『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』はオーディブルで無料で読むことが可能です。また、オーディオブック版もあります。
著者情報
ビル・パーキンス(1969年〜)

アメリカテキサス州ヒューストン出身。アメリカ領ヴァージン諸島を拠点とするコンサルティング会社CEO。アイオワ大学を卒業後、ウォールストリートで働いたのち、エネルギー分野のトレーダーとして成功を収める。現在は、1億2000万ドル超の資産を抱えるヘッジファンドのマネージャーでありながら、ハリウッド映画プロデューサー、ポーカープレーヤーなど、さまざまな分野に活躍の場を広げている。『DIE WITH ZERO―人生が豊かになりすぎる究極のルール』が初めての著書となる。
おすすめポイント
投資や資産形成中の人には毛嫌いされる要素があるが、読んでみるといろいろと納得させられる部分があり、かなり有益だと感じた。資産家が書いた本なので、表題の浅はかさはない。
目次
- ルール①「今しかできないこと」に投資する
- ルール② 若い頃にはした金を貯めない
- ルール③ 生きているうちにカネを使い果たす
- ルール④ 残された日数を知り、ゼロで死ぬ準備をする
- ルール⑤ 相続・寄付は死ぬ前に行う
- ルール⑥「健康、時間、お金」のバランスを最適化する
- ルール⑦「タイムバケット」にやりたいことを詰め込む
- ルール⑧ 来るべきときが来たら、資産を取り崩す
- ルール⑨ 若いときにはガレージから飛び降りる
概要
著者は、変わった経歴の持ち主であることは一目瞭然である。そして、考え方も変わっている。というか、普通の人間がなかなか平常心でできない“逆算した考え”ができるタイプの人間だ。
ここに書かれている内容は、多くの人間の逆算したら起きるだろう人生論をかなりの割合で網羅しつつ、なるべく一般人ができないような無理なことは書かないように、という配慮がベースとしてある。金持ちの余裕だと思う。こういうところが。
しかしながら、ゼロで幸せに死ぬと言うのは、絶対無理なことである。これはヒットしから文句は言いにくいが、タイトルしては敬遠する人を続出させる、あまりいいタイトルだとは思わない。
金持ちの“後悔”を追求
ただ、この無理なタイトルのおかげで、だいぶお金のことについては書きやすくなっている。投資に詳しい人でも結構な読み応えがある。また、十分なリサーチでアメリカの富豪たちの調査がされている。富豪たちのなんの調査かと言うと、後悔の調査だ。
今はまだ貧しい、もしくはそれなりに裕福な人間の、多少の虚栄心を満たしつつ、真に人生を考えさせる、重要で面白い内容が、この本の内容だと言える。

Q:読む前の印象は?
A:本書の存在はだいぶ前から知っていました。そして、だいぶ疑っていました。
どうせ、それなりの所得のある人間が、娯楽で書いて、たまたまヒットしたんだろうと。たまたま両学長とかがそれを読んで、キリギリス的な発想を植え付けるものなんだろうと。
で、実際読んでみて、私のイメージは当たっていました。
が、現実にその文章を読んで思うことは全く別のことでした。
Q:じゃあ、読んだ後の印象の変化と理由は?
A:日本人の多くが、考えるのを必死に避け続けていることが書かれている。そう思いました。
日本人の考えとは、正社員信仰である。
この正社員信仰は、非効率で精神的にやたらめったら自分を傷つける地獄の安定思考だ。本書を読むとこの日本の正社員制度は、人をあまり幸せにしていないことを実感する。
この正社員思考のせいで、日本人は長らく本当の幸せを否定してきた。
実は、人間の幸せは稼いだ金の量に関係している。ここに書かれていることは、日本正社員制度の逆のことでした。むしろそう言う意味で、正社員という人種が実現しにくい考えかもしれない。
金を稼ぐことも否定し、時間の使い方も見失う日本の正社員制度
ざっくりいうと、アメリカは不安定な雇用制度のおかけで、リセットを何度もしながらなんだかいって理想の自分を探す機会を与えられている社会だなと感じました。本書にはその、数少ないかもしれないが興味深い成功例が書かれています。
ただし、気をつけないといけないのは、アメリカの賃金カーブで本書は構成されているということ。40代が必然的に賃金の頂点になる社会で、その賃金の決め方も日本とは違う。アメリカと日本はフリーランスの賃金体系は似ているかもしれないが、会社員は、精度が似通ってきている風に見えて、やはり賃金の面で全然違うものになっている。
Q:どんな人が読むべきか?
A:まずはどんな人が読むべきではないかを先に書く。
本書は現在、ある程度の高収入で投資を当然のように行なっている人に向けて書かれている。つまり、投資や節約を学習し、実践していない人には書かれていない。
なので、本書を読む暇があったら、先に投資本を読むべきだ。
次に、どんな人が読むべきか?という答えだが、ズバリ30代の男女だ。
本書は、大きく言って、著者の40代の後悔と、アメリカ人の平均的な40代〜50代の後悔をベースに、話を進めている。つまり、40〜50代をリアルな将来像として持つ人が読むべきだ。
また、若すぎるのもだめだ。大学生や就職をしたことがない学生が読むのには値しない。イメージが全然できないと思う。心底、若年社会人向けに書かれた本だと思う。
Q:なぜベストセラーになったと思うか?
A:アメリカで売れた理由はわからないが、日本で売れた理由は、両学長やユーチューバーたちの影響だろう。現在の日本は、YouTubeのチャンネルに、若い優秀な起業家が集結している。
また、日本人にはない考え方だったのも大きいと思う。
日本人は、なんだかんだ言って、土民的な宗教要素をいまだに心の奥底に持っている。それに対して、アメリカ人や欧米人は、生活スタイルはキリスト教だとは言っても、もうずいぶん前から、神を信じたり、生き返りを信じるのを辞めている。特に、非白人は、そうだと思う。

Q:日本でこの本に書かれていることをするための条件はどんなものか?果たして可能か?
A:年収最低500万円以上でないと、この本に書かれている具体的なアクションは一つもできないと思う。なので、せめて年収400万円以上程度の、将来の見込みがある人が本書の考えに賛同しつつ、何かを考える、と言うのが、正しいような気がする。
また、20代で子供が出来ていると、この本に書かれていることは、日本ではなかなか至らないのではないかと思う。特に、都会的な本なので、地方在住だと難しい。
ただ、それでも読み物として非常に感情が揺さぶられる。
その辺の小説や遺書本よりも、はるかに衝撃が大きい。
そういう文学が読みたい人であれば、年齢は無視してもいいかもしれない。
以上、参考にして欲しい。
『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』はオーディブルで無料で読むことが可能です。また、オーディオブック版もあります。