「礼節」は天才性に勝る『Think CIVILITY「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である』クリスティーン・ポラス(著)要約・概要

オーディオブック

著者紹介

クリスティーン・ポラス
ジョージタウン大学マクドノー・スクール・オブ・ビジネス准教授
活気ある職場を作ることを目的とし、グーグル、ピクサー、国際連合、世界銀行、国際通貨基金、アメリカ労働省・財務省・司法省・国家安全保障局などで講演やコンサルティング活動を行う。

この本でわかること

  • 「礼儀正しさ」であることは時として「天才性」「抜群の実力」をも凌ぐ
  • 「無礼さ」の「損失コスト」を一流企業は既に算出している
  • 一度「無礼」と判断されると負のスパイラルに陥り、地獄に落ちることがある
  • スポーツの世界でさえ「無礼者」を排除する
  • AIなどの発達で人員余剰となり「礼儀正しさ」の重要性が増した
  • 「礼儀正しさ」は、自分で判定できない「知る」必要がある

本書を読むべき人

  • 「礼儀正しい」と思っていたが、「無礼」だと判定されたことがある人
  • 「礼儀正しさ」を手取り足取り教えてもらいたい覚悟がある人
  • 企業で人事部にいたり、人を採用するポジションにつく可能性のある人
  • 周囲に「無礼な人」がいる人・「無礼な人」に苦しむ人
  • 周囲の人間を使って「組織内の無礼さ」を排除するメソッドを知りたい人

「悪い言動」から「極めて小さい行動」までを網羅

能力主義と言われたアメリカのビジネス界が、今、大きく変わっている。
本書は『7つの習慣』『マネジメント』などの人格主義に効率性を伴う書籍の後続だと言える。
ただ、それらの本のような「礼儀正しさの概要」を述べるのではなく、ケーススタディーを網羅し、具体的な記述で人格主義を記述する点で大きく異なる。
また、具体的な「無礼な行動の補正」方法も多い。
自身だけでは修正できない「無礼さ」をチェックするチェックリストすらついており、徹底して読めば「礼節のある人物」に自分を強制できる内容だ。

アメリカはマイノリティの進出から一巡して「礼節」の時代に入った

「無礼な行動」をすることで周囲の人間がどのように「能力を低減し」それによって「収益性がどのくらい悪化するか」ということを記述した部分が、本書の前半にある。
もちろん、これは産業の種類にもよるだろうが、本書で語られる「あるIT企業の一例」は、明らかに他の産業に伝播するような強烈な記述である。
また本書を読むことでわかるのは、アメリカのオフィスワーカーの余剰である。
女性やマイノリティの参入とAIの発達で、人海戦術的な仕事はどんどん減っている。そのような経営者が、面接で有利に立ちやすい状況では、この礼節効果をドライブさせていくだろう。
これは今の日本にも間違いなく当てはまる。

内容は真新しくはない。しかし、恐ろしく具体的だ。社会の移り変わりの恐怖を身にしこませるために読む本である

例示されるのは、ジョンソン&ジョンソンやGoogle(アルファベット)、フットボールの有名監督の実名など大企業・著名人である。内容はそれほど新規さはないから、さらっと読みこなしてしまう人が多いかもしれないが、これはかなり恐ろしいことである。
有名フットボールチームのコーチが、ドラフトの新人面接で「天才」と言われた学生を落とすシーンなどは、今まで決して具体例や個人名を出さずに書かれてきたことだ
本書でひたすら語られる具体例は、様々な礼儀本で語られてきたことと同じであるが、その具体的な数字や個人名、企業に驚かされる。しかも招かれる結果は、具体例の方がひどい。
ひとつひとつ噛み締めながら、本書を読むべきだと思う。おすすめしたい本である。

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