本書を読むべき人
- 俗に言う「根回し」を知りたい人
- 努力をしているのにイマイチ仕事で成果が出ないと思っている人
- 著者の前作『影響力の武器』を読んだ人
- 安定的にビジネスで成果を出すために何をするべきかわからない人
- 『影響力の武器』は読んでいないが、洗脳的な能力を得たい人
大企業・政治家の一部の人間以外、意識していなかったような「人間の常識形成」を言語化し、利用できるようにする一歩を記した本
前作の「影響力の武器」は、本書が書かれる33年前に書かれた書籍である。「影響力の武器」は、良いことをしてもらった後に、何か良いことを返さなければいけない、という「返報性のルール」を初めて言語化・理論化して、世にある広告やセールス手法の「隠れた悪」を導き出した。
耳学習で土日に簡単読破 世界標準のビジネス・投資知識を短時間で習得 おすすめ書籍6選!
前著「影響力の武器」で語られた「返報性(お返し)のルール」は、警戒すれば避けられる。しかし、本書で語られる「影響のための下準備」は、ほぼ逃げることができない。
この記事を書くにあたり、アマゾンのレビューを見ていた。
だが、ほとんどの読者がこの本の重要な点に気づいていないと感じた。
私は、本書を一読しただけでは理解できなかったという認識が明らかにあったので三度読んでいる。そして、先に「影響力の武器」についての記事を書こうかと思ったが、先に続編の本書を書こうと思った理由は、こちらの書籍の方が「分かりにくいが重要」だと考えたからだ。前作「影響力の武器」は、チャルディーニが「予期しなかった」出来事がまとめあげられており、それへの論考だったことに対し、本書は間違いなく意識的に書かれている。チャルディーニ自身が意図的に「影響力」にフォーカスを定め、日々を過ごしている。そのため、前作ではなかった「自らの経験談」的なトピックも増えている。
一般の人々、天才、努力の人などを追い詰めるほど恐ろしい「常識」の正体が、本書に書かれている。
理由もなく礼節や慣行に従うことに「盲目的」というレッテルを貼るのが、日本の戦後の流れであった。これは間違いなく「アメリカ式自由主義」の導入と重なっている。そんなアメリカが、戦後、いくつかの過ちを犯して「覇権国」という地位を中国に奪われていようとしている中、チャルディーニのような人物が登場した。チャルディーニは心理学者であり、学問的に言えば社会行動科学という学問に従事している。これはダニエル・カーネマンの行動経済学と親類のようなもので、大元を辿ればピーター・ドラッカーのような社会動態学、つまりソーシャルエンジニアリングに属していると思われる。
つまり、戦争で打ち負かした敵国の人々を操ることが発端となって生まれた学問の系統にいて、最もその論理を分かりやすく、しかも秀逸なキャッチコピーである「返報性」と共に世に伝えたのがチャルディーニであると思われる。
結論 本書を繰り返し読めば、ビジネスの罠を避けることが出来る。また、自らビジネスの罠を作ることも容易だと思う。万人にはおすすめできないが、そういう悩みがある人にはおすすめです。
コメント