こちらの書籍はアマゾンオーディブルとオーディオブックで読むことができます。
目次
- 序章 人はどのようにしてインデックス投資家になるか―水瀬ケンイチの投資遍歴
(うそだろ!?そんなお金ないよ四六時中、株のことが気になって… ほか) - 第1章 さっそく、始めてみよう!―インデックス投資の正しい手順ガイド
(お金の運用プロセス―個人がお金を運用する正しい手順運用プロセスは家電製品を買うのと同じ―「正しい運用手順」を家電製品購入のプロセスに当てはめてみよう ほか) - 第2章 一歩先行くあなたへ―インデックス投資説明編
(インデックス運用、3つの長所を整理するインデックス運用の短所も少々 ほか) - 第3章 商品ガイド編―インデックスファンド、ETFの「ミナセ・シュラン」
(インデックスファンド(インデックス投資の基本形!)国内ETF(インデックス投資のニューフェイス!) ほか) - 第4章 マニア向けの特別付録 ETF運用の現場を知りたい!―日興アセットマネジメントETFセンター長・今井幸英さんに聞く(なぜ今ETFがいいのか?ETFファンドマネジャーの役割―だからETFは低コスト ほか)
著者紹介
山崎元(1958〜)
楽天証券経済研究所 客員研究員
1958年、北海道生まれ。東京大学経済学部卒業。
三菱商事→野村投信→住友生命→同信託→シュローダー投信→バーラ→メリルリンチ証券→パリバ証券→山一證券→DKA→明治生命→UFJ総研と12回の転職を経て2005年より現職。
水瀬ケンイチ(1973〜)
東京都生まれ。 都内IT企業会社員にして下町の個人投資家。2005年より投資ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」(http://randomwalker.blog19.fc2.com/)を執筆、現在はインデックス投資家のバイブル的ブログに。 日本経済新聞やマネー誌などに数多く取り上げられる。
ブログ主の勝手なまとめ
山崎元氏について知っていること
本書を私はずっと犬猿して生きた。
その理由は、山崎元氏の経済的な見地が低く、予想を外しまくるダメ評論家としてのイメージしかなかったからだ。私は、2002年からずっと村上龍のメールマガジンを読んでいたが、そのメルマガで山崎氏は経済・金融担当だった。だが、毎回毎回予想を外しまくって、誰この人?という感じだった。
個別株取引に、失敗した山崎氏と水瀬氏だからヒットした本書
だが、今年になってから少し考えが変わり、本書を読んでみようと思った(アマゾンオーディブルで読み放題で解禁になったのも大きい)。その理由は以下である。
- 金融の予想屋としてクソな山崎元がインデックス投資を流行らせた理由を読めるの期待
- 金融知識がゼロでもできる風の雰囲気が読める期待
- 長々とした日本の投資の歴史に詳しい山崎氏の無駄知識が書いてある期待
- 投資ファンドの営業マンのマインド(ダメな思考)が書かれている期待
上記は、到底前向きな読む理由ではないが、それはインデックス投資信託の特徴を兼ね備えると、意味が変わってくる。なぜなら、インデックス投資は、ダメ人間のための商品だからだ。
個別株で失敗していない私が本書を読む理由
で、読んだ結果どう思ったのかをようやく書いていこうと思う。
良かった点
- ETFの仕組みが書かれている(場外での銘柄購入や為替の裏話)
- メガバンク社員が個人口座の情報を盗み見て、クソ金融商品を売りつけている実態が明記
- アクティブファンドを運営していた水瀬氏のリアル話が書かれている
- 2000年中盤までの日本人の投資マインドが読める
- ある意味、なぜ日本人が投資を怖がるかが書かれてある
- いざとなった時に投資嫌いの妻に見せる本のバリエーションが1冊増えた
悪かった点
- 説明の不要なインデックスファンドの説明が長すぎる
普通、中級者が初級者向けの本を読んで、よかったとか面白かったとか思うことは少ないと思う。だが、本書は珍しくよかった。と同時に、私がいろんなものをすっ飛ばして日本の個別株や米国の個別株を買うようになったと知り、むしろ恐ろしく感じるところも多々あった。
本来、この本のように、ちまちまとした株式投資で痛い目を見たり、大損をこいたりして、成長したり、場合によってはインデックスファンドに逃げ込む、というのが、普通だと感じた。
初心者におすすめな側面:社会制度の遍歴とアメリカからの移植制度としての投資を知る
初心者に向けて私が本書を進めるとしたら、どういう視座があるのかというのを改めて考えてみた。例えば、自分が初心者だった時に、あるいは投資をしていなかった時に何に抵抗があったのか?
それを解きほぐす内容が、本書にはかなり詳細に書かれている。
- アメリカは80年代のインフレで、年金運用を諦めDC(日本はiDeco)などの制度に移行
- インデックスファンド(指数・無人)の反対がアクティブファンド(人力努力)
- 市場の波乱で、暴落をチャンスだと考えるポジティブ思考の実は常識的なところ
まず、私は初心者の頃、アクティブファンドとインデックスファンドの見分けがつかなかった。その点を考えると、本書は私の初めの大きなつまづきをただしてくれる。これは多くの人もそうだろう。
また、金融商品を買うタイミングの問題も本書では詳しく述べられている。
今では常識だと思っている景気循環的な考えは、確かに初心者の時にはわからない。
加えて、DCとかNISA、イデコ(iDeco)が登場した背景を説明してくれることで、初心者の頭の隅に残存している「投資はギャンブル」「投資はきなくさい」の意識を、覆してくれる。
これらは確実に、無駄な不安、無駄な後ろめたさ、無駄な苦しさを軽減してくれるだろう。
中級者から上級者が読むに値する部分はあるか?
では、次に初心ではない投資家が本書を読む必要があるのか?について考えてみたい。
答えは、読む必要はない。だが、それだけと芸がないのでもう少し書いていく。
低リスク・リスク分散ETF・投資信託の充実
本書を読む必要がない、と言い切れるのは、主に現在の商品ラインナップがここ数年で飛躍的に向上したからだといえる。厳密には、ダメ商品が消えて、良い商品が膨大に増えた。
それゆえに、中級者以上の投資家がその目利き度をそもそも使う機会が減ったのだ。
この書籍が売れていた頃は、よどりころがなかった。だが、今は多少はダメな商品を選んでも、、ある程度売れている商品であれば騙されたり、大損する確率は低い。
Q:どんな人が読むべき書籍か?
A:ずぶの素人が読むべき本だが、その素人本と考えた気には、もはやこの本ですら中途半端な感じがする。それは厚切りジェイソンのVTIの本『ジェイソン流 お金の増やし方』やリベ大両学長の『本当の自由を手に入れる お金の大学』で十分だし、そもそもこれらの本でさえ、今ではYouTubeやブログを読む程度で事足りる。無料で得られるのだ。
だとしたら、本書の役割は何かというとそれはもう、知識を補強する、あるいは、複数エビデンスが欲しい時のちゃんとした立場の人が書いた本(ジェイソンはお笑い芸人、両学長はマッチョライオンで両者とも信用できないと言えばできない)という程度。
こららをまとめて強引に結論づけると、心配性な人が読む、くらいの感じだといえる。
こちらの書籍はアマゾンオーディブルとオーディオブックで読むことができます。