著者:ナポレオン・ヒルについて

無名時期が長い故に、謎が多い人生
ナポレオン・ヒル(Napoleon Hill 1883年10月26日 – 1970年11月8日)は、アメリカ合衆国の著作家。成功哲学の提唱者の第一人者の一人であり、『頭を使って豊かになれ (邦訳:思考は現実化する)』(Think and Grow Rich)の著者。
26歳のときに、鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの依頼で、2000人の成功者に20年の歳月をかけて、取材。トーマス・エジソンやヘンリー・フォードなどの500人以上の共同制作で『Think and Grow Rich』(日本では『思考は現実化する』と『成功哲学』の2種類に翻訳・編纂されている)を書き上げる。
本書は、大恐慌時にアメリカ人を勇気づける自己啓発とビジネス成功哲学の確立に貢献した自己啓発書の元祖でありながらも、そのクオリティの高さから現代も人気の書籍として存在し続けている。
後ほど、ナポレオン・ヒルの総まとめ記事でも書く予定だが、彼自身も謎や疑惑が多く(カーネギーにあった証拠がないなど)、かなり興味深い著者である。生誕がとうに100年以上前なのにも関わらず、この影響力は凄い。

『思考は現実化する』目次
- 思考は現実化する!
- 思考は現実化しようとする衝動を秘めている
- 願望の設定は、あらゆるものの達成の出発点である
- 信念は願望実現の原動力である
- 深層自己説得を活用する
- 個人的経験と観察力を高める
- 脳の中に浮かぶ森羅万象の世界を活用せよ
- 体系的な行動計画を立てる
- 速やかに決断せよ
- 忍耐力を身につける
- マスターマインドの力〔ほか〕
『思考は現実化する』概要(ブログ主のまとめ)
平等教育を妨げる“邪悪な人間性”が、本来、一番富に近かった
本書の特徴は、その長さと内容の濃さに相反して、実にシンプルでなところである。なぜなら、ナポレオン・ヒルが成功に必要だと考えている秘訣は、三つしかないからだ。
それは以下である。
- 欲望を持つことは悪いことではない。むしろ人間の特殊能力である(深層自己説得)
- 信用できる複数の人間とともに成功を目指すべき(マスターマインド)
- 性欲(愛の別名)が強い人間が、成功を手にする(性欲の才能化)
この能力は誰にもほぼ等しく備わっているものだ。
だが、道徳や宗教、学校教育ではこれらは疎ましがられ、敬遠されてきた。後天的な教育によって、子供らしさが押さえ込まれるように、富の本質を捉える力が抑制されてしまう。
その理由は単純だ。親が子供を教育するときに、最も邪魔で厄介なものと関係しているからだ。故に、社会も両親も友人たちも、この世で害なく、他人に妬みをなくしていくために、このような防御策を推奨したのだ。だが、これは近代以前までならともかく、現代では間違っている可能性が高い。
人間の真価は、性欲をコントロールできるようになった40〜50歳から発揮される
カーネギーの命令で、ナポレオン・ヒルが取材した2000人の中には、まだ成功のしていない若い人間も多く存在していた。だが、ほどなくしてほぼカーネギーの目利きがあたり、そのほとんどの人間がその後に成功を収めたという。
その中でヒル博士が気がついたのは、人間の本質的な能力は、膨大な性欲を持つものに限定をされていた。性欲のないものは、能力がないに等しいのだ。そしてその性欲をコントロールでき、自分のできることできないことの判別にある程度当たりがついた40歳以降に、垣間見える、ということが、いわゆるカーネギーの先見性の本質だった。
これらの観察から逆算して、本書は構成されている。
普通に生活を送ってきた人にとっては、こんなに気持ち悪い前提も珍しいだろう。
本書はそういう意味で、ミステリアスな要素が充満しているように思えるかもしれない。逆に言えば、そこを取り入れられるかどうかが、本書を読み込める資質となってくると思う。
Q:どんな人が読むべきか?
A:自分は貧しく、人生に苦しんでいる、と自覚している人だと思う。
その条件さえ合っていれば、若かろうが年寄りだろうが、あまり関係ないところが本書にはある。だからといって、誰にもおすすめできる書籍では無い。読む人を選ぶ。
また、資産を持っている人でも、何がしかの渇望感がある人にもおすすめできる。かなり強いメッセージのある書籍なので、日本国内の書籍を読み慣れている場合は違和感を感じるかもしれない。
ロバート・キヨサキの本が好きな人は、ある程度おすすめできる。
Q:どうして誰にでもおすすめできる書籍では無いのか?
A:基本的に、金銭や欲望への渇望を達成し切るというテーマがあるからだ。これは、常識的な世界では非常に“汚い考え方”をふんだんに含んでいる。
ここまで資本主義の欲望を全肯定した本は現代でもなかなか珍しい。また、本書で語られることは、概要でも述べたが、世間的には人前で話すべきでは無いというものも多い。
アメリカよりもむしろ日本の方が、この点で逆の教育が浸透している。
アメリカ人はあからさまなところがあるから、こういう本を面白がって読める。
そういう意味で版元のきこ書房は、当初この本を日本で売るにあたり苦労したのでは無いかと思った。それ故に、本書内には“高額セミナー”への誘導が満載だ。
そんな“高額セミナー”ノイズも、すっと、飛ばせる胆力も欠かせない。
Q:付録のアクションマニュアルはどんなものか?
A:最初は、きこ書房の高額セミナーのイメージでめくったが、実際のところ、びっくりするほど良心的で、どうやって『思考は現実化する』を効果的に読むのか? だけを語っていた。
ここまで丁寧なマニュアルをつけると、高額セミナーはいらないだろうな、と思う。とても奇妙な感じがするが、まあ、それもこの本の完成度が非常に高いからできることだと思う。
Q:高額セミナー(ナポレオンヒルプログラム)について何か知っているか?
A:知らない。それに私はこの本だけでいいと思っている。
そう言えば、YouTubeには200万円のナポレオン・ヒルの情報商材を購入して試した人の動画が載っており、これはかなり興味深く見た。参考になるかもしれない。
ただ、何度も言うがこの本の完成度が高い。それ故に、こういう高額セミナー、高額商材などの派生製品を作ることができるというのは、無視できない事実だと思う。
以上である。参考にして欲しい。