延滞率日本一の東京藝術大学出身ブロガーが同窓・OBに聞き込み。奨学金の隠れた真実・対策を共有する。日本学生支援機構の秘密

雑感

本ブログでは、藝大OBの状況をベースに奨学金返済の情報を共有しています。

映像制作に関係ない方はそのまま「セクション1」「セクション2」に飛んだ方がいいかも。

※一般の理系・文系の学生は「セクション1」のみお読みください。
※個人事業主やフリーランスの人は「セクション1・2」両方おすすめです。

奨学金の貸与者にむけて

今回、なんでこんなブログを書こうと思ったのか? それは、年末に私がかつて通っていた東京藝術大学大学院の同窓会があったからだ。

私たちの代は、もう卒業してから10年近く経っており、ほぼ全ての同級生が、映像業界やそれに伴う業界で活躍している。やっと稼げるようになってきたのだ。

とはいえ、2020年のコロナ禍では、辛い思いをしている人も少なくない。そんな中で、私たちは自然とお金の話となり、そして最終的にこの奨学金の返済の話へとつながった。そこでの話で共有できるものをブログで書いておきたい(際どい内容なのでそのうち消すかも)

東京芸大生は、奨学金返済の延滞率が日本一

今から遡ること、10年ほど前。私は社会人からふとしたことで、東京藝術大学大学院の映像研究科を受験した。当時、某メディアで映像とウェブの仕事をしており、働きながらの受験だったため、1度は落ちたものの、翌年はどうにか合格して、入学することとなった。

4月初旬の入学式直後、式典からダイレクトで日本学生支援機構の奨学金の希望者は、芸大の上野校舎の一番大きな講堂で説明を受けるというガイダンスがあった。

『芸大生の延滞率は85%を超える』から本当は貸したくない:担当者スピーチ

壇上では、日本学生支援機構の担当者が満員の場内を見渡して、着席を促し、説明を始めた。

そして彼は開口一番、『芸大生の延滞率は85%を超える』から本当は貸したくない、と堂々と喋って場内の笑いを誘う。

当然である。芸大生は、そのほとんどが卒業後に企業に就職しようと思っていない。

唯一デザイン学部だけが、電通や博報堂に入社していくので、稼げると言われているが、それ以外は、良くて大学の講師、予備校の先生などで、アーティストとしての道のりは長く、稼ぐことに至っては、ほとんどの人間が到達しないのだ。

芸大生は、免除率が高い:国立トップ校の奨学金の仕組み

しかし、私を驚かせたのは、入学してからの特権的な芸大の構造だった。

当時の芸大の授業料は約60万円(2半期30万円単位)だが、これは希望するとほぼ全員が免除された。どうしても最初の半期分の1回目(30万円)だけは申請ができる以前の支払いなので、免除はされない。だが、それ以外はかなりの確率で書類で変なことをしなければ免除される。これが最高学府の特権だという。

しかしながら、芸大のカリキュラムはかなりキツイことで知られる。

私の世代の映像研究科は、朝から晩まで大学に篭り、それぞれの勉強や課題、1年次から既にテレビ番組や映画現場のインターンへと駆り出させることも少なくなかった。つまり、バイトなんかできないし、している人は誰もいなかったのだ。

芸大生の多くが、日本学生支援機構の奨学金で生活をする

そうなると当然、奨学金が必要となってくる。

芸大はそもそもが学生が少ないのだが、大学院ともなるとさらに少ない。

映像研究科は、表現領域(監督・脚本・制作)と技術領域(カメラ&照明・録音・美術)の全員を合わせても30人もいなかった。上級生含めても50人程度。その大半が、奨学金を借りることになる。

だが、こちらも在学中の2年間で好成績を出せば、免除になる可能性がある。

特に芸大生の場合、1/4くらいは免除される。私も自分の作品が海外の映画祭で上映されたり、また、私自身も助成金を獲得するなどの好成績を残したので、2年分のうち、1年分が免除された。

大学院生の第一種奨学金は月額8万円、第二種奨学金は9万円程度だ。

私はこの8万円×12ヶ月の奨学金を免除された。同級生でも何人か免除されていたのを覚えている。しかしそれでも、それなりの額が将来の負債として残った。私の場合は100万円前後だったが、中には4年生大学のころのも含め1000万円超の負債を抱える同級生も何人かいた。

基本的に私立の映像系の大学は機材やスタジオ代がかさむ分、学費費が高額な傾向がある。

卒業後の返済状況

映像学科は、卒業後も同級生やOBとつるむことが多い。

つるむことが多いというよりかはむしろ、テレビ番組や映画を作るにために、集って互いに援助し合う機会が激増すると言った方がいい。

その中で、私たち芸大生は、卒業後の奨学金返済事情をいつでもリサーチしやすい環境にあるし、何か知らないことがあると、共有して協力し合う方向に向かいやすい。

返済金のざっくりした割合

  • Aランク 月々2万円程度を10年(大学院:入学金・授業料含む☆成績優秀者)
  • Bランク 月々3〜4万円程度を10年(大学院:入学金・授業料含む)
  • Cランク 月々6万円程度を20年(学部・大学院:入学金・授業料含む)

私の同級生や同窓会で集まったOBの話を聞いて、分類すると上記の三つになった。

これはあくまで文系なので、おそらく理系になるともっと大きな額になる。

猶予は10年。減額申請は15年できる。使い切れば、ほぼ払わないで行ける

同級生のほとんどがまず卒業後の10年の間を、猶予で過ごしている。

そこから減額申請に移行するという形となる。申請さえすれば、確かに日本の奨学金制度は酷くないように思えるが、これはあくまで申請が通れば、ということになる。この部分に、私の聞く限り多くの闇が存在しているのが最近わかってきた。

ここから私は少しずつ、同級生たちからリサーチした奨学金の闇を書いていく。

セクション1:申請の闇(おとりの2ヶ月)

早めに申請書類が届く。でも少しでも遅れると、支払いペナルティーに

奨学金の引き落とし予定日から2ヶ月以上前に通常、日本学生支援機構からの書類が郵送されてくる。そしてここで多くの学生が「まだだいぶ日数あるじゃん」と気が緩む。だが、ここにまず第一番目の病みが存在している。それを私は申請の闇と名づけた。

審査期間は実はかなりタイト:提出に一週間以上かかると強制引き落としの可能性も

まず、申請期間がぞんぶんにあると思わせて、実質、一週間以内に書類を提出しなければ強制引き落としになるというトラップがあるのだ。

そして、その申請にも二重のトラップがある。初回提出の書類の複雑さ、もしくは住所移転後の書類提出の複雑さがそれだ。これらはほぼ、一週間で提出するのは仕事をしていると無理なのだ。

再提出・内容確認になると、2ヶ月分はMAX金額を強制引き落とし:引っ越しリスク大!

なぜこんなことがわかったかというと、私の同級生やOBで減額申請や猶予申請をしている者の中に、強制引き落としを経験しているものが実に8割以上いるのだ。

つまり、日本学生支援機構の奨学金の何がしかの支払い回避を希望する学生は、ほぼ100パーセント、強制執行のショックを経験する、という結末になるのだ。

日本学生支援機構の職員などはこれを「陰謀論だ」とかいうかもしれないが、現実に起きていることだ。なので、1回目の申請や引っ越し後は、注意をした方がいい、というか覚悟した方がいい。

セクション2:銀行残高で落選?(マイナンバー導入余波?)

そのほかにこれはかなり稀なケースだが、どう考えても該当ケースなのに審査が通らない、もしくははじかれる(拒否)というケースを話しておきたい。

私の同級生で製作(プロデューサーや制作スタッフ)専攻の同窓がこれを経験している。彼は確定申告をしているものの、マイナンバーの申請が必須になってから、猶予申請が通りにくくなったという話をしていた。

他にも編集領域(編集マン)の同窓が同じ経験をしている。編集マンというのは、実は映画専攻の中でも収入のアップダウンが激しい。彼の場合もマイナンバー制度が導入されてから、申請が通りにくくなり、ほぼ諦めたという話をしていた。

二人の共通点:銀行残高が多い

この二人の共通点を話す機会があった。

プロデューサーの同僚は、その属性上、出資者やスタッフのギャラなどの一時金を口座に保管しておくことが多く、小さな自主映画でも軽く2000万円くらいの金額が口座にプールされ、取引で言うと総額5000万円〜1億程度に上ることも少なくないと言っていた。

だが、彼の収入は年収で言うと400万円に遠く及ばない。確かに減額申請の基準値は300万円だというからギリギリとは言えなくないが、金を与らない制作担当から金を預かるプロデューサーになってからは、申請しても通らないと言うことが増えた、とのことだった。

また、編集マンは友人はアメリカの情報番組と国内の人気ユーチューバーの編集をしているときは600万円近くあったがコロナ禍で仕事が激減し、その間に2回申請をしたが落ちたと言う。彼の場合は、返済額が8万円近くであり、その恐れから口座残高を残していたと言う。

以上の通り、口座残高が高い場合は、申請しても実質収入(確定申告)と関係なく、落とされるのではないかと言う話だった。だが、これはあくまで第三者の私が聞いた話のなので、厳密なことはなんとも言えない。ただ、知っておいた方がいい内容だろう。

特に、編集マンは強制的に払わされても仕方ないところがないわけではないが、プロデューサーの同窓は役得損だ。しかしながらこれはともすると、資金の割り振り業務がある私のようなディレクター系の人間にも無関係ではないので、痛い情報だといえる。

以上が、私の知る日本学生支援機構の奨学金返済に関する情報である。また、他の情報が入ってきたらお伝えした。さしずめ、理系文系問わずマストなのは「セクション1」の内容だと思うので、これに関してはしっかりと読んでおいた方がいいかもしれない。

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