混乱期に的中率を上げる情報解釈術を見る『世界人類を支配する悪魔の正体』副島隆彦&ベンジャミン・フルフォード

書評

目次

  • 第1章 この世界を支配している悪魔の正体
  • 第2章 崩壊する旧支配体制の裏に絡むカルト宗教と秘密結社
  • 第3章 日本発の情報が世界を動かす
  • 第4章 スピリチュアリズムと封印された科学技術

出版社の宣伝文句

見よ!
真実を語る
この命懸けの覚悟と勇気 ――

5000年の歴史を貫く悪魔(サタン)崇拝のカルトの系譜
ヴァチカンか、イギリスか、「チャバド」か、それともロックフェラーか
真の敵は誰だ?
「この世の悪魔どもに負けてたまるか!」
圧倒的深みと奥行き、驚愕の事実と謎解き満載の
2大巨匠対談・第2弾!
アメリカ内戦、世界大革命、大恐慌間近の今、必読の書!

著者プロフィール

フルフォード,ベンジャミン(Fulford Bennjamin)

1961年カナダ生まれ。ジャーナリスト。上智大学比較文学科を経て、カナダのブリティシュ・コロンビア大学卒業。米経済紙『フォーブス』の元アジア太平洋支局長。

副島隆彦(そえじま たかひこ、1953〜)

福岡市生まれ。本籍・佐賀市。早稲田大学法学部卒業。大学卒業後、銀行員(インタビューなどで英国:ロイズ系の金融機関勤務だと答えている)として英国に勤務するも3年ほどで退職し、帰国する。その後、代々木ゼミナール講師(受験英語)、常葉学園大学教授を歴任。

専門はアメリカ政治思想と政治史。選挙や米国政治人材に詳しく、オバマ当選(2008)、トランプ当選(2016)の予測を的中させたが、バイデン当選(2020)を外す。リーマンショックを予測した『連鎖する大暴落』、『逃がせ隠せ個人資産』、『世界権力者シリーズ』はベストセラーに。

ロシア・安倍晋三・カルト宗教を徹底的に語る

お互いを陰謀論者と認識して、牽制し合う、変だが興味深い対談シリーズ

本作は、陰謀論者系ジャーナリストとしておそらく日本で一番有名なベンジャミン・フルフォード氏と、一部で陰謀論者扱いされているものの、専門的な学術本も多く、経済予測を的中させることでメジャーになった副島隆彦氏の対談シリーズ第2弾である。

前作はこちら

フルフォード氏は、ヨーロッパ人脈(ロスチャイルド系)に突っ走って、暴走すると副島氏が牽制し、また副島氏が、トランプ人脈(キッシンジャー系)に対して暴走すると、フルフォード氏が牽制するといったふうに、お互いがお互いを信じておらず、嘲笑うシーンがあり、そこが返って真実味を感じる対談である。以下、二人がお互いに対立する主義主張の特徴をリスト化してみる。

ベンジャミン・フルフォード氏の暴走ポイント(副島氏が毛嫌いするもの)

  • ハザール王国陰謀説をとる:一部の悪徳ユダヤ人が暴走しているという視点
  • ロスチャイルド・ロックフェラーがいまだに世界を牛耳っている
  • ニュース報道のほとんどはCGである説:例:バイデンは完全なCG説
  • プーチンはニセ物説

副島隆彦氏の暴走ポイント(フルフォード氏が気嫌いするもの)

  • キッシンジャーが現在の世界皇帝代理である説
  • フリーメイソンは、実はいい人集団だった説
  • カバール・ディープステイトを多用する

副島氏とフルフォード氏の共通する主張

  • ロシアは今回の戦争で、再びユーラシア大陸のエリア覇権国に返り咲いた
  • 金 正恩(キム・ジョンウン)は2018年ごろに死去しており、現在は偽物にすり替わった
  • SDGsは悪の主張で、世界を不幸にする
  • 統一教会が世界の様々、重要組織を乗っ取っている
  • 明治天皇は幼少期に殺害され、長州藩によって大室寅之助にすり替えられた

二人の対談で見えてくるもの

マスメディアが外してきたことを予言し続けた二人

本書で語られる明治天皇が大室寅之助にすり替えられた説は、2000年代初頭までは陰謀論扱いだった。だが、その後に裏付けとなる研究が数々発表され、現在では、かなり信憑性が高い、と言われている。

そもそもこの副島隆彦氏とベンジャミン・フルフォード氏の対談の妙味というのは何かというと、二人ともマスメディアから排除されつつ、それでも出版界で生き残った代表格という点だと思う。

この二人が、お互いを値踏みしながら、対話を繰り広げる。

その会話の中で感じるのは、正しいこと(世論との違和感がない)を言い続けてきた人間は、むしろ消えていったという事実であり、多少嘘くさい陰謀論を言い続けたに見えるこの二人が、出版社に支えられ続けて、ネット言論の激しい浮き沈みを耐えてきたという点だろう。

ロシア・ウクライナ戦争によって、マスメディアの不透明性が再び増した

本書で語られるジョン・べルーシ監督・主演作の『アニマルハウス』は、日本版では大きな検閲を最近になって受けており、スカル&ボーンズのあの有名な儀式をそっくりそのまま取り行ったシーンが削除されている。
日本版『アニマルハウス』では、エリート大学の秘密の儀式が削除されている。幼女殺し(生贄の儀式)や乱行パーティなどが、日本では陰謀論だが、白人社会や日本以外のある一定のレベルの国(中国)などでは、周知の事実らしい。このことは、本書でフルフォード氏によって語られており、副島氏の同意している。

戦乱期や冷戦などの、国際的な対立軸が明確な時期になると、一気にタブー視されるものが増えるという。その時に、この二人の対談に言われるような内容は、情報の価値を変えることがある。

今回のロシアとウクライナの戦争で、テレビなどで報道されている保守的な事実ベースでも、いろいろなことが覆りやすいのは、多くの人も実感としてあるだろう。

そんな中で、この二人は、むしろ同じことを言い続けている、というスタンスに不思議と見えてしまう。だが、その中には、まだまだ信じられないような過激で冗談みたいな話もある。

とは言え、そんなバカな、そんなことはあり得ない、という価値観の変容に、この両氏の過去の書籍はついていけている点が重要であり、そんなことを短時間で確認できる対談となっている。

Q:どんな人が読むべき書籍か?

A:まず、前提としてこの二人の過去の書籍をいくつか読んでいる人が望ましい。

なぜなら、この二人は、耐えずインチキ詐欺師を言われ続けている存在であり、その世間からの冷遇ぶりのさわりの雰囲気を最低限知っておく必要がある。

もちろん、この二人のすべての論説を信じてはいけないという戒めの意味もある。

それでも、混乱期が来ると、自然とこの二人は引用されたり、参照されることが多い。特に、副島氏は定期的に『属国日本論』や『覇権アメ(世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち)』といった、慶應大学や名古屋大学などでも教材にされるような書籍を書いている本格派の側面もある。

また、同書籍内でも副島氏が触れているが、フルフォード氏は英語がネイティブにもかかわらず、日本からこのような陰謀論的な情報を発信し続けている特異な人材だ。

はなはだ、フルフォード氏は自身の力量を過大評価するところもあるが、日本という極東の立地から英語で情報を的的に発行する1000万人クラスのメルマガの主宰でもある点も無視できない。

それでも日常生活的に、外れすぎた情報

要するに、この二人は裏付けを取ろうとすれば、ないわけではない情報を発信している。だが、それが的確な未来予測であっても、日常生活のバランス感覚を維持する方が全然優先度が高い。

そういう、バランス感覚がとれる人だけが読むべき本だと私は思う。

そういうややこしいことができないのであれば、せめて非日常的なエンタメだ、くらいで読み始めるのがいいかなともむしろ思う。読む人をとても選ぶ対談本だ。

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