暴落を待つ。逆張りのメンタルと手法を伝授 ハワード・マークス『投資で一番大切な20の教え』要約・概要

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著者のハワード・マークス氏

著者紹介

ハワード・スタンリー・マークス(1946年4月22日 – )は、アメリカ合衆国の投資家、著述家。シティバンクの役員を務めた後、1985年にTCWグループに加わり、ハイイールド、コンバーティブル・セキュリティーズ、ディストレスト・デットなどのグループを組織し、主導した。1995年にオークツリー・キャピタル・マネジメントの共同創設者となった。全米屈指の大富豪の一人。

コロナ後の市場ムードを予見する著者

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長期ホールド(逆張り)の手法・心構えを時系列で解説

あのウォーレン・バフェットがバークシャーハザウェイでの株主総会で株主たちに自費購入して大量に配った事で有名なった書籍である。現在では個人投資家のバイブルの一つとして広く認知されている。だが、非常に分厚く難しい内容とも言える。なので、私が端的に解説してみたいと思います。

本書の主眼は、技術のない個人投資家に向けた長期ホールドを指南するメルマガがベースである。時系列で、著者が大勢の迷える投資家たちをどのようにして導いてきたのかがわかる。

リーマンショック前後の2〜3年間のオークツリーファンドが発行したメルマガを抜粋。同ファンドがいかにして個人投資家を損害から守り、逆に暴落時に激安となった株を買い攻めるように導いたかがわかる(攻めと守り)

著者のハワード・マークスは、米国で著名な投資ファンド「オークツリー」の創業者であり、米国の長者番付でも上位にランクインしている富豪としても知られる。そんな彼を有名にしたのは、リーマンショック時における莫大な利益と、その読みや知見である。

オークツリー社の特徴としては「市場が緩やか低迷・マイナスの時に普通のリターン」で「大きく暴落・暴騰した時に莫大な利益を叩き出す」というものである。

つまり、平常時や低迷期は大きくは外さない。しかし、いざというときは賭けに出る。とはいえ、その賭けにでるというタイミングは、低迷期であるはずだ。つまり、そこでの手法が重要だ。

だが、その手法は、長らく謎とされてきた。

同じような手法をとる投資家として、先にのべたウォーレン・バフェットもあげられる。バフェットは「バイ&ホールド」というワードで知られるが、実のところ、その企業の成長性を『株価が未発達もしくは衰退期に判別する』という手法なだけで、厳密にいうと目利きではない。
それに彼の基本スタンスは逆張りである。

また、彼の場合、80年代までは一般市場で購入することは少なく、企業側から持ちかけられたストップオプション株式(条件・期限付き)や店頭公開株式を購入するケースが多かった。
加えて、動かす資金が多いので10%株主として、株主総会に参加して経営権に関与することも多い。公には経営に口を出さない、とはいうものの、経営権に関与する保有比率自体、口を出すことに等しい。よって、普通に市場で売買する個人投資家には、参考には全くもってならない。

その点、オークツリーのとる手法は個人投資家に寄り添った手法である。

逆張りには、政治や市場動向への分析力が必要

オークツリーがいかにしてリーマンショックを先見し、個人投資家を好ましい投資環境に誘導し、『地獄を天国に変換』できたのか。それは結果的にはオークツリーの「市場の背景」「政治」「相場の歴史」の分析力だという言い方しかできない。しかも、そこに至るまでの要は「タイミング」的な判断には「普通には考えられないメンタルの構築」が必要となる。

これは、メールマガジンのような時系列で終えるものでしか、表現ができないのだ。

大暴落している最中に、笑顔で株を大量買いできるか?

人間は、市場が恐怖に包まれている時に大きく動けるものなのか?

おそらく、できる人は少ないだろうし、多分、家族の反対なども受けるだろう。つまりは自分自身の判断以外にも、さまざまな足かせ、ノイズ、ドリームキラー的な要素が伴う。

しかし、ある卓越した人間が「暴落時が最も安全」であることを説得的に説明し、「業績と関係なく暴落し、また暴落の影響も少なく、成長が見込められる株」まで絞り込んでくれたらどうだろうか。そして、その卓越した人間は歴史家でもあるため、何よりも「過去の暴落で財をなした人間」であったら、あなたは「買わないわけにはいかない」というマインドになるだろう。

それが本書の醍醐味ということになる。

暴落への準備に最適な本

コロナショック時にはさまざまなユーチューバーが、「買うな」とか「落ちるナイフは掴むな」、「もっとでかい二番底が別のタイミングで来る」と言って間違った。しかし、答えは、歴史に学べばコロナ暴落は『安全な買い場』で、「政府の介入」が発表されたからには、『二番底が来ない』のは、むしろ歴史が証明していた。

本書を読んでいれば、これらは簡単に把握できたのである。

相場は、絶対的になにが起きるかわからない、と怯えるだけのものではないのは、この本に書かれていることから明らかなのに、知らなければただの無力だった。

その後の数回のちょっとした調整でもかなり沢山の怯えの声を発しているユーチューバーが多い中、あらゆる面で本書あh、定期的に読むべき本である。メンタル対策は、定式化できない。

だから、この本のように、時系列のメルマガとして、分散・拡散された知識が役にたつ。それにリーマンショックの臨場感も半端ない。おすすめでの本である。

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