新しい手法は不要。今ある能力だけで速読はできる。『誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門』佐藤優 要約

オーディオブック

今の能力で速読はできる:不要な本を経験から逆算

著者の佐藤優さんは、私は「国家の罠」からずっと愛読している作家でこれまで読んだ彼の本は20冊くらいはあると思う。これまでは主に宗教関係の本でお世話になることが多かったが、今回既読ではあったもののこの著作がオーディオブック化しているのをきっかけに再読してみた。

世に流通しているフォーカスリーディング系は無駄。自身の経験で本との付き合いの「無駄」をなくす

私は大学院の教育課程で、とある明治大学大学院の教授から速読法を教えてもらった。それで、大学院の学業を無事乗り切ることができたのだが、その具体的な手法は以下の通り。

  • 5分間で本の全てのページをめくる
  • 間違ってていいのでその時の印象をまとめて他人に話せるようにする

という、極々シンプルなものだ。これは、本を書店で買うかどうか判別するやり方を少しだけ発展させたものである。またあるトップレベルの大学教育を受けていれば、このある種暴力的とも言える教わり方で、それなりの速読を自分の中に確立できる。

そして、これは佐藤氏が本書で定義した速読の第三段階「超速読」に該当する。

佐藤氏の提唱する速読方は三つ。熟読、速読、超速読

佐藤氏の著作では、上記に書いた通り三種類の読み方を解説している。詳しくは本書を参照してほしい。これらは、著者が生きてきてこの方50年の間で、経験してきた「不要な本を読んだ時の後悔」と「重要な本を読んだ時の至福感」をただ単純に行動化したものだ。

著者でも読破に1年半以上かかる学術書は珍しくない。

冒頭でも著者が述べている通り、速読の手法を進める書籍は詐欺であり、物事を曲解させているケースが多い。私もそう思う。以下、佐藤氏の考えをまとめる。

  • 知識のある業界の本は他人に難しくても簡単に読めるケースが多い
  • 文章の質がダメな本は、誰が読んでもスピードは遅くなる。そしてこの手の本は多い
  • そもそも一度で理解されるように出来ていない本も多い

本の後半に大量のリファレンスが載っているものや、ドラッカーのように批評家や実務者からの批判を交わすために書かれたようないわゆる学術書は、速読を拒否した作りである。それらを見抜き、読書にさく時間を再構成するのも『速読術』であると佐藤氏は述べている。

本書の後半は佐藤氏による実際的なレクチャー

以上のような速読法の概要を本書の前半では解説し、後半はもっぱら佐藤氏による具体的な速読の具体的な手法解説である。そこそこ難しい学術書から簡単な新書、村上春樹氏の「1Q84」のような長編小説などの速読術を披露している。こちらもかなり具体的な内容である。

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