著者紹介

ジェイムズ・P・ホーガン
1941年ロンドン生まれ。16歳の時に奨学金を得てロイヤル・エアクラフト・エスタブリッシュメントの工業専門学校で5年間、電気工学、電子工学、機械工学を学ぶ。設計技術者として働き、1977年、仕事の傍ら書き上げたハードSF『星を継ぐもの』(Inherit the Stars)でデビュー。アメリカ・カリフォルニア州に移住し、晩年はアイルランドで暮らした。星雲賞を3度受賞。1986年に大阪府吹田市で第25回日本SF大会(DAICON5)に参加。2010年7月12日心不全で69歳で死去。
SF嫌いの私(映画監督・脚本家)が本書を読めた理由(結論は次↓)
断っておくが、私は映画も本もSFがあまり好きでは無い。しかしながら、重要な作品は見たり読んだりするようにしている。なぜなら、私がそのうちSFに対応する監督にならなければいけない可能性もあるからだ。
それに、映画の分野ではSFは大きな興行収入を稼いでいるし、SF専門の映画祭が数多く成立するほど市場は大きく、成熟している。カンタンに言うと、SFものは国際マーケットで文化ギャップが少ない為、売れやすい。日本のSF、ロシアのSF、フィリピンのSFといった感じで、その国に興味を持っている人が手を出しやすいのである。

『星を継ぐもの』は、人間の重大問題解決する『強烈な答え』を持つ
そんな捻くれ者の私でも本書は大変感動したし、納得した。
この納得したと言うところが非常に重要だ。
なんで面白かったとかは、内容に触れざるおえないのでここでは書かない。
知りたかったら、内容ちくちく触れたブログは山ほどあるので、そちらに行って欲しい。
で、結局、『星を継ぐもの』を私が興味を持って読めたのは、SFではなく現実世界の「困ったこと」を解決しようとしている本だったからだと思う。どんな困りごとかと言うとそれはもう「宗教」と「科学」とそれに引きずられて嘘が増えつつある「歴史」である。
『星を継ぐもの』の結末と現実の結末が同じになる可能性
本作を読むべき人を挙げると次のような感じである。
- SFが嫌いだが1作品は読んでみたい人
- ドキュメンタリーやノンフィクションが好きな人
- 1960〜70年代の宇宙計画の臨場感を読みたい人
一般的に、ファンタジー小説に抵抗がある人の特徴として「時間の無駄」というのがある。要は、一生懸命に読んだのに現実の生活をちっとも良くしない、という考えだ。
ディズニーランドやアニメが嫌いな人とか、そんな感じの人が多い。
また、誰しも老齢になると「時間がない」と感じる。自分の話しかしない老人などはそれにあたる。でも、本書はそんな人(ダメ老人)にも安心して進めることができる。なぜなら、本書が取扱い、解決しようとしているのは、戦争や混乱のもとになっている「宗教」「科学」「歴史」だからである。
今までせっせこ勉強した人は、特に本書の結末に驚くだろう。
現実の世界よりもこっちの方が正しいと感じる度合いが高いからだ。
現実の方が間違っている!そうだ。そんな感じ。