こちらの書籍はオーディオブックでも耳読みすることができます。
著者紹介

デビッド・アレン(David Allen, 1945年12月28日 – )は生産性向上コンサルタント。現在、シリコンバレー企業の多くで採用されているタスクマネジメント技術の代表的スキル「Getting Things Done(GTD)」の生みの親として知られる。
デビット・アレンの細かなプロフィール
デビット・アレン自身は、カリフォルニア大学を卒業しているものの、非エリートで若い時からドラッグにハマり、ならず者の部類に入る。仕事はレストランのコックやビタミン剤の営業など、底辺の職業を35歳までに35回も転職している。
だが、その後1980年代(アメリカではハイパーインフレが起きた後)から自ら編み出した生産性向上スキル(まだGTDになっていない)の営業販売を初め、それによってロッキード社の役員・管理職に向けた研修プログラムを構築する契約を勝ち取ったという、実に変わった経歴を保有している。
目次
- 第1部 GTDの基本
- 仕事は変わった。さて、あなたの仕事のやり方は?
- 生活をコントロールする―GTD実践のための5つのステップ
- 創造的にプロジェクトを進めるために―プロジェクトプランニングの5つのステップ
- 第2部 ストレスフリー環境で高い生産性を発揮しよう
- さあ、始めよう―時間と場所、ツールの準備
- 把握する―“気になること”のすべてを把握する
- 見極める―インボックスを空にする
- 整理する―最適な受け皿を用意する
- 更新する―システムの機能を維持する
- 選択する―最善の行動を選ぶ
- プロジェクトを管理する
- 第3部 基本原則のパワーを体感しよう
- 「把握する」習慣を身につけると何が変わるか
- 次にとるべき行動を決めると何が変わるか
- 望んでいる結果に目を向けると何が変わるか
- GTDと認知科学
- GTDマスターへの道
ブログ主の勝手なまとめ
日本の出版社が誤認しているデビット・アレンの評価
本書で語られるデビット・アレン式のGTDは、1990年代から2000年代前半にかけて、フランクリン・コヴィー社(創設者はスティーブン・R・コヴィー)などが提唱したタイムマネジメント理論とごっちゃで紹介されていることが多い。
だが、実際GTDはタスク管理術で、レベルとしていえばタイムマネジメントよりもはるかに程度が高く、有用で使い勝手良い。この点を多くの評論家やビジネス書籍が誤って認識している。
関連記事:【動画あり】ビジネスマン必読。だが、欠点を掘り下げてみる。批判的にレビュー スティーブン・R・コヴィー『7つの習慣』
ポンチースキーム化したタイムマネジメントに比べ、GTDは有用性が高い
PCやクラウド技術、AIの登場によって、個人の取り回せる時間の運用よりも、ツールによるタスク管理の方が重要となった今、最先端の企業で使われているのは、このGTDであり、タイムマネジメントではない。
特に、日本ではセミナービジネスであったり、文具や手帳のセールスと結びついてしまったフランクリン・コヴィーのメソッドがやたらビジネスマンにもてはやされているが(リベ大の両学長も含めて)、実際のところ、アメリカのシリコンバレーでは既に廃れており、主流ではない。
グーグル、フェイスブック、アップルで利用されているGTD
私がここ三年で読む、アメリカの若い世代のビジネス書籍でも圧倒的に、デビット・アレン信望者が多く、彼の文章やメソッドの引用率が高い。それに比べて、コヴィーの引用はゼロである。
例えば、昨今、若手ビジネスマンの多くに読まれた『時間術大全』などは、このGTDのメソッドを導入したGoogleの社員たちによって書かれた書籍である。というか、こっちの元祖本の方が、どう考えても本格的で有用性が高い。
関連記事:【裏読み】GAFAM社員による「同僚・社会のベストな無視の研究」。生まれながらの効率化社会にあらがう『時間術大全』
人類の無駄な時間の95%は「覚えておく」「悩む」時間。それを消し去る
では、本題に入って本書の結論部分にいきなり触れていこうと思う。
本書は、タスク管理によって無駄な時間を無くするだけの本である。
つまり、時間の効率化や仕事のスピーディーな進め方を描いた書籍ではなく、どちらかというと、その効果は心理学的な効果だといえる。
知らず知らずに、流れる時間を制御する=頭のゴミをなくす
GTDの基本は以下の通りだ。
- タスクをIn BOX(一箇所)にまとめる
- 週に一度、In BOXの未読を既読にする
- In BOXから「次にやるべきリスト」に一部のタスクを移す
- 並行して「長期的プラン(できたらいいなリスト)」も作る
- それ以外のIn BOXのタスクは、できる限り捨てる
要するに、GTDとは「In BOX」と「次にやるべきリスト」の二つのことである。
「長期プランリスト」も確かに採用しているが、これはどちらかというと、優柔不断なものか、無理で時間がかかるタスク、つまり言い訳のきくタスクの単なる避難場所であり、いつかは「次にやるべきリスト」に移動させるものだということで、二軍のようなものだ。
記憶や注意、思考、我慢を『単なる壁紙』に置き換えていく
これらの「In BOX」と「次にやるべきリスト」を目の見えるところに置く。
それによって、人間はストレスと疲労の85パーセントがなくなる。
私がGTDは、効率化ではなく、心理学的な作業だという所以はここである。
書籍では、具体的な手法・トラブルシューティングが満載
ただし、この考えはあくまで基本的な物だけを理解できれば、すぐにうまくいくという類ではない。だから、本書のような書籍がある。
私もGTDをやってみてすごい効果があり、驚いている。
が、実際に自分で行動できるようになるには、本書を二度ほど読む必要が残念ながらあった。
そういう意味で、本書はマニュアル本としての意味合いが非常に大きい。
Q:どんな人が読むべきか?
A:タスク管理で悩んでいる人であることは当然だろう。それ以外に、読むべき人がいるとしたら、単純に悩みの多い人とかだろうか? 自分が何に悩んでいるのかがわからない、という感じの人だったら、なおさら役に立つかもしれない。
心の悩みに効く本:複雑化していく社会から離れる
ビジネス書籍として書かれているが、とても意外なことに、本書は人生本だという側面もある。本書に書かれている書籍は、タスク管理術として誕生したものばかりだが、全体的にはどちらかというと「お悩み相談本」としての役割も担っている。
断る理由や見捨てる理由、無視する理由を明確化できる
自分で書いていながらとても奇妙な感じがするのだが、本書を読むと、日本人の曖昧さがいい意味でコントロールできようになると感じた。GTDの整理術を行うことで、おそらく日本人は化学変化のようなものをすることになるのではないだろうか?
何というか、京都人というのはこのGTDを歴史的な学習で天然で行える民族なのかもしれないと思った。自分には不要だが、あえて曖昧にしたり、曖昧なものを判断せずに繋ぎ止めておく。そんな思考をストレスなくやるのにぴったりな側面がある。
こちらの書籍はオーディオブックでも耳読みすることができます。