Amazonで詐欺師扱いされているが、かなりの良書。昔話風でも、現代経済学がメイン『仕事は楽しいかね?』デイル・ドーテン

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著者紹介

デイル・ドーテン(1950年生まれ)

アリゾナ州立大学大学院(経済学)卒業後、スタンフォード大学大学院で学ぶ。

1980年、マーケティング・リサーチ専門会社、リサーチ・リソーセス(Reserch Resources)を起業し、マクドナルド、3M、P&G、コダックなど大手優良企業を顧客に持つ全米でもトップ・レベルの会社にまで成長させる。1991年、新聞に執筆したコラムが好評を博し、執筆活動を開始。現在米国を代表する人気コラムニスト。

目次

・仕事は楽しいかね?
・人生とは、くだらないことが一つまた一つと続いていくのではない。一つのくだらないことが〈何度も〉繰り返されていくのだよ。
・試してみることに失敗はない
・明日は今日と違う自分になる、だよ。
・これは僕の大好きな言葉の一つなんだ。「遊び感覚でいろいろやって、成り行きを見守る」というのがね。
・必要は発明の母かもしれない。だけど、偶然は発明の父なんだ。
・目標に関するきみの問題は、世の中は、きみの目標が達成されるまで、じーっと待っていたりしないということだよ。
・きみたちの事業は、試してみた結果失敗に終わったんじゃない。試すこと自体が欠落してたんだ。
・あの実験で学ぶべきことはね、「あらゆるものを変えて、さらにもう一度変えること」なんだよ。
・それはね、「あるべき状態より、良くあること」なんだ。〔ほか〕

概要(ブログ主の勝手なまとめ)

経営者の思考を、対話式で体得できるように書かれた

最初に言っておこう。私はこの本はかなりすごいと思った。

この本の出版をしているきこ書房は、高額セミナーなどを行っており、一部では嫌われているかなりインチキくさい出版社だ。だが、たまに『悪魔を出し抜け』(ナポレオン・ヒル)など、どこの出版社も手を付けたがらない、世紀の良書を出版することがある。

本書もそれに類した、賛否両論かもしれないが、私にとっては素晴らしい良書だった。

給料に不満を持つサラリーマンと大富豪マックスじいさんが、公園で対話をする

主人公はうだつの上がらないサラリーマンだ。そんな彼の元に、子供たちと遊び疲れた老人が、突然会話を仕掛けてくる。その会話は、取り止めもない無駄なようなことに聞こえるが、徐々に、経営・金儲けの哲学が散りばめられていることに気が付く。

その後、主人公はその老人が、有名な大富豪であることを知る。

主人公も元経営者だった。何が足りなかったのか?

主人公はうだつの上がらないサラリーマンだが、実は人と違うところが一つだけあった。それは、過去にコピー機レンタル事業を展開し、失敗して撤退していた、ということだ。

いわゆる主業ではなく、今風で言うと副業の少し大きものという感じだ。

それを仲間三人と地元で展開し、やがて大企業の強豪に市場を奪われ撤退する。撤退した時は、ほんとにひどいもので、その三人とはもう連絡も取ることはなかったという。

子供にもわかる経営者のマインド

本書の驚くべきところは、あの経営者のインチキくささやいい加減なマインドが、どういう心理によって生み出されてしまっているのかを、一瞬でわかるところにある。しかもかなりわかりやすい、絵本並の言葉で解説されているのがすごい。

大富豪のマックスじいさんが語る主人公が学ぶべき経営者像は、まるで孫正義のような感じで、いかがわしく、移り気である。だが、マックスじいさんはその背景も同時に語るため、読者はそれなりに倫理的には引っ掛からず、その性質を飲み込むことができる。

『ウォール街のランダムウォーカー』やダニエル・カーネマンなどの現代経済学の引用も

しかも驚くべきは、この昔話風のジャケットでありながら、きちんと2000〜2020年代にかけての生きた現代経済学の素養も入っているところである。

マックスじいさんの口からは、バートン・マルキール『ウォール街のランダムウォーカー』ダニエル・カーネマンのプロスペクト理論などが、一般的な切り口とは異なる、経営者的な切り口でかなり効果的に語られる。

この辺は、むしろ今まで様々なビジネス書籍を多読してきた人を驚かせるところだが、それでも変わらず、この本のコンセプトである“初心者にわかりやすく”の基本は守られる。

最終的には『やる気』を起こさせる

主人公は、このマックスじいさんのおかげで、経営に関する過去のトラウマを払拭し、また再起をかけるという流れだが、これが実にきな臭くなくていい。

大体、こういう「やる気」を起こさせようとするビジネス書籍は、どこかきな臭い。

ただ、Amazonレビューの否定的なものでも挙げられているように、重箱の角をつつけば確かに否定的な側面はないわけではない。

それはITビジネスの経営者像とは、このマックスは重ならないという風に強引にまとめて言える。

大富豪マックスじいさんは、優れた経営者は過去の考えをミックスさせるだけだ、というフレーズを終始言い続ける。これからの経営者は、確かにこれが通用しないケースが増える可能性が高い。

それでも、全体的に本書のクオリティは高いというのが、年間300冊クラスのビジネス書籍を読む私の感想である。おすすめ書籍だ。

Q:どういう人が読むべき書籍か?

A:基本的に中学生くらいからビジネス初心者までが対象として書かれている。

が、あえていうなら、例えばせどりとか、フリーランス、ネットビジネス的な通常の職業ルート以外での就労経験があり、それもうまくいっていない人が読むべき書籍だと思う。

そもそも主人公のサラリーマンがそういう感じの40代くらいの人物設定だ。

共感する要素が多いほうが、こういう本は理解度は上がるのは間違いないと思う。

Q:Amazonでの酷評レビューについて

A:このケチのつけられ方は、きこ書房の本の特徴だとも言える。

きこ書房の本は『金を稼ぐには手段を選ばない』的なテーマを題材にしたものが多く、本書も実はその中に入っている。決して、品行方正に富について考える本ではない。

日本人の道徳教育として、この手の書籍はバッシングを受けやすい。

しかも、こういう『金を稼ぐには手段を選ばない』テーマの本は、いちいちやり方を解説するのではなく、最終的には“わかる人にはわかる”という結末へもっていく傾向がある。その辺も、手取り足取り教えないのは無責任だ、という意識へ日本人を誘導する場合が少なくない。

ようはきこ書房の出す本特有の突っ込みやすい、いかがわしいビジネス書籍の側面を、この本も当然ながらもっている。

しかしながら、それでも本書はおすすめだと思う。

なぜなら、ページをカサ増しする傾向にあるビジネス書籍の中にあって、この本は珍しいくらい少ない文字量で膨大な情報を伝えているからだ。

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