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著者について
「日経平均は300,000円になる」論者:トルコ出身:理系エリート
エミン・ユルマズ
エコノミスト、為替ストラテジスト
トルコ・イスタンブール出身。16歳で国際生物学オリンピックの世界チャンピオンに。1997年に日本に留学。一年後に東京大学理科一類に合格、2004年に東京大学工学部を卒業、2006年に同大学新領域創成科学研究科修士課程を修了後、野村証券に入社。投資銀行部門、機関投資家営業部門に携わった後、2016年に複眼経済塾の取締役・塾頭に就任。著書に『新キャッシュレス時代 日本経済が再び世界をリードする 世界はグロースからクオリティへ 』(コスミック出版)、『コロナ後の世界経済 米中新冷戦と日本経済の復活!』(集英社)など。
コロナ禍の真っ只中で、早期に日本株の躍動を予測し、的中させていく

上記の出版社のプロフィールに対して、私のエミン氏を知ったきっかけを書いていく。
まだエミン氏が今ほど、著名で影響力がなかった2020年ごろ、ネットで日本株に関する炎上騒動が起きた。それはエミン氏と広瀬隆雄氏との対談での出来事だった。
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なんの話題で炎上になったのか、広瀬隆雄氏がツイートを削除してしまっているのではっきりとは思い出せないが、当時すでに日本株の大きな波を予想していたエミン氏の主張を、アメリカ仕込み(日本見下しバイアス)の偏見で、広瀬隆雄氏が攻撃してきたところを、論破したとかだったと思う。
その後、エミン氏の読みは、日経平均の上昇を証明として立証されていく。
広瀬隆雄氏が負け組に。エミン氏が勝ち組へ、立場逆転
強いカリスマ性があった広瀬隆雄氏は、日本人に複雑な感情を持っているのか、しつように叱咤激励し続け、時には勝手に失望するなど、なんというかややバイアスのかかった日本人への接し方をしてしまったが故に、予想が外れるについれ失速しました。
そこにエミン氏が、代替わりする形で、日本人個人投資家のカリスマになっていきました。エミン氏は、日本の経済がこれから黄金期になると、ずっと言い続けています。
ただ、これに関しては私は、広瀬隆雄氏のような人間も必要だと思うタイプの人間なので、結構複雑な印象を持っています。そんな中で、エミン氏の本を徐々に読んでいこうと思いました。
本書の情報
内容紹介の要約(ブログ主)
❝日本人はデフレ脳です。デフレ脳では、資産は増やせません❞
今、時代が大きなパラダイムの転換点を迎えています。
物価・原材料上昇、サプライチェーンの混乱、金利上昇・・・。政治的対立や戦争などのイベントによって相場のみならず日常の「暮らし」への影響が波及してきています。
ただ、それらに耐え忍ぶだけではデフレ脳のママです。これからはそれらのイベントを、投資機会にして、ピンチをチャンスに変える発想が必要。初心者でも投資はしなければいけない。
現状を正確につかみ、未来を読む手がかりとなるのが「経済指標」です。シグナルを知ることで景気の変動に左右されることなく大切な資産を守り、着実に増やすことができます。
本書は、投資家や金融機関が参考にするオーソドックスな指標から、著者が実践のなかで気づいたユニークな指標まで、その読み方を解説する1冊です。
目次
- 第1章 重要な経済指標はどれか? それをどう読み、どう使うのか?
- 第2章 絶対に押さえておくべき米国の12の経済指標
- 第3章 景気複合指数と諸外国の経済指標
- 第4章 景気を読む手がかりとなる企業
- 第5章 コモディティと景気の関係
- 第6章 投資も仕事も人生も。デフレ脳からインフレ脳へ
投資を最低一年経験した人向けの“超優れた初心者本”
日本株の上昇の前触れ指標は、日本には存在していない
日本は、30年間の長期にわたるデフレにより、株式投資が長年衰退し、注目されませんでした。
それによって、アメリカなどに比べて、株価に対する情報サービスが不足しているという現状があります。そんな内容を示す本が、『世界インフレ時代の経済指標』の結論だと言えるでしょう。
いかに、序盤の内容でエミン氏が語ることの中から、注目すべきことをまとめる
- 日本株は、自国の指標・情報ではトレンドがわからない
- 日本株のトレンドは、海外、主にアメリカ・中国・ドイツ指標が作り出す
- 日本株は、マクロ(業界全体・通年)は世界市場とは徐々に切り離されつつある
- だが、日本株の独自なトレンドは、それでも世界指標をきっかけに動く
同書で語られる米国の主要指標
ジャンル | 経済指標 | 説明(重要度) |
---|---|---|
雇用関連 | 米国雇用統計 | 毎月発表する雇用情勢(重要度:高) |
ADP雇用統計 | 民間で発表される先行的な雇用情勢(重要度:高) | |
金融政策 | FOMC声明/議事録 | FOMCの見解が声明文。議事録も公表(重要度:高) |
フェデラル・ファンド金利(FF金利) | 連邦準備理事会(FRB)がFOMCで発表する金利(重要度:高)、それに伴うイールドカーブ(逆イールドなど) | |
景気関連 | 国内総生産(GDP) | 米国の規模感(重要度:中) |
ISM製造業景況指数 | 毎月算出する景況感を示す指標(重要度:高) | |
貿易関連 | 貿易収支 | 米商務省の経済分析局(BEA)が毎月発表する輸出額と輸入額の差額で経常収支(重要度:中) |
物価関連 | 消費者物価指数(CPI) | インフレ率を示す指標(重要度:インフレ時は超重要) |
消費関連 | 小売売上高 | 小売店の売上高を示す指標(重要度:小) |
個人消費支出(PCE) | 個人が消費した支出を示す(重要度:小) | |
消費者信頼感指数 | 毎月発表する個人消費の先行きを示す指標(重要度:小) | |
製造業関連 | 鉱工業生産指数 | 鉱業や製造業の生産動向を示す指標(重要度:小) |
住宅関連 | 住宅着工件数 | 新築住宅の件数で景気の先行きを示す指標(重要度:小) |
中古住宅販売件数 | 中古住宅販売成立件数の指標(重要度:高) |
エミン氏がざっと基準にすべきとした米国の指標を上に出してみました。
これに加え、日銀短観やOECD、バルチック指数、中国PMI(マークイット)など、日本、欧州、東南アジアなどの指標が入っています。ですが、注目度として、米国経済指標を掲げています。
エミン氏は、なぜこのめんどくさい指標を語るのか?
本書の冒頭で延々と続く、この経済指標の解説は、おそらく初心者の投資家をうんざりさせるものであろうことがわかります。
それでも、エミン氏は意図的に、そのうんざりするトピックを冒頭に持ってきています。それは、日本人に企業の決算短信などの開示に加えて、国の状況を踏まえるように、言いたいからだと言えます。
つまり、日本企業には、外的要因の方が大きいわけです。そして、その傾向は、今後続くインフレ傾向と日本円の円安局面によって、さらに強まる、というのが、本書の主眼です。
よって実はここが、大きな勝負どころだと読んでいてわかります。
中国の発展は、デフレ傾向だった
単に反中姿勢を示すのではなく、経済的な裏付けを語る
指標の紹介を終えた直後から、本書では中国、インド、ブラジルなどの個別の国に関して触れていきます。そこで語られるのは、あまり他の書籍ではない視点だと感じました。
特に、中国とデフレマインドの関連を解いたのは、説得力があり、これからは中国とデフレが収束していくという論理は、非常に納得感があります。
世界景気の先読み指標としての『半導体産業』
半導体製造装置や洗浄剤、研磨技術などの多い日本株の恩恵を考える
ここは、カリスマ広瀬隆雄氏も見逃していたところで、エミン氏がいち早く気づいた日本の世界先行経済マーケットとしての魅力です。
日本は、半導体自体の開発技術では遅れをとっていますが、東京エレクトロンやレザーテックなどの半導体製造装置の世界的なシェア国であり、また半導体製造に使われる洗浄剤の最大手である三菱ケミカルグループなどの化学企業も有しており、それらの企業がアメリカよりも早く市場を表現する、という特性を持っています。
ここに着目したエミン氏は、長い間、半導体企業が先行指標としての機能を持つようになれば、日本株の妙味が増えると言い続けてきました。
そして、2023年にチャットGTPを発端したAIバブルで、一気にこの流れになりました。
本書では、これらの流れで、日本企業に対する独自の着眼点を解説しています。
Q:どんな人が読むべきか?
A:株式投資を始めて1年くらいの初心者。
指標は大事か、信じるかではなく、季節を感じるもの
エミン氏がこのような著作を作った背景には、2024年から始まる新NISAの影響があると思われる。この制度は、主に長期投資をする個人投資家のためのもので、実質的には年金制度が発達したものだ。
その中で、何が重要かと言うと、投資に季節があることを知ること、である。
投資の世界の四季は、目に見えにくい、感じるのに手間がかかる
株式投資を一年くらいすると、思った以上に、株価に決まった動きがある、ことを知る。そして、それが企業の決算と、金利と、指標に動かされている、ということにぼんやり気がつく。
かと言って、エミン氏が本で解説する指標は、強い影響があるわけではない。
株価が動く要因が100だとすると、金利50、決算30、指標20くらいのイメージである。そんな20しかないものを、エミン氏はこの書籍で語っているのである。
ただし、金利50と決算30は、季節として感じるには10〜20年くらいかかる。そう言う意味で、見た感じは数字祭りで難しいが、季節感として初心者的なのは、やはり指標ということだと言える。
そう意味で、エミン氏のこの書籍を作る態度は、非常によいと思う。
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