安倍晋三・黒田東彦 VS 岸田文雄・植田和夫の金融政策を、わかりやすく解説してみる。そして今後の予想について

投資

  1. 結論を先に書くと……
      1. 安倍政権があったから、岸田政権がある:金融政策の流れの基本
        1. 安倍・黒田チームの成功した側面
        2. 安倍・黒田チームの失敗した側面
  2. 2023年は“安倍カバー”をする岸田・植田
        1. 岸田・植田時代の安倍への穴埋め政策
  3. 2024年から岸田・植田のオリジナリティが始まる
      1. 安倍政権が苦手としてきた“財務省との交渉”を始める岸田内閣
      2. 財務省は、ことあるごとに“増税案”を細かくぶちこんでくる体質を持つ
        1. 財務省の人事評価は“増税”に紐づけられている
  4. 安倍・黒田の金融政策
      1. 安倍・黒田リフレプランは、消費増税のリスクを浮き彫りにした
  5. 2014年と2019年の消費税増税からの大不況
      1. 岸田・植田は、増税のリスクを知らないわけではない
      2. 岸田文雄は、財務省と政治家の間で行なってきた増税論争を、世に問うことを始めた
  6. 安倍と黒田の手法:関所活性化を期待スタイル
      1. 黒田バズーカは、国民と企業のムードが大事だった
      2. 起きると言われた、ハイパーインフレは起きなかった。
      3. 戦後80年。人類は、ようやく為替や国際間の通貨の仕組みを理解し始めた
  7. 岸田・植田の手法は、フライパンで下から全員を強火で炒めるスタイル
      1. 社会制度と金利操作でインフレ率を操る
        1. まずは企業を火あぶりにした岸田内閣
      2. 国民は“子育て”を理由に、預金を狙い撃ち 制度インフレとは?
        1. 岸田内閣の本領は、マイナンバー浸透後の、控除・給付と過激な取り締まりインフレ
      3. YCC以外にも、金利を操作する方法はある
  8. まとめ

結論を先に書くと……

安倍・黒田と岸田・植田の金融政策の違いの結論を先に書いてしまう。

  • 安倍・黒田→「民衆を信じすぎた金融政策」気持ちマインド型=お祭り
  • 岸田・植田→「民衆を全く信用しない金融政策」社会制度型=恐怖政治

安倍政権があったから、岸田政権がある:金融政策の流れの基本

上記の結論をさらに解説すると以下の通りになる。

岸田・植田チームは、安倍・黒田チームの失敗を踏まえて、活動しなければいけない。なぜなら、安倍・黒田は大きく動きすぎたチームだったので。

安倍・黒田チームの成功した側面
  • 2012年からの2014年までの金融緩和
  • 不動産の下落が止まり、値上がりが始まる
  • 上場企業の“自己資本率”が急上昇する
安倍・黒田チームの失敗した側面
  • 2014年に財務省に消費税増税をされ、不況になった
  • 2019年に財務省に消費税増税をされ、不況になった
  • 投資家・大企業の貯蓄・内部留保が増えた
  • 株価の頭打ち(3万円の壁)

2023年は“安倍カバー”をする岸田・植田

上記の中で、安倍・黒田チームの失敗した側面に注目してほしい。

現在、岸田内閣は、今の所、オリジナリティのある金融政策は打ち出していないことがわかる。要するに、安倍・黒田の穴埋め金融政策しかしていないのである。

岸田・植田時代の安倍への穴埋め政策
  • 東証プライム銘柄への低PBR改善要請(内部留保をやめろ政策)
  • NISA拡充(実は減税政策&株価3万円の壁を高確率で越させる)
  • 子育て支援(増えすぎた副業資産家・不動産価格の底上げ&上値を抑える)
  • 地方移住政策(不動産価格抑制&大企業の内部留保やめろ政策の延長)

2024年から岸田・植田のオリジナリティが始まる

安倍政権が苦手としてきた“財務省との交渉”を始める岸田内閣

岸田文雄内閣は、マスメディアの評判として、親財務省という言われ方をしている。だが、私がいろいろ調べる限り、岸田文雄内閣は親財務省ではなさそうだ。むしろ、これまでの内閣が財務省との交渉ごとをしてこなかった可能性が高い。

財務省は、ことあるごとに“増税案”を細かくぶちこんでくる体質を持つ

その証拠として、岸田文雄内閣は、一見減税案だと気づかれない新NISA(3,600万円拡充)や子育て支援関連法案など、財務省の力を借りなければできない法案を多く通している。

ここから読めるのは、「岸田さん、あれやったから、増税をとりあえず国民に問ってもらえますか?」「ひとまず、増税の新しい法案通過させていただけますか?」的なやり取りをしているのだと思う。というか、そのような噂を聞く。

政治家は選挙があるので、増税はしたくはない。特に自民党はそのようなスタンスを持つ。

財務省の人事評価は“増税”に紐づけられている

また、これらの特性は上記に添付した「財務省はなぜ緊縮」の動画からも嗅ぎ取れる。

これに対して、実は岸田内閣は裏で、財務省の人事評価を「増税基準」から変えようという動きもしていると言われる。ちなみに、岸田関連人材で増税を表立って否定する動きをしている代表的なに萩生田氏がイメージされる。

自民党の勉強会「責任ある積極財政を推進する議員連盟」でも、萩生田氏が増税をしたがる財務省を非難している会がいくつかあった。

安倍・黒田の金融政策

安倍・黒田リフレプランは、消費増税のリスクを浮き彫りにした

参照記事:エコノミスト誌 永浜利広氏の記事

グラフを見ていただくとわかるが、安倍・黒田による金融緩和バズーカによって、実は最初それなりにインフレ率は上昇していた。だが、その後消費税増税によって、腰を折られた。

2014年と2019年の消費税増税からの大不況

上記のチャートでわかるように、金融緩和はうまくいったが、いずれも財務省主導で動いた消費税増税で下落に転じた。だが、これはいいことだと個人的には思う。

なぜなら、消費税増税が、不況とデフレを誘発することを歴史的に証明したからだ。

そして、この二つの消費増税は、確実に岸田文雄も知っている。もちろん、新日銀総裁の植田和夫が知らないはずがない。

岸田・植田は、増税のリスクを知らないわけではない

上記のことから、現在、岸田文雄が増税内閣だと揶揄されている状況を分析すると、岸田文雄は、増税案を財務省に言われるがままに、実行する前に世の中にリリースはしている。

だが、その中で、うやむやにして無効化する手法も確立しつつあるように思える。

関連記事:LGBT法案③ なぜ当事者からも慎重論が噴出するのか

岸田文雄は、財務省と政治家の間で行なってきた増税論争を、世に問うことを始めた

ここから、わかるのは、これまでの消費税増税や増税案は、世に出る前に“コンセンサス”が取れており、国民は“気づいたら増税”をされるという立場だった。

それは、政治家側に『増税を議論したら選挙に悪影響がある』と、恐れがあったからだと推測される。だが、岸田文雄はそれすら、「あけっぴろげに出してみよう」と考え、その中で「メディアの中でうやむやにする技術」を構築しよう。と考えているような気がする。

もちろん、そのやり方の中で、するっと抜けて、増税に至ってしまうものもあるかもしれない(現にいくつかある)。だが、長い目で見ると、岸田氏のこのやり方(もしそうだったら)は、私は支持したい。

安倍と黒田の手法:関所活性化を期待スタイル

話を戻す。

岸田文雄と植田和男のこれからの政策で、なにが起きるかと考える上で、もう少し、安倍と黒田の異次元金融緩和政策を見ていきたいと思う。

黒田バズーカは、国民と企業のムードが大事だった

安倍・黒田の金融緩和のスタイルは、以下の通り

  • 大規模金融緩和(市中の金銭量を増やす)
  • イールドカーブコントロール(企業と不動産投資家の借り入れ補助)
  • マイナス金利(銀行に融資を強引にさせる)

それを、私の不慣れで不細工なエクセルイラストにすると以下のようなイメージになる。

起きると言われた、ハイパーインフレは起きなかった。

黒田と安倍の政策で、最も多い功績は「ハイパーインフレが起きなかった」ということだ。

戦後80年。人類は、ようやく為替や国際間の通貨の仕組みを理解し始めた

インフレかどうかや為替レートなどは「関所」を通過する金銭の量で変わる。

多くのメディアで勘違いされているのだが、いくら金銭じゃぶじゃぶすっても、関所でカウントされない一般ピープルの使用したお金は、円やインフレ指標などの数字には反映されない。

ここを、コロナ後のアメリカや異次元金融緩和後の日本はようやく最近わかってきたのではないか?

つまり、ハイパーインフレの原因として考えられた4大要素のうち

  • 人口動態(日本の場合労働人口減少)
  • 通貨の供給過剰
  • 物流の低速化
  • 原材料の高騰

上記の2つ、物流の低速化、原材料の高騰だけが正しく、日本の緊縮派がずっと言ってきた人口動態や通貨の発行状況という二大要素が、ハイパーインフレの原因として有効だったという、いわゆる経済学者の理論倒れが、コロナを経て証明されたのが、安倍・黒田チームの一連の流れだと思う。

岸田・植田の手法は、フライパンで下から全員を強火で炒めるスタイル

社会制度と金利操作でインフレ率を操る

まずは企業を火あぶりにした岸田内閣

そんな感じで、現状のところの岸田・植田のアクションから見てみると、まずは低PBRの大企業を東証プライム市場から退場させる、という取り決めを行なったことが注目すべき点だ。

これによって、内部留保を抱えた企業(自己資本率50〜80%)は、急いでその資金を、投資に回すか、株主への配当金と自社株買いへと使用しないとダメな状況を作った。

この制裁の対象企業には、トヨタ自動車やいすゞ自動車、三菱ケミカルなどのかなりの巨大企業が入っている。この企業たちが、まさに岸田文雄のPBRの呪いにかかったが如く、悪戦苦闘している。

関連記事:東証が異例の要請「PBR1倍割れ改善」の”真意”東証の「キーマン」に聞く企業がやるべき具体策

国民は“子育て”を理由に、預金を狙い撃ち 制度インフレとは?

目の演出が恐怖を振り撒くタックス・タクちゃん

岸田文雄と植田和男は、これまでの安倍・黒田の失敗から、民意と企業意思に頼るのは完全にやめて、政府体制でコントロールできる「制度・金利」によるインフレを引き起こそうとしているのが読める。

この「制度・金利」は、安倍晋三が目指した民衆と企業のコントールよりも、全然実行精度が高く、やりやすいのは間違いない。ただ、体制を構築するまでの手段が今までなかった。

それが、マイナンバー制度(マイナカード)で実現可能になった。

岸田内閣の本領は、マイナンバー浸透後の、控除・給付と過激な取り締まりインフレ

関連記事:22年度税収、過去最高ペース 4月末時点で60兆円超

その効果はすでに出ており、税率の向上はもちろんのこと、税金を納める側の脱税・節税が極度にやりにくくなっているという効果があからさまに出ている。

ただ、この記事のように過去最高と銘打ってしまえば、いずれ国民に分配せざる負えなくなる(特に選挙前)ので、この分配によって、生活必需品のインフレを誘発したり、最低時給を上げる補助を出すなどで指標として扱いやすいジャンルのインフレを起こすだろうというのが推測できる。

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YCC以外にも、金利を操作する方法はある

関連記事:子育て支援に向け政府がフラット35の金利引下げへ。フラット35は今後どうなる?

また、金利に関しても、岸田内閣は“子育て”を理由に、通常はコントロールできない金利を操作する禁じ手を連発するのは目に見えている。その第一弾は、住宅ローンのフラット35の子育て支援だ。

これは、金利のダイレクトな操作ではなく、ポイント制で、該当者に政府が「金利に該当する資金」を銀行に注入するという手法だ。

これまでの歴史的な事実から、岸田政権は、金利をいくらでも操作できる手法を編み出すだろう。

また、制度を使って“定価”をコントロールすることで、制度インフレをどんどん創出していくのだと予測できる。

これらは、イールドカーブコントロール(YCC)とは違い、リスクが国内限定となる。YCCは、海外投資家の空売りなどによって、日本が大損をこくことも多かった。それを、国内リスク(自民党が選挙で落ちる、財務省役人が刺される、みたいな)に変換したと言える。

また、国内リスクに変換してしまえば、うやむやにしたり、ごまかしもしやすくなる。

まとめ

以上のように、岸田・植田は火あぶり型の政策をしてくると思われる。それが、私の今の所推測できる、彼らの金融政策である。また、機会を見てこの流れの記事を地味に書いていこうと思う。

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