金融教育本は安易に子供に読ませるな。『バビロンの大富豪』『私の財産告白』に足りないもの。世界標準ライフハック小説『アルケミスト』パウロ・コエーリョの金融教育と知識教育を考える

オーディオブック

『バビロンの大富豪』『アルケミスト』は、アマゾンオーディブルで耳読みすることができます。

『アルケミスト』:パウロ・コエーリョの紹介

ウィキペディアから引用

パウロ・コエーリョ(1947〜)

ブラジル:リオ・デ・ジャネイロ出身。大学の法学部に進学するも1970年に突然学業を放棄して旅に出る。メキシコ、ペルー、ボリビア、チリを経て、ヨーロッパ北アフリカにも足を伸ばす。

2年後、ブラジルに帰国して、流行歌の作詞を手がけるようになり、人気歌手ラウル・セイシャス(英語版)やブラジル歌手のヴァヌーザなどに作品を提供。

1974年、ブラジルの軍事独裁政権に対する反政府活動に関与との嫌疑を受け、短期間投獄される。

1979年、世界を巡る旅に出る。1987年、『星の巡礼』(O Diário de um Mago)を執筆刊行してデビューを以降、作家として活動。1988年に出版した本作『アルケミスト – 夢を旅した少年』(O Alquimista)はブラジル国内で20万冊を超えるベストセラーとなり、38ヵ国の言語に翻訳された。2007年のアンデルセン文学賞など、世界中の国々から様々な文学賞を受賞している。特に1998年に出版した『ベロニカは死ぬことにした』は、世界的にベストセラーとなり映画化されている。

『バビロンの大富豪』: ジョージ・S・クレイソンの紹介

ジョージ・サミュエル・クレイソン(1874–〜1957)

スペイン系移民として、アメリカで生まれ、二つの世界大戦と大恐慌のさなかを実業家として生き抜く。アメリカとカナダの道路地図を最初に刊行した会社など複数の企業を設立するものの、世界恐慌を生き延びることはできず破産を経験。その後、再度出版業に進む。

倹約や金銭的成功についての一連の情報パンフレット類の著作家として知られるようになり、古代のバビロンを舞台とした寓話風に集約したのが本書の原典となる。銀行や保険会社が、本書を広めるようになったことで、世界的なベストセラーとなる。
収入の何割かを貯蓄と投資に回すといいう概念が、世界的に流行する土台を作った。

はじめに

リベ大の両学長によって一気に広まった『バビロンの大富豪』だが、必要な内容は『収入の何割かを貯蓄と投資に回す』という話であるにもかかわらず、長くてつまらない。

そして思うに、この本を読むと守銭奴としての能力は上がるが、それの資産を持ってして人生で何をするのかを考えない人間になってしまう可能性があるということだ。

つまり、本としてのバランスが悪く、魅力がないのにヒットしている過大評価の書籍である。

本多静六の本はバビロン+金持ちへの嫉妬を表現

ウィキペディアより引用:本多静六氏

関連記事:金持ちへの嫉妬・差別との戦いの記録。資産拡大方法は、嘘や隠し事が多い印象。コミカルだが注意して読むべき本『私の財産告白』本多静六

日本のバビロンこと本多静六の“私の財産告白”は、嫉妬で敵視してくる職場同僚のために書かれた

元祖日本の『バビロンの大富豪』とも呼べる本多静六氏が、とにかく自分に嫉妬してくる東京大学の教員員たちに書いた資産運用指南本が『私の財産告白』だ。

本書では『バビロンの大富豪』と同様に、毎月の収入の2割を貯蓄と投資に回してきた本多の人生が書かれている。本多は、東大の教員でありながら、あの渋沢栄一と共同で事業を行うなどの資産家実業家としての活動も多くおこなっていた。

本多静六は、軍とのつながりもあり、資産増大の手法には闇もあり参考にならない

だが、残念なことに本多手法は訳ありなものが多い。

彼は戦時に軍部との強いつながりがあったせいで、当時行っていた山林への投資からインサイダー的な暴利を得ていたことを隠している。

書籍の中では、若い時にドイツから素材学(マテリアル系)で博士号を取得して帰ってきた後、貯金で山林を買い始めたという。ライバルは、住友鉱山や三井財閥系で、良い山を安く手に入れた時は嫉妬されたと書かれている。

これは何を意味するかというと、鉱山やレアメタルの専門家であった本多が、小売人よりも先に鉱山や金山などを購入していたことを意味する。これは、正規の資産運用とは言えない。そして、本多はおそらくここの点で、戦後に東大の学者たちにいろいろ闇がバレた可能性が高い。

ライフハック小説『アルケミスト(錬金術師)』魅力

あらすじ

羊飼いの少年サンチャゴは、アンダルシアの平原からエジプトのピラミッドへ旅に出た。錬金術師の導きと様々な出会いの中で少年は人生の知恵を学んでゆく。世界中でベストセラーになった夢と勇気の物語。

主人公は、資産作りを2度学び、3度持ち金を奪われ、最後に自力で宝を見つける

小説『アルケミスト』の優れている点を言う。

  • 複数の金融教育を伝える
  • 金を失った時のメンタル維持方法を伝える
  • 大金の本当の使い方を錬金術師から教わる
  • 資産と人生の夢・願望との落とし所を伝える

『バビロンの大富豪』『私の財産告白』は、わかりやすく資産形成術を教える反面、そこに描かれる周囲の目(人間たちの描写)は、異常に醜く、金を持つことでさまざまな思考回路を閉じてしまうものだ。これらの本は、資産形成のために人間教育を完全に忘れている。

それに対し『アルケミスト』は、『バビロンの大富豪』に似た児童文学風な文体にもかかわらず、資産形成の素晴らしさと相反する良くない側面を同時に成立させ、加えて人間が自分の目的・ゴールを目指す姿を、非常に理想的な形で教えてくれる本だといえる。

『アルケミスト』のピラミッドが象徴するもの:富・名声と相反する虚無感・危険性

主人公のサンチャゴは、王様からもらった金(ゴールド)を騙し取られたり、自分の羊を手放したり、また事業を起こして羊や金を手に入れたりして旅を続け、やがてはピラミッドにたどり着く、しかし、ピラミッドを目の前にして探し求めた宝は見つからず、旅行者にリンチを食う。

この流れは、現代の騙しや詐欺に満ちた世界を彷彿とさせる。

それら全ては“夢”に起因するものであり、周りの人間は応援も邪魔もする。

人間は富を得ても、富を必ず一度は失う。再起の方法を教えないと無意味

例えると『バビロンの大富豪』『私の財産告白』は、初婚で出産前でストーリーが終了しているのに対し『アルケミスト』は子育てや、再婚、老後の暮らしまでの記した書籍だ。

もっというと、人生に最高に落ち込んだ時、『バビロンの大富豪』『私の財産告白』を読む気にはならないが、『アルケミスト』は役に立つ。

私からすると『バビロンの大富豪』『私の財産告白』を進める両学長や著名ユーチューバーなどは、自分達の転落を経験したことがない人間が多いと思う。それに、例えば子育てなどでこれらの本を読んでも、本当に都合のいいところのつまみ食いで終わる危険性大だ。

クエスト:喜びと悲劇のサイクルが一巡している物語を読むべき

最後にまとめるとすると、子育てで金融教育を学ばせる時、必ず要求されるのはその本が“クエスト”の部類に入るかどうかだ。ドラゴンクエストのクエストの意味と同じ。

つまり、親が死んでも子供が生きていけるようになる本として、『バビロンの大富豪』『私の財産告白』はかなり程度が低い。そして、日本人には『アルケミスト』の方が私は向いていると思う。

『アルケミスト』のラストは、不可能を可能にして“見せる”ための知性の使い方を教える

ネタバレだが『アルケミスト』は、ラストで盗賊の前で「風使い」になることを要求される。

だが、主人公サンチャゴは、人間は決して風使いになれないことを知っている。それゆえに、太陽や宇宙に問いかけ、彼らの拒否反応としての風を利用するというオチである。

世の中には、絶対できないのやらねばならないという瞬間が多くある。

小説『アルケミスト』の最大のテーマは、まさにそれである。

『バビロンの大富豪』『アルケミスト』は、アマゾンオーディブルで耳読みすることができます。

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