一般人の不動産投資への道を切り開いた書籍。しかし注意して読むべし。コロナ後の今、読んだ感想まとめ『まずはアパート一棟、買いなさい! 』石原博光

投資

著者紹介

石原博光 1971年東京生まれ。
米国で大学を卒業後、商社に勤務。1997年に貿易会社を創業。2004年に始めた不動産投資は4年間で7棟72世帯。年商5,000万円の規模に達し、粗利60%を叩き出す。その手法を著した 『まずはアパート一棟、買いなさい!』は、27刷を記録、合計冊数は20万部(電子書籍を含む)を超え 、今もなお人気のお勧め本として紹介されている、2012年より家賃と一部売却で得た資金で、アメリカでも不動産投資をスタート。2014年に米国永住権を取得し、カリフォルニアへ拠点を移す。

本書の要点

  • 物件探しの困難さはあえて書かれていない
  • 15%の以上の利回りなどは狙っていない
  • 管理や修繕に関する失敗談が豊富
  • 1500〜3000万円の物件で公庫やノンバンクにしか相手にされない人向け
  • この本の認知度は高く、この手法をとる人が非常に多い
  • この本を読んだレベルの人向けの高額商材が多い・要注意

不動産投資家が読んでいる率が一番高い本

偶然アベノミクスとともにリリースされた同書籍。関東の築古アパートがこの書籍によって一気に品薄になり、高騰したとも言われている。かなりの流行具合である。それもそのはず、投資本で1万部売れる本はほとんどない。ましてや20万部ともなると、21世紀で唯一くらいのレベルだろう。

この本の影響下には、もふもふ不動産といったサラリーマン出身の不動産投資家ユーチューバーなどがいる。また、石原氏は楽待の初代代表人物として、メディアににも多く出演し、決して稼いでい金額は大きくはないものの、その失敗談を素直に共有し、背伸びをしないスタンスで、多くの支持を得た(しかしながら石原氏の公式サイトでは高額商材があるので要注意)。

この本の出版後に、不動産投資のスキームは悪化

この本が出版されてから、これまでは医者などの高額所得者や、地主の二代目くらいしか行わなかった不動産投資が一般化した。それによって起きたことは、皆さんもご存知だと思うが、レオパレス事件やスルガスキームという巨大詐欺事件である。

一般人への銀行融資が盛んになり、年収の通常20倍くらいのレバレッジをかけられるため、それを狙った詐欺がサラリーマン大家を襲った。この本を読むとき、はたまた、最新の不動産投資本を読む上でもこれらのことは踏まえて読んで欲しいと思う。

本書の特徴・融資の一般化

また、この本の凄いところはかなり初期の段階で、当時は不動産投資にあまり使われてなかった日本政策金融公庫を、不動産購入に導いた功績が挙げられる。これを公庫をきっかけに不動産投資の道に入る人は多い。公庫は、日本政府が貧困層をフォローするために活動を行なっているので、シングルマザーや若年層、高齢者などに通常よりも優しめに融資の門戸が開かれることが多い。それらの層とこの本の読者がマッチしたのは、説明しなくてもわかるだろう。

もともと商工ローンに近かった公庫は、事業開始の起爆剤としての目的があるため、不動産系のローンと違い、建物価値を重視しない。そこに目を付けてその扉を開けた石原氏は、かぼちゃの馬車事件以降、銀行融資がしまって苦戦しているこの業界でも神様扱いをされてきた。だが、言ってしまえば彼がかぼちゃの馬車事件の畑を耕した存在だとも言えなくもない。

大成功者ではない、から読まれ続けた

石原さんは実はメガ大家さんといえる規模の成功者ではない。そして北関東を中心とした、あくまで低価格地域での成功者。千葉の奥地や栃木などの人口過疎地域での不動産運用がメインである。アメリカ進出はそれ以降のことなので、この本で語られるのはそこまでとなる。

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