著者紹介
松尾 茂起(まつお・しげおき)
1978年生まれのAB型。
関西学院大学 経済学部を卒業後、音楽系の制作会社に勤務し、大手舞台音楽などの制作に携わる。
その後、2005年にフリーランスとして独立し、自身の楽曲のネット販売などをおこない、さまざまなプロジェクトを成功させる。
その成功体験を活かし、2010年に株式会社ウェブライダーを設立。検索集客を軸としたWebマーケティングのコンサルティングやコンテンツ制作を手がける。
これまでにプロデュースした主なコンテンツは「沈黙のWebマーケティング」「沈黙のWebライティング」「美味しいワイン」「美味い居酒屋」など。沈黙シリーズは書籍化され、 それぞれAmazonランキングのベストセラーに。
セミナー講師としても、 「CSS Nite」や「ad:tech」、宣伝会議「編集・ライター養成講座」等で登壇。CSS Niteでは年間ベスト・スピーカー賞を4度獲り(2013、2015、2016、2017)、殿堂入りを果たす。2017年秋には文章の 校閲・ 推敲支援ツール「文賢(ブンケン)」をプロデュース。
目次
- 〈ストーリー 目次〉
- EPISODE 01 SEOライティングの鼓動
- EPISODE 02 解き放たれたUSP
- EPISODE 03 リライトと推敲の狭間に
- EPISODE 04 愛と論理のオウンドメディア
- EPISODE 05 秩序なき引用、失われたオマージュ
- EPISODE 06 嵐を呼ぶインタビュー
- EPISODE 07 今、すべてを沈黙させる・・・!!
- エピローグ 沈黙のその先に ※書籍書き下ろし
- 〈特別解説 目次〉 ※書籍書き下ろし
- SEOを意識したコンテンツを作るカギ
- 「USP」を最大限に活かすコンテンツ
- わかりやすい文章を書くためのポイント
- 論理的思考をSEOに結び付ける
- オウンドメディアに必要なSEO思考
- SEOに強いライターの育成法
- バズにつながるコンテンツ作成のコツ
概要(ブログ主によるまとめ)
本書は著名ブロガーマナブ氏の推薦などによって有名になった書籍である。ただ分厚く、値段も高価なため、本格的に読んだという人は案外少ないかもしれない。
それでも本書のもたらしたSEO業界のインパクトは凄いもので、サイト構成方法にマインドマップなどのツリー型コンサルタントアプリを使いながら、サイトマップを構築していく方法は、その後の多くのインフルエンサーに影響を与えた。
ライティングにおいても読者のニーズ分析手法は、この書籍以上のものがいまだにほぼ見つからないだろうと言われている。
“わかりやすさ” “情報量” “思考ノウハウ” そして“読者のアクセスルート分析”
ストーリーは、カリスマSEOマーケッターのボーン・片桐が、衰退しつつある温泉街にある老舗旅館に宿泊した際に、ひょんな事からその旅館の公式サイトをコンサルティングするという形で進む。
本書の最大の利点は、SEOの自己解決力・思考力を得られる、という点に尽きると思う。
本書以前のSEOの教則法(商材、セミナー)は、“あれをやれ”、“これをやったほうがいい”的な断片ノウハウの宝庫で、そこに至る思考力の身につけ方は語らないことがほとんどだった。
ここの根本を解決した点が、本書が出版から5年経った今でも色褪せない理由とされる。

グーグルが最重要視する『E-A-T』を “個人の機動力” という切り口で表現
ストーリーの中で、旅館サイトは、中国人の経営する大企業グループが運営する旅行サイトからの攻撃・妨害を受け、継続的に大きくアクセスを落とすなど被害を受ける。
しかもその大企業グループは、日本国内の旅行情報の集約サイトを大手も買収つくしつつあり、完全に入り口を塞がれたことが、その後明らかになっていく。
だが、主人公たちは最終的にその“妨害手法”を逆手にとって、旅館サイトは大勝利をおさめる。ここに個人ブログが使うべきSEO対策の本質が表現されているといっていい。
グーグルはSEOのガイドラインの中でコンテンツを検索表示するときに重要視する概念を『E-A-T』と名づけ、それらを以下のように定義している。
Expertise(専門性):WEBサイトやコンテンツ、著者が何らかの分野において専門的か
Authoritativeness(権威性):コンテンツのブランドが確立しているか
Trustworthiness(信頼性):信頼性の高い情報を扱ったコンテンツや、著者やサイトに信頼性があるか
上記は、ぱっと見、企業に優位性があり、資金力のない個人の不利さを感じさせる内容に見える。
だが、本書はこの“E-A-T”は、その切り口・戦略を変えることで、個人優位に変わるのだ。本書は、その個人コンテンツが企業サイトに勝つ方法をわかりやすく説明している。
それだけではなく、ストーリーと漫画というわかりやすいスタイルのため、読者を選ばない。この点が、出版から5年以上経過する現在もロングセラーとなっている所以である。
本書シリーズ“沈黙”の意味とは
『沈黙のウェブライティング』は、『沈黙のウェブマーケティング』の続編として書かれた。その“沈黙”というのは、アクセスの奪い合いが鎮まり、最終的に“一人勝ち”するという状態を指し示す。目的が達成された状態に行き着く、という意味にもとれるだろう。
通常、SEOの世界はグーグルアップデートや、強豪の出現で、激しいアクセス数のアップダウンや顧客の奪い合いが起き、その混乱状況は半永久的に続くと考えられている。
しかしながら、本書は、小規模サイトが持ち前の機動力でトラブルを乗り越えていくことで、SEOは完全攻略できること、つまりある程度のレベルで安定させることができることを暗に示した。
その点も本書の果たした役割で無視できないところだと言える。
Q:本書を読む上での注意点はあるか?
A:2016年刊行のため、2017〜2019年に実施された“健康アップデート”に関しての言及がない。健康アップデートとは、YMYL(your money your life)という健康やお金の情報を掲載するページに関するグーグル側の規制で、日本国内のみに適応された異例のアップデートである。
このアップデートは、現在の個人サイト運営に大きな影響を与えている。
簡単に内容をいうと、健康関連(サプリ、健康商品など)、経済関連(投資、資産運用、保険など)の情報がある場合は、その内容の正しさ等に無関係で権威性の低いサイトは検索上位に掲載されない、あるいはサイト丸ごとページ検索から飛ばされるという規制である。
これは以前から医療や健康に関する検索クエリの結果に、医学的根拠の無い情報が多く上位に表示されていたことによるもので、トラブルが絶えなかったことから実施されたものだ。
このアップデートの結果、ほとんどの個人サイトはYMYLに関して除外された。このジャンルは現在も企業や法人、大学などのサイトしか上位表示されない。
この辺の前提が、本書にはない。そこは他の情報ソースで保管するしかないだろう。
参照サイト:健康アップデート|具体例・YMYLと最新トレンドをチェック
Q:電子版と書籍版はどちらがおすすめか?
A:当然書籍版だが、できたら両方あると良い。
書籍版がなぜいいかといえば、やはり本書の構成が「マンガストーリー」と「特別解説(ティップイス)」の2つの構成になっているからだ。要するに、ページをあっちこっち見回る必要がある。そのため、パパっと、めくり飛びができるに越したことはない。
だが、基本は「マンガストーリー」だ。
本を読むのが苦手な人は、この「マンガ」だけを読むので効果はある。
また、電子をおすすめするもう一つの理由としては分厚さ(4センチ強)で本も、持ち運びをするには重い。なので、初読の基本は電子版を使い、再読は紙書籍がいいと思う。
Q:ブログをある程度初めてしまった後で読んで大丈夫か?
A:大丈夫だ。なぜなら、本書のストーリーもそうだからだ。
主人公は、旅館サイトを運営して久しい兄弟で、彼らは自分たちがそれなりにきちんとサイトの運営ができている、という意識を持っている。だが、それがかえって問題なのだが。
という感じで、むしろ、ブログにアクセスが来ないという問題が発覚してから読むのでもいいかもしれない。しかし、その際は、過去記事の書き直しなどのしんどい作業をすることにはなる。
実作業は、スキルアップにはどのみち欠かせない。
もちろん、まったくの初心者にもおすすめな本だ。最初に読むことで大幅な無駄を無くせる。