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著者紹介

ジェームズ・クリアー(年齢非公表)
2012年ごろから「習慣」「意思決定」「継続的改善」を専門とし活動を行い始める。書籍の執筆だけでなく、講演も多数おこなっている。
最もよく知られるようになったのは本書『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』(原題『Atomic Habits』)であり、本書は、ニューヨークタイムズ誌の2018年度ベストセラービジネス書籍の第1位に選ばれている。その著作は全世界のメディアでも多数紹介された。現在、妻とともにオハイオ州コロンバスに在住している。
概要(出版社の文章)
良い習慣を身につけるのに唯一の正しい方法などないが、本書では著者の最善の方法を紹介する。つまり、どこから始めても、また、変えたいものがなんであろうと効果のある方法である。
ここで取りあげる戦略は、目標が健康、お金、生産性、人間関係、もしくはその全部でも、段階的な方法を求めている人なら、誰にでも合うはずだ。
人間の行動に関するかぎり、本書はあなたのよきガイドとなるだろう。
目次
- 基本 なぜ小さな変化が大きな違いをもたらすのか
- 第1の法則 はっきりさせる
- 第2の法則 魅力的にする
- 第3の法則 易しくする
- 第4の法則 満足できるものにする
- さらなる戦略 改善するだけでなく、本物になるには
- 付録
アマゾンオーディブルのビジネス部門で注目される
オーディオブックは通常よりも長く、難しい書籍が読まれる傾向がある。その傾向は、紙や電子の書籍とは違い、最後まで読み切ることが多いため、トータルの完成度が高いものが選ばれやすい。そういった中で人気が高く高評価の書籍が本書であり、当然レコメンドで私のページにも登場した。
ジェームズ・クリアーという著者は、ビジネス書籍でも無名でおそらく出版社も、例えばサンマーク出版のような狙った本に多大な広告費を投下する出版社ではないので(パンローリング株式会社:比較的若い出版社だ)、読んだ人にシンプルに反響があった本ということになる。
目的は共有されやすいが、能力は共有されにくいのは「習慣」が間にあるから
本書を読んでみて、私も驚いた。かなり画期的な本だと思った。
本書で取り扱っている内容は主に習慣の「細分化」「最適化」だといえる。こう言われると、そんなの俺もやってる、私もやっている、というふうに思うかもしれない。
だが、確かに本書で書かれているノウハウを天然でやっているケースも少なくないだろう。しかしそれでも、本書のような「意識的にやるか否か」は大きな影響があるといえる。
日常生活に「努力」を挟んで、確実にこなしていく方法:実例紹介
毎日本を読む。という習慣をつけようとする。
その場合、どうやってそれを実行するか。本書に準じると次の通りだ。
本を読むのに適した時間帯の選定と、日常生活の分解
→朝、頭がすっきりしているときに本を読む
朝の行動分解をする
- ベットから起きる
- 掛け布団とシーツをたたむ
- 食事をする
- 出勤の準備をする
- 出勤
分解した行動に「読書」の誘導行為を挿入
- ベットから起きる
- 掛け布団とシーツを畳んだときに、ベットに本を置く
- 食事をする
- 出勤の準備をする前に、自室で本を読む
- 本を本棚に戻して、出勤の準備をする
- 出勤
習慣化後の微調整
- ベットの上でもっと目立つブックカバーをつける
- 出勤の準備は眠くてもできるので前日にする など
このように、習慣を作り上げることで、本を読む確実性が上がる。また、自分の悪習慣の見直しをする良い機会にもなる。アレンジも可能であることもわかる。もしたまたま朝が忙しくて本を読まなくても、帰宅時にはベットに置かれた本を目にするようになる。
このような形で自分の行動に連動した習慣化を差し込むことで、確かに「努力が努力ではなくなる」という状態に移行しやすくなるのは間違いない。シンプルだが、かつてここまで習慣の力を簡潔に語った書籍はなかなかないのではないだろうか。
“習慣化”によって、競争のない世界に「突然変異の天才」が生まれる
本書のすごいところは、一般的に言われている“目標”と“競争”以外の手法によって、才能の開花を解説しきれているところである。この「極小の習慣のイノベーション」を著者は「アトミックハビット(『Atomic Habits』(本書の原題))」と名付けた。
本書によって世界で初めて「天才が生まれる条件」を定義できたのではないかと思っている。天才はいつの時も、突如、そのシーンに登場し、周囲を驚かせる。かといって、努力や研鑽を全くしないタイプの天才はほとんど存在せず、また、競争が嫌いな天才さえいる。
これまで、そのようなタイプの天才が出現する理由が、まるで神秘のベールに包まれてきたが、本書を読むことで、実にあっさりその誕生のメカニズムが解明されたような気がした。
良い習慣を生み出せる条件
ただ、著者は『Atomic Habits』がうまくいくには条件があるという。
- 今の能力ギリギリで行える『Atomic Habits』を続けられること
- 『Atomic Habits』を楽しいと思い続けられること
- 自分で次の『Atomic Habits』の課題・次の段階を設定できること などなど
簡単にいうと、1日50グラムずつでも持ち上げるバーベルの重さを上げることができれば、一年後には30キログラムのさらに重いバーベルを持ち上げることができるようになるということ。
その「50グラムの増加」という自分ならでは課題設定が、肝なのだ。
ただし、『Atomic Habits』の改善・課題の創出は容易に言語化できるものはなく、そこには毎日の習慣化によるさまざまな個人差とそれに連動するドライブしていく秘密の方法ができていく。
本書では、この“習慣化の運用”に加えて「独自の戦略」が多く書かれている
その辺に関してもっと知りたい方は、本書を読んだ方がいい。
Q:どんな人が読むべきか?
A:習慣化にある程度挑んだことがある人。
本書は、確かに「知らないうちに天才を生み出す習慣管理法」という側面を持っている。だが、それ以前に、本書の冒頭では、「しっかりとした長期的な目標設定」のできる人間だけが、この「習慣の福利運用」を渇望している人間に該当するという大前提が繰り返し書き込まれている。
つまり、本書は「目的のある人」が読むべき本で、あくまで「手段の本」という側面を持っている。
だとしたら、いきなり読むのではなく、ある程度自分の思うように何か大きな成果を目指してみようと思った人間が失敗の末に手に取る方が、自然な流れだといえるかもしれない。
基本的には「体験」がないと読めない本
そういう意味で、「体験」がないと読めない本だともいえる。
大体のスポーツの本は、その競技の入り口に立った人間に向けられている。野球のバットを振ったこともない人間や、サッカーボールでヘディングをしたことがない人間に向けて、野球やサッカーの本を書くことは難しい。
そういう意味では、本書の対象はざっくりいうと「万事をひとまず経験した30代以降」に向けられた本だともいえなくない。
自分に天才的な素養がなく、努力のセンスもなく、夢も希望も失いかけている……、みたいなレベルまで行かなくとも、ある程度枯れてから読む本なのだといえる。
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