半数が100歳まで生きる未来の日本を調査。90歳就労プランを予測。ベストセラー『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』リンダ・グラットン

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著者紹介

リンダ・グラットン (1955年 – ) は、イギリスの組織論学者、 コンサルタント。

ロンドン・ビジネス・スクールの管理経営学教授及び彼女自身の組織行動論上の実績で有名なHot Spots Movementの創業者である。本作『LIFE SHIFT – 100年時代の人生戦略』は2016年にフィナンシャル・タイムズ・マッキンゼービジネス書籍賞の候補となった。

目次

  • 序 章 100年ライフ
  • 第1章 長い生涯――長寿という贈り物
  • 第2章 過去の資金計画――教育・仕事・引退モデルの崩壊
  • 第3章 雇用の未来――機械化・AI後の働き方
  • 第4章 見えない「資産」――お金に換算できないもの
  • 第5章 新しいシナリオ――可能性を広げる
  • 第6章 新しいステージ――選択肢の多様化
  • 第7章 新しいお金の考え方――必要な資金をどう得るか
  • 第8章 新しい時間の使い方――自分のリ・クリエーションへ
  • 第9章 未来の人間関係――私生活はこう変わる
  • 終 章 変革への課題

概要(ブログ運営者によるまとめ)

Y世代以降の読者をターゲットにしたロングセラーシリーズ

著者は前作『WORK SHIFT(ワーク・シフト)』で、現在既に開発された、あるいは既に実現の見込みのあるウェブ技術などを用いて、2012年に12年後の未来の2024年の労働環境を予測した。

その予想はある時までは「行き過ぎだ」と言われていた。

ところが、コロナ感染症のアクシデントにより、一気に現実のものとなり、まるで未来を見てから書いたかのような同書と同じ2020〜21年のリモートワークシフトが訪れたことで、再びベストセラーとして返り咲いた(日本ではコロナ後の方が部数が出ている)

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』は、その続編書籍である。

本書では、高齢化が世界で最も進んでいる日本の状況をベースに、多くの予測が組み立てられている。世間では、危機として扱われている少子高齢化だが、彼女のような学者からすると日本は未来のモデルケースとして“世界の先端を行く”先進国ということになり、おいしい存在なのだ。

65歳以降の労働年齢設定が新たになされる

就業状況・転職適齢期などを元に、若年期(0〜22歳)、労働期(23〜49歳)、壮年・引退期(50〜65歳)という3つの分類で労働状況を区分けされることが多いが、著者はこれが、おそらくは4〜5つの分類に今後変わっていくだろうと、予測している。

その変化の中で、私たちはどのように未来を考え、準備を行っていけば良いのか? が、実に驚くべき具体的な記述によって書かれており、その信憑性もかなり信用できそうなのが、また怖い。

Q:どんな人が読むべきか?

A:Y世代(1980〜1990年生まれ)以降の人。

その理由は、Y世代の全人口の30%以上が、100歳を迎えるという統計データがあるからだ。

近年、こういう政府の算出する人口動態の調査は、ほぼ的中する。なぜなら、国家が、年金や保険などの算出のために、死ぬ気でこの辺の情報の正確性を高めたからだと言われている。

特に現在、子育てをしている人は注目しておくべきだろう。平易な文章で、とても驚くべきことが書かれている。本書を読むことで、未来に対しての心構えができるようになると思う。

Q:読むことでデメリットはあるか?

A:資産家や独身世帯で貧困層ではない人は、読む必要はあまりないかもしれない。そのほかにも、読者対象は限定される要素はある。基本的に非エリートの読み物だと思う。

ただ、資産形成中であれば、役に立つことが多く書かれている。

共働き世帯での準富裕層だったりすれば、離婚リスクはあるし、富裕層であっても、相当な資産家でない限り読んで損はないともう。現在のアメリカを見る限り、日本の今後もインフレリスクも低くなさそうだし、世の中の不安定化は進む可能性があるので、それなりに必要な知識ではある。

ただ、現在の仕事に満足していたり、もっとほかに解決するべき問題を抱えている人は場合は、他の本を読んだ方がいい。なぜなら、この本はかなり先の未来を予測しているからだ。

また、将来の不安と言っても、本書はその中のごく一部のジャンルに絞った傾向があるので、もしかすると多くの人の期待を裏切るかもしれない(地方の人や第一次産業に従事している人など

ただ、それでも、2040年ごろの就労環境、労働市場が、どうして大きな変革を迎えることができるのかを知りたいという人には、一読に値するかもしれない。

Q:本書はなぜ書かれたのか?

A:戦後の人間の歴史において、労働環境の変化は、実は“まさか”の連続だったが、制度としての労働環境のイメージは“滅多なことでは変わらない”という真逆のものであることが多い。

これは、えてして人間の労働環境というものは、その時々に広まった技術の進歩によって、実は知らないうちに、無意識的に変化したものだからだ。

この分野は実は、これまで学者が積極的に研究もしなかったし、それに伴う本も書かれなかった。つまりは、予測したり、コントロールするべきものではなかったのだろう。コントロールすにしても、20世紀初頭のケインズ経済学的なレベルに留まっていた。

そんな流れでドットコムバブルやリーマンショックが起き、経済的な大惨事を2000年以降に経験するようになった。それによって政府による金融緩和や利上げなどの、大型政策を講じていく。ここに、インターネットの登場が2010年以降にクラウド技術の登場で加速度的に進化が加わって、彼女のような学者が求められるようになったのだろう。

彼女の登場は、その“まさかの連続”をコントロールできるきっかけになるかもしれない。

Q:面白い彼女の予言をいくつか紹介してください

A:2040年くらいまでに“フルタイム”という労働の基準的な考えが消えるだろうという予測を彼女はしている。

いくら高齢で健康になっても、70歳から上の人間が週5日40時間労働するのは、体力的に無理だということが、どうしてもあるらしい。

ほかにも、マニュアル労働者(単純労働)を計測する方法が、日勤や時間給という二つの賃金算出パターンしかないが、2020年代のうちにこれ以外の算出方法が登場するだろうということが書かれている。これに関しては単なる予測ではなく、結構精度の高い推論として書かれている。

また、現在の成果報酬制も、70歳〜の労働事情にあっていないという。

高齢者を雇用する時には、独自の給与算出の理論が必要である。加えて、ストレス耐久性や専門性を今まで全く違うやり方で給料に結びつける方法が、近々生み出されるだろうと書いている。

こういう情報は、日本でも一部の政府の役人は意識しているだろう。だが、情報を開示してしまうと、一般人にとっては厄介な面が強い。なので公に出ていないような気がする。

そういうことがけっこう本書では書かれている。

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