フランク・ザッパのあの「変な曲名」だと思っていた曲に、驚くべき秘密があったこと

雑感

フランク・ザッパ「リーモスおじさん(Uncle Remus)」

ダサすぎる曲名「リーモスおじさん」

私は20代の頃にフラック・ザッパ(1955〜1994)にハマった時期があります。

その中で一番よく聞いたのは、この「リーモスおじさん(Uncle Remus)」。フランク・ザッパの最高傑作アルバム『(’)邦題:アポストロフィ』に収録されているギターがかっこいいことで良くされる名曲です。

初期から中期の名盤にあたるこのフランク・ザッパのアルバムでは、三味線のような早引きのギターソロがカッコよく、私の一番のお気に入りでした。

しかし、超絶曲名がダサい。なんなんだこの、曲名。

誰だよ、リーモスおじっさんって。。。。

と、そんな違和感を覚えながらこの曲を20年近く聴き続けていました。

「リーモスおじさん」の隠れたメッセージ

そんなこんなで、2021年のGW前、私はふと、Uncle Remusを手違いで検索しました。その時の画面がこちら。

私はこの画面にしばらく釘付けになりました。

ザッパがオリジナルじゃなくて、原作があるのか!と。

そして分かったのは「リーモスおじさん」実は、小説の登場人物で黒人だったのだということです。

そして、このリーマスおじさんは「南部の唄」というアメリカの黒人奴隷制度を描いた有名な小説の主人公であり、実はこの「南部の唄」を題材にしたディズニーのアトラクション「スプラッシュ・マウンテン」のナレーション(ウサギじゃない方)はこの「リーマスおじさん」だったのです。

つまり、このスプラッシュ・マウンテンのあのハラハラするきみが悪いナレーションの主が、フラック・ザッパの「リーモスおじさん」だったのです。

リーモスおじさんが登場するディズニー映画「南部の唄」は、上映停止の憂き目を受けており、そこから派生したアトラクションのスプラッシュ・マウンテン自体も2020年のミネアポリス反人種差別暴動で営業停止の危機に追い込まれていた

「南部の唄」のウィキペディアを見ると、ディズニー「南部の唄」の黒人描写は、相当問題があるらしく、黒人暴動が起きるとその度に標的になる作品だそうで、現在、ディズニーは本作の上映・配信に関わる一切の露出を控えているようです。ただ、スプラッシュ・マウンテンが作られた頃はまだそんな問題は起きていなかった。つまりは、1992年まではバリバリの黒人差別があったということを知ります。

フランク・ザッパ「Uncle Remus」は、白人の金持ちのために働いて体がボロボロになった黒人老人の動きのゆっくりさを滑稽に歌っている。そこから、ザッパファンがベストと評価する怒涛のギターソロへと流れる。

歌詞を載せようと思ったんですが、掲載可能なものがなかったのでリンクを貼っておきます。

タイトルにも述べましたが、フラック・ザッパはこの曲を「黒人の爺さんの動きがゆっくりした感じを滑稽に表現する」ことに重きを置き、ややヒステリックなピアノと、過剰なゴスペルコーラス、たるいベースラインで構成しているように感じます。そして、ザッパマニアの多くがベストワンだと評価する怒涛のギターソロへとつなげる。

この曲は1950年代の公民権運動のある種の虚しさを表現した可能性が高い

1950年代からアメリカで公民権運動が発生。多くの暴動が起きた。

私はこのことを調べながら、なぜザッパは、こんな曲をこんなアレンジで作ったのかを考えました。生前の彼はとても政治的でリベラルなスタンスではあるものの、なんとなく民主党は眼中になく、共和党の悪口ばかりを言うアンチ共和党という風変わりな共和党主義者(ウィキペディアの民主党員説は怪しいと思う。民主党員が書いた可能性があるんじゃない?ほんとか?)に見えました。ある意味、白人であることを正直に晒したギャップがあったのかもしれません。

そんな彼のことだがら、おそらくある種の気恥ずかしさを持って「白人が黒人の曲を作るならこうなる」というのを示したのではないかと思います。それがこのようなちょっとした複雑な構造を持つものとなった。これはあくまでも私の推測ですが、ちょっと自信があります。

というわけで、以前にもましてこの曲が好きになりました。

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