橘玲の入門書として書かれた。アフターコロナ、アフタートランプの生き方について考える。『無理ゲー社会』橘玲

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著者紹介

橘 玲

早稲田大学文学部ロシア文学科を卒業。元・宝島社の編集者で雑誌『宝島30』2代目編集長。経済書籍での脅威のベストセラー出版率を誇る。

目次

  • 1 「自分らしく生きる」という呪い
    (『君の名は。』と特攻;「自分さがし」という新たな世界宗教)
  • 2 知能格差社会
    (メリトクラシーのディストピア;遺伝ガチャで人生が決まるのか?)
  • 3 経済格差と性愛格差
    (絶望から陰謀が生まれるとき;「神」になった「非モテ」のテロリスト)
  • 4 ユートピアを探して
    (「資本主義」は夢を実現するシステム;「よりよい世界」をつくる方法)
  • エピローグ 「評判格差社会」という無理ゲー

概要(ブログ主によるまとめ)

本書はかなり売れているらしい。ずっとAmazonでも販売数で上位にいる。おそらく、売れ行きからすると部数的に橘玲の最大のベストスラーとなるだろう。

そしてこれは本書内でも書かれているが、“無理ゲー”というタイトルを組み込んだときに、著者の予感としても合ったらしい。理由は、この“無理ゲー”という言葉に対しての、編集者を含めた周囲のスタッフたちの反応が、これまでの著者のタイトルづけと大きく異なったからだという。

エッセイ調の拡散したテーマを“格差の拡大”に合わせて構成し直した編集者の仕事ぶりが強い。加えて、アフターコロナの新しいトピックをふんだんに盛り込んでいるために、普段本を読まない人間には読みやすいかもしれない。

著者の本の中でも非常に配慮が行き届いている。

ロスジェネ世代以降の社会的な不安定化を、若者向けにまとめた:教訓本

今が地獄であるというのは、若い世代にずっと見られてきた一貫してあるブームのようなものだ。だが、近年、その進行が激化しており、若い頃の貧しさを自慢しがちな年寄りでさえ、現代の若者、特にミレニアム世代以降の若者に “同情する風潮” すらある。

この本もその思想によって書かれている。ターゲットは間違いなく20代である。

しかし、なぜこんな若者だけをターゲットにした書籍が、橘玲というベストセラー作家の最大のヒットになったのか? それはもちろんタイトルの良さもあるが、書かれた内容の良さにも十分理由があるし、世間に届く書き方になったといういうべきだろう。

“社会的寄生虫” 団塊の世代を攻撃するチャンスを待って、的確に狙え

本書で一方的に攻撃されるのは、高齢者であり、著者もむしろその高齢者に含まれようとしている中、上から下を見下ろすようにその下界を『無理ゲー社会』と見做した

これは強烈な皮肉だが、それでも若者が年寄りに下克上をできるようなヒントがきちんと入っている。

橘玲という作家のメインテーマの一つに、実はこの “社会的寄生虫の団塊の世代” への攻撃がある。その長年のテーマにケリをつける書籍になるのかもしれない。

と同時に、これまでの彼の著書で若干わかりづらくとっつきにくい書き方で書いてきたものが、いい意味でオーソライズされて、散りばめられている。初心者に読みやすくなった。

私としてはこれを期に、著者にはこういう本を継続して出してほしいと思う。

Q:どんな人が読むべきか?

A:団塊の世代(1940年代後半生まれ)の犠牲になる全ての人だろう

増税や保険料の上昇、医療の高額化などに不満を持っている全ての人が対象だ。

とはいえ、実際はもう少し範囲が広いかもしれない。なぜなら、本書では面白いことに、2100年まで人口増加が見込まれるアメリカでさえ、日本と同じく社会制度に苦しむ若者の姿が描かれているからだ。

資本主義が成熟していく過程で、新しい世代が、量の多い年寄りの存在で首をぎゅうぎゅうに締め付けられ、悪い思いばかりをするという現実は、世界的な潮流なのだろう。

Q:秋葉原殺傷事件の加藤智弘、やまゆり園 障害者無差別殺人の植松聖についても、好意的・同情的に書かれている。その意味は?

A:この二つの事件は、社会が隠そうとしてきた事が大噴出した現象だという著者の確信があるからだろう。それは、団塊の世代より若い人なら多くの人が持っている意識だと思う。

他の書籍でも触れている内容だが、特にこの『無理ゲー社会』では、過去のどの書籍よりも加藤智弘と植松聖について大きな紙面が割かれており、その分、リサーチや考察も深い。

言うなれば『無理ゲー社会』というゲームは、この二人に象徴されているのかもしれない。

Q:ユヴァル・ノア・ハラリの引用が目立つが、それはどういうことを意味するのか?

A:ハラリ氏の最大の特徴としては、宗教的な神の否定がある。

そして、やがてクラウド・AIという存在が、“神”にとって変わるという自論を持っている。これは当初は、ヨーロッパのインテリの失笑を受けた。だが、徐々に現実味を帯びている。

橘玲も徐々に、宗教は有害だという思想に傾きつつある

ハラリ氏の書籍では、クラウド・AIは、何も奇跡を起こす云々ではなく、人間の膨大な知的情報をまとめて、リライトを重ねて作り出した“宗教”や“神”と、あくまで同じ形態をとるという意味で、考えられている。この点のシンプルさが、非常に耐久度が高い。

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主に本書で橘玲氏が多く引用しているのは『ホモ・デウス』だ。この書籍は特に、ハラリ氏の反宗教の思想が強い書籍で、なにしろ一番部数が売れている。

だが、『ホモ・デウス』は、本を読み慣れていない人間には高尚すぎる書籍で、分厚く、読むための知識もかなり要求される。

橘氏の本でも解説がある意味中途半端なので、YouTubeなどでも情報がたくさんあるので、触れておいていいと思う。逆に言えば、それくらいでいいかも。

Q:この本の次に、どの橘玲の書籍を読むべきか?

A:本書が橘玲氏の18冊目の読書となるが、その観点で言わせてもらえば『スピリチュアルズ』か、『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』かなと思う。

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でも、彼の真骨頂は“脱貧乏:金持ちになろう本”だと思うので、本当は『新版 お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』のような本を読んで欲しいと思う。

彼の書籍に通底しているテーマだが、貧しさの中でどんなに知識を構築しても、苦しさや金の欲しさに人間の性格や本質は簡単に歪んでしまう、というのがある。

どうせなら、富の構築と知識の構築を並行して身につけて行って欲しいと思う。

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