著者紹介

沢孝史
1982年、法政大学卒業後、大成火災海上保険株式会社入社。1991年に同社を退社し、コンビニ経営をはじめるも、半年で廃業し、再びサラリーマンに。サラリーマンの傍ら、少額の元手から不動産投資を開始、現在の投資総額は10億を越え、年間家賃収入は1億円となる。
不動産バブル崩壊、住専バブル崩壊、リーマンショック、東日本大震災による不況、コロナショックなどを住宅バブル崩壊のほぼ全てを経験した数少ない不動産投資家。
不動産投資サイト『楽待』では、公式DVD、動画配信コンテンツではトップバッターであり、同社の黎明期に注意深く不動産投資をするように常に喚起してきた人物である。
本書の要点
- 立地・建物状況で利回りは5%〜10%増減する
- 築古物件はいつか若返らせる必要がある
- 利益率が高くても物件のストレスが高ければ破綻のリスクがある
本書を読むべき人
- 高利回りで回しているのに不安がつきまとう人
- 溜まったキャッシュフローをどう扱っていいかわからない人
- 物件が高騰し、悪い時期に買ってしまった人
楽待のメンターによる書籍
本書は、おそらく日本で最長の部類に入るサラリーマン不動産投資家による著書である。
沢さんが一味違うところは、不動産の規模をあまり大きくしないで、長期的な運営をしていること。
同時に、長期間市況を見極め、様々な不動産投資家の転落を見てきたことだろう。沢さんは、楽待DVDにトップバッターの講師として登場するなど、パイオニアとして今でも評価が高い。
また、楽待の代表取締役でもある坂口 直大さんが、楽待を運営する時に多くの師事を仰いだ人物としても知られる。そんな彼が、非常に実験的な著書を書いた。それが同書である。
大物不動産投資家が相次いで破産・廃業している
一切の具体的なノウハウを書かずに、まるでオムニバス映画のように本書のストーリーは流れる。
築古物件を買い求めるAさん、大型RCを買う高属性のBさんを主人公に、その周辺の銀行担当者、不動産業者、リフォーム業者などがまるで生のセリフ、特に心の内側を吐露する形でページが進むのだ。いずれも間接的だが、不動産業界の深い事情が透けて見える印象を受ける。
これは、何度も危機を乗り切ってきた投資家にしかできない著書である。
本書は、そのような実験的な進行で、「銀行、成功大家、仲介業の誰もが言わない不都合な真実」をメインに、不動産投資の「リスク」を一気に語り切る。
そして、そのあとに、自分がどうすべきかを読者に内在的に提示する。ここの部分に驚きの内容が盛り沢山で、きっと驚くことになると思う。売れてないが、とんでもない書籍である。
通常の大家本とは違うスタイルで、ウェイウェイ的な気前のいい数字は出てこないし、内容は硬く、理解するのにはそれなりの労力を要するだろう。とはいえ、その内容は沢さんという、サラリーマンの大家として、世間からあげたりさげたりを繰り返されて、葬りのいい若手からはロートル扱いされたであろう彼ならではの内容が盛り沢山である。
読むのに時間がかかるものの、誰よりも優位に立ちたい人にはおすすめだとおもう。