の投資をしたいと考えている人は今の時期多いのではないでしょうか?心当たりがある人は、よかったら読んでみてください。

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