はじめに
私自身、2人の子供を持つ親であり、いっときは中堅出版社で教育系の書籍にも携わっていた。だが、当時は自分が子育てをすると思っていなかった。晩婚で、妻も歳がある程度いっていたのである。
急遽子供が産まれ、子育てをするようになって、あせって本をあらためてたくさん読んだが、実際に子育てをしながらの書籍探しは、本当に迷うことが多々あり、編集者時代とは訳が違った。
世間では役に立たない子育て本が本当に多いのもよくわかった。そんな私が、自分の子供を育てるために読んだ本の中からオススメできる書籍を今回まとめて見たいと思う。
『自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方』島村 華子
こちらの書籍はアマゾンオーディブルとオーディオブックで読むことができます。
子供のと対話に活路を見出す:過程それぞれに世界基準の子育てを
この『ほめ方 叱り方』には、子供と一緒に大人も成長するという意識で書かれた内容が多い。
実践するためには、多大な時間と労力がかかり、誰もができることではないような難しいことも書かれているといえば書かれている。そもそもが初等教育のメンターや教育システムが必要なのかという疑問のもとに書かれた書籍とも読むことができる。答えは目の前の子供にあるのだから。
著者は、海外で最先端の初等教育を学んでいるが、本書にはいっさいそこからの引用がない。むしろ、一般的なモンテッソーリ教育法やレッジョ・エミリア教育の課題を突き詰めた印象すらある。
ぜひ読んでもらいたい良書である。
詳細記事:現時点で最高の教育本。詳しく解説『モンテッソーリ教育・レッジョ・エミリア教育を知り尽くした オックスフォード児童発達学博士が語る 自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方』島村 華子
『モンテッソーリ教育が教えてくれた「信じる」子育て』モンテッソーリ教師あきえ
こちらの書籍はアマゾンオーディブルで読むことができます。
本書には冒頭、実に詳しいモンテッソーリ教育の解説が登場するが、徐々に著者独自の教育論に切り替わっていく。実際問題、モンテソーリ教育を知るために読む本としては不適切かもしれない。
だが、モンテッソーリ教育が著名人(この手法で育った斎藤工とか藤井聡太など)によって肥大化した誤解を取り除いてくれる書籍としてはいいと思う。誤った子育てをしていると認識している親にとっては、その考えを一度リセットするのに役立つ書籍だろう。分かりやすさ、読みやすさ共に◯。
詳細記事:実は、多くの親が叱り方を間違えているから売れる本。詳しく解説『モンテッソーリ教育が教えてくれた「信じる」子育て』モンテッソーリ教師あきえ
『世界標準の子育て』船津徹
こちらはむしろ子供をエリートにするための書籍だと言える。
現実的に、これから日本の子供たちを取り巻く環境は厳しい。人口減少による激しい国力・勢力減退の中で、不利な条件を突き破って世に出ていかなくてはならない。そんな心配を支えるには、自由やのびのびという言葉よりも、優先しないといけないものがあるのは当然のことだと言える。
本書の世界基準とは、ズバリアメリカのエリートたちのことである。
妥協をしたくない親が読むべき書籍として、上記の二冊とは全く別の意味で勧めておきたい。
記事詳細:学歴主義が前提だが、子育ての基本を学べる。網羅性が高く、使い勝手に優れた本『世界標準の子育て』船津徹
『子育てベスト100』
子育て産業の出版業界は、実はそれぞれの教育手法によるシェア争いが激しく醜い。出版業界では結構、アクの強いジャンルである。
各派閥が広告費と労力をけずってしのぎ合い、足の引っ張り合いをしている。それゆえに、これをやればなんとかるという、いわゆる最低限の網羅性の高い情報というのが存在していない。
そこで登場したのが本書である。本書に書かれていることを前提に、いろいろな判断をする、というのを私個人としてはお薦めしていきたい。中間ラインを全て知りたい、そんな人に向けて書かれた本。
詳細記事:クラウド・IT対応がほぼゼロだが、過去の知識を網羅。権威的だが実用的。「捨てる前提の常識」は獲得しておいて損はない『子育てベスト100』
『僕が親ならこう育てるね』ひろゆき
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ひろゆきの主張を暴力的にまとめると、大衆の盲点を突き、どうなるか不明な新しい少数派にかける、というものだ。この本でもその彼の特徴が発揮されている。
いかんせん、日本の初等教育は依然として高齢者によっての支配率が高い。そのため、本書でひろゆきの提唱するITの初等教育利用は目を見張るものがある。
スマホ依存や、IT対応への心配がある親たちにかなり有効な書籍だと思う。
詳細記事:子供へのネット対応は読む価値あり。アダルトチルドレンならではの内容・回答が豊富『僕が親ならこう育てるね』ひろゆき
『「自己肯定感」を高める子育て』ダニエル・J・シーゲル
初等教育に成功しているかに見えるヨーロッパやアメリカであっても、実はしつけは難しい。というか、 日本人のように、しつけがうまくいっていないことを口外しない。むしろ悩んでる。
そんなことが浮き彫りになっているのが本書でる。
“しつけができるタイミングは限られている”というのがメインテーマだ。
どんなに手厚いケアをしても、対話に重きを置いて子供の主張を聞き込んでも、結局は「しかるべきタイミング・しつけのタイミング」を外すと、全てが暗転する可能性が出てくる。だとしたら、そのタイミングの謎を、できるだけ知っておくほうがいいのではないか、そんな趣旨で書かれている。
記事詳細:しつけるべきタイミングを明確化。謎に包まれた、子供との距離の縮め方を解説『「自己肯定感」を高める子育て』ダニエル・J・シーゲル
『成功する子 失敗する子』ポール・タフ
本書のテーマは“成功する子供は人工的に作り出せる”が、それによる“問題”もある、というものだ。
さまざまな子育てのケースが抽出されており、今回紹介する子育て本の中では、群を抜いてデータが多い書籍となる。それゆえに、いわゆる天才児の末路に関しても情報が集まっている。
本書を読んで私が感じたのは、卓球の福原愛氏などの末路であったり、いわゆるスポーツエリートのその後の運命の脆さを、理論的に証明しているというものだ。
関連ニュース『福原愛「不倫疑惑→真剣交際報道」を大マスコミが報じないワケ』
東京都内でも名門小学校、名門中学校などが多くあり、それぞれが同窓会が非常に頻繁に行われている。そこで、ヒソヒソと話されるような、子育ての秘密が書かれた本というのが、分かりやすい例なのかもしれない。それゆえに、価値のある書籍だとも言える。
詳細記事:天才は教育で作り出せる。全ては「気質」と「考える力」に集約する『成功する子 失敗する子』ポール・タフ
『ミライの授業』瀧本哲史
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こちらの書籍は、主に中学生に対してビジネスの本格的な教育をするという名目で書かれた書籍である。現代の日本社会の教育では、とうてい優秀なビジネスパーソンが育たない、という意識のもとで書かれているので、場合によっては、親の思想と合わない記述もあるかもしれない。
例えば、事業的な意味でもそれ以外(例えば芸術面など)チャレンジを潰すのは、身近にいる存在である親が多いという、教育論としてはドリームキラー論という大事なものを教えている。
加えて日本のビジネス界に置いて、チャレンジを阻んでいる本当の正体を、本書の中では語っているので、保守的な親からしたら陰謀論を教えている本という扱われ方をされるかもしれない。
だが、本書は日本代表するエンジェル投資家でもあった著者:瀧本哲史の代表作だと目されている。将来的に我が子には金銭的な不自由を回避したい、という目的があればマストな書籍だと言える。