【耳学習完全ガイドブック】オーディオブックや音声読み上げ機能を使った読書を考察する。具体的なやり方、メリット・デメリットを徹底解説

オーディオブック

はじめに

こんにちはPIT監督といいます。
東京藝術大学大学院卒で、映画監督をしています。
本業は、書籍の編集者。今まで不動産や経済や学術出版の編集を行なっており、今は金融家メインの書籍編集に携わっています。

今回は、私が利用している耳読書・耳学習
つまりオーディオブック音声読み上げ機能を使った電子書籍の読書について皆さんにご紹介していきたいと思います。

この方法は、速読を勉強したができなかった!という人や、なんとかいろんな空き時間にねじ込んで読書時間を増やしたい!という人に最適です。

耳読書とは(スマホの機能を使った新型読書)

紙の書籍の時代は終わり、これからの読書は目や耳、その他の器官を使った複合型の時代だと言われています。そんな中で、特に耳を中心に使った音声読書は、スマホの登場に手軽になりました。

以下、音声読書の要点を箇条書きしていきます。

  • オーディオブック・オーディブルなどの声優(プロ)朗読を読む
  • Kindleや楽天kobo等で電子書籍を音声読み上げ(アクセシビリティ機能:AI)を使う

現在の耳読書は、大きく分けてこの二つです。

これに、YouTubeなどのコンテンツを含めて大きなジャンルでは耳学習と言われています。

では、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

耳読書のメリット

  • 空き時間・移動時間を効率よく使える
  • 速読がしやすい(400ページを最速5時間で読める)
  • 再読がしやすい(1度読んだ本は4倍速でも耳が追いつく)
  • 専門書などの難読書を時間内に読み切れる
  • 紙の書籍より安い場合が多い
  • バックグラウンド再生ができるので、ネットで調べながら読める
  • 思い立ったらすぐに本を取得できる
  • 売り切れがない

私個人的には、紙の読書で速読ができなかった人でも容易に速読ができるようなる、というのが、最大のメリットだと思います。また、耳が脳に近いせいか、記憶に残りやすい。

スマホにほぼ無限に書籍を溜め込めるのも、これまではあり得なかったメリットでしょう。これはやってみないとわからないのですが、紙の本を持つ無駄・リスクというのは小さくありません。

ちなみに私は、400ページの分厚い書籍(紙の書籍だと最大クラスの分厚さ)を、読めないで放置したり、読むに数ヶ月かかっていました。それが耳学習では、ほぼ、2〜3日で読めます。これは、読書が苦手な人にも同じことが言えます。

慣れてくると新書(200ページくらい)は1時間くらいで読めます。

これってすごくないですか? ただ、当然デメリットもあります。私のブログでは、耳学習のデメリットに関してもしっかりと解説してきみます。

耳学習のデメリット

  • 図版や表、イラストなどを読み込むのが面倒な場合がある
  • AI朗読では漢字や記号で誤読が発生する
  • 専門書の発行点数が少ない
  • 中古の1円本などの激安書籍はない
  • 買ったものを中古市場で売れない
  • 周りがうるさいと読書ができない

紙は紙の強さが当然あります。

それは、論文や書籍を書くときに、オーディオブックは引用しにくいということ。ただ、電子書籍は、むしろ検索やマーカー、コピーアンドペーストが使えるので、逆に有利です。

一番のネックは、専門書籍やマイナーな書籍のオーディオブック・電子書籍化されていないということ。特に2010年以前のものは少なく、専門書に至ってはほとんどありません。

ただ、海外の学術論文は今は全て電子書籍化されているので、英文の専門書はむしろ紙の書籍より多いのが現状です。この辺は日本独自の問題ですね。

2大オーディオブック(アマゾン・オトバンク)について

次に、オーディオブックの二大サイトの特徴についてご紹介していきます。

オーディオブック(オトバンク)

公式アプリ

オトバンクは、東京大学の大学生が学生時代に立ち上げたベンチャー企業が開始したサービスです。今では国内最大のオーディオブック販売数を誇ります。

2019年に亡くなった著名作家でエンジェル投資家の瀧本哲史氏が、早期から投資していたことで知られます。

創業者の上田渉社長が、緑内障の祖父に本を読ませたいというきっかけでスタートしたこの会社。ライバル企業のどのサービスよりもアクセシビリティ的な使い勝手が高いのが特徴です。

  • 国内外のビジネス書籍が充実(特に海外ビジネス書が凄い
  • 小説の点数が少ない
  • 読み放題がある:1ヶ月850円の定額制
  • 半額セール(30〜50%・常時)が頻繁に行われる
  • アクセシビリティ機能が最も優れている

オーディブル(アマゾン)

アマゾンオーディブルの歴史自体は1996年からと長い。ただし、日本に関しては普及率が他の国比べて著しく低く、しかも国内企業のオーディオブックに首位の座を奪われるという展開で苦戦している。その一番のネックは、1500円という月額利用料金(7割がたが読み放題)というオーディオブックに比べたら遥かに高額な料金設定だ。

しかしながら40万冊という冊数と、新刊からダイレクトにオーディブル化する市場との連動性は見捨て難い。特に海外のベストセラーに関しては、流通と同時に読めるものが豊富だ。

  • 40万冊を超える豊富な冊数
  • 海外ベストセラーがダイレクトでリリースされやすい
  • 国内ビジネス書籍がやや弱い
  • 小説・エンタメ系の点数が多い
  • 版権が獲得しにくい海外書籍がオーディオブック化されている
  • 書籍の値段がコトバンクの二倍以上と高額
  • 読み放題の分野が豊富

それぞれのアプリの使い勝手・スペックについて

オーディオブック

オーディオブックのアプリは、操作がしやすいだけはなく、図は表などの資料が比較的見やすいのが特徴である。データの管理もしやすく、ポイントを所有している場合は、アプリからダイレクトに書籍の購入もできる。

また、作品によっては(特に小説・ラノベ)、人気の声優が登場人物を演じたり、効果音の演出が多彩で凝っている。これは、同社が国内の声優事務所と提携していることによる利点だ。

SF名著の『星を継ぐもの』では、クレオンしんちゃんやガンダムシリーズで有名な声優である森田順平の朗読と、壮大な宇宙をイメージさせる想像力掻き立てる緻密な演出によって、通常の読書よりも楽しく読むことができた。

一点だけ、マイナスポイントがある。それは一部の初期作品音量が小さいものや、ノイズが入っているものがある点である。イヤホンとの相性もあるが、気をつけたいところだ。

関連記事:大のSF嫌いが読む『星を継ぐもの』ジェイムズ・P・ホーガン※ネタバレ大丈夫!内容に触れずに解説 裏要約・概要

高速スピードは4倍速まで可能。目安:400ページ・13時間の書籍だと最速3.25時間
※400ページは、スティーブン・ヴィー『7つの習慣』など要所翻訳の基準

audiobookアプリのライブラリ画面

添付資料から容易に資料を見られる

実際の資料

オーディブル

アプリの操作は比較的しやすい。だが、資料PDFを読むことが困難な場合が少なくない。

声優は、アニメ出身者よりもテレビナレーション畑の俳優などが多く、あまり派手な演技をしない。ただ、有名俳優が多い。

朗読スピードはオーディオブックよりも速いことが多く、3.5倍速まで可能。13時間だと最速4時間程度。この点は、オーディオブックと大して変わらない。

音質に関しては、作り込みがしっかりしているものが多いため、音量が低いとか、聞こえにくいなどといった不具合がほとんどない。さすがアマゾンというクオリティである。

オーディブルのライブラリ画面

オーディブルは、資料を内蔵することがほとんどなく、外部のリンク先でダウンロードして参照する。その方法は、書籍によって違い、とても使いにくいことが多い。

アクセシビリティ機能を使った電子書籍読み上げについて

通常、どのスマホにもアクセシビリティ仕様(目の見えない人向け)の読み上げ機能が付いている。

ここからは、スマホに内蔵しているアクセシビリティ機能(視聴覚の不自由者のための機能)を利用した、電子書籍の読み上げについて紹介する。

アクセシビリティ機能は、電子書籍専用に作られた機能ではなく、スマホ内の操作・メニューやWebページなど、ほぼ全ての読み上げのために開発されている。そのため、アプリによっては対応状況が悪く使いづらいということあり得る。だが無料で使えるため、使わない手はない。

特徴やメリット・デメリットは次の通り

特徴

  • Kindle完全対応
  • 楽天koboその他の電子書籍アプリは対応しているが、完全ではない
  • 漢字・記号の読み上げ間違いがそこそこある
  • 図表は飛ばすか、停止になる場合がある
  • 2倍速までしか高速再生が対応していない
  • フィックス型(画像形式・図鑑など)は未対応

メリット

  • 読める書籍のジャンルよりも断然多い
  • 旧作に至っては、音声作品よりかなり安い
  • 電子書籍の読み放題サービスが多数あるため、利用しやすい
  • データ容量が少ない

デメリット

  • 読み間違いが多く、ずっと読み間違え続ける
  • カッコやドット、3点リーダーなど、読まなくて良い情報も読み上げる
  • ロボット朗読なので感情が乗らない(小説には適さない)
  • 紙の書籍よりは点数が少ない
  • 再読・繰り返し読みに適さない

操作性は、アマゾンKindle(一番良い)や楽天koboなどアプリによって状況は異なる。だが、基本的にそれ仕様で作られていないため、動作は安定しない。

私の場合は、読みたい本がオーディオブックになかった場合は、第二候補としてKindleで探し、それでもなければ、あるいは値段が高ければ楽天koboで探すという流れだ。

電子書籍読み上げ設定:iPhone SE2(iOS)での例

ここからは具体的な設定方法を紹介していく。

ここでは iOSでの設定方法を解説しているが、アンドロイドの場合でも機能からアクセシビリティを探すという方法で、かなりケースで対応可能だ。

また、アマゾンキンドルや楽天koboアプリなどでの利用についても後半で触れる。

(1)設定から

(2)アクセシビリティを選択

(3)読み上げコンテンツを選択

(4)上記の設定をオンにする

(5)するとコントーラーが出る。人差し指のアイコンは、読みたいゾーンを認識させるツールだ。

(6)普段はこのように閉じた状態になっている

アマゾンKindleの音声読み上げの特徴

Kindleの読み上げ画面。青く光、面で文字を読み込む。

特徴は以下の通り

  • 自動ページめくりに対応(手放し朗読)
  • 図は基本飛ばす(2つ以上あると停止)
  • 読み間違いはまあまあある

楽天koboの音声読み上げの特徴

楽天koboは文字をそのまま追う。ただし、読み上げのタイミングはずれている。

自動ページめくりに非対応。よくバグる。勝手に戻って読んでしまう。

楽天koboの特徴

  • 自動読み上げに対応していない(ナビゲーション(先めくり)が必要)
  • 勝手にスタートに戻ることがある
  • 図で必ず停止する
  • 途中停止でページを記憶しないケースがある

楽天koboの場合は、Kindleに比べてかなり使いずらい。ページは自動ですすまないため、ある程度進んだら実際の電子書籍も先にめくっておかないと、開始場所に戻ることが多い。

また、ページを記憶しない場合もある。その場合は、開いているところから再生しても章のはじめにもどることがあり、めんどくさい。

まとめ

以上が、オーディオブックと電子書籍の読み上げによる耳読書の紹介である。用途が結構違うため、予算や読みたい本などの用途によって、使い分けたい。

今後、状況は変わったり改善するかもしれないので、その都度更新していきます。

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